地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

2020年02月

 安倍首相が、新型コロナウイルスの蔓延を防ぐため、227日(木)に全国の小中高校に翌週から春休みまで臨時休校とすることを求める異例の対応に踏み切りました。

 ウイルスの拡散を防ぐには効果があると思われるので、この対応自体には反対ではないのですが、あまりに唐突、場当たり的で、現場を無視したものです。「後手後手に回っている」という批判を意識して、無理やり先手を取って見せたようにしか見えません。政権の焦りが露呈した形です。

 

場当たり的な決定で現場が混乱

 専門家会議の意見を踏まえて225日の昼に発表された「基本方針」でも、学校の休校はおろか、ただのイベントすら「全国一律のイベント自粛要請は行わない。」とまで明記し、報じられていました。その舌の根も乾かないうちに、26日にはイベントの自粛要請を行い、27日の全国一斉臨時休校の要請に至ったものです。

25日の基本方針発表後、新型コロナの感染が劇的に拡大したわけではありません。おおむね予想されていた範囲で感染者数、死亡者数が増えているだけです。今回の対応は、「政権は何もやっていない」という内外の世論に反応したものでしょう。

 

最悪を想定することは当然だが

 危機に際しては、最悪を想定してそれを避けるためにできるだけのことをすることは、指導者として当然です。だから、私は、今回の措置そのものには反対ではありません。ただ、場当たり的で、現場や社会を混乱させないための配慮に欠けていたことはたしかです。

 また、最悪を想定してそれを避けようと思えば、原発再稼働など思いもよらないと思うのですが、政権はそれを推進しています。今回の判断も、危機管理の原則に従ったものではなく、内外の批判をかわすための判断なのでしょう。

 

政権には損はないだろうが

 今回の決定は、政権には損はなく、行うべきものだと思います。

 ウイルスの拡散を抑制できれば、この決定が功を奏したと言えるし、抑制できなかった場合でもこうしなければもっと酷いことになっていただろうと言うことができます。逆に、このような対応を取らずにウイルスが蔓延すれば、大批判を浴びるでしょう。どちらにしても、ここに至れば行うべき決定だったと思います。

 ただ、もっと早く中国からの入国を制限する措置を取るなど、先手を取っていれば・・・。

 

 今回の決定の最大の被害者は、小さい子供を抱えた共働きや一人親の世帯でしょう。政府も経済界に有給休暇の対応を呼びかけていますが、企業に対応を呼びかけるだけでなく、具体的な対策を早急に講じていただきたいと思います。

 にほんブログ村 ニュースブログ ニュース感想へ
にほんブログ村 ご覧いただきありがとうございます。

 
サイト案内(目次) 

 安倍政権が、従来から国家公務員法の定年延長の規定の適用は除外されていると解釈されてきた検察官(検事)について、解釈を変更したとして、東京高検の黒川検事長の定年を延長したことが騒動になっています。報道が相次ぎ、どれが客観的な事実でどれが裏付けのない主張なのか分かりにくいので、整理してみました。

 

客観的事実

1/31 東京高検黒川検事長の定年を延長する閣議決定(本来の定年は2/7

2/10 立憲民主党の衆議院議員が、国会で、1981年の国会答弁で人事院が国家公務員法の定年制は検察官には適用されないと明言していたことを指摘

2/12 人事院給与局長が、国会で、「現在まで81年の解釈は変更していない」と答弁

2/13 首相が国会で「検察官の勤務延長に国家公務員法の規定が適用されると解釈することとした」と法解釈の変更について答弁

2/19 人事院給与局長が、国会で、12日の答弁を「つい、言い間違えた」として撤回し、「現在まで」を「1月22日に法務省から相談を受けるまでは」に修正

2/19 森法務大臣が、国会で「1月1721日に内閣法制局と、同2224日に人事院とそれぞれ協議し、双方から「異論はない」との回答を得たため、同29日に黒川氏の定年延長を閣議に諮ったと説明。また、国家公務員法の定年延長が検察官に適用されないとする過去の政府見解を知った時期を問われ、「人事院から見解が示された時で、1月下旬だ」と答弁

2/26 森法務大臣が、国会で19日の政府見解を知った時期についての答弁がこれまでの答弁と時系列が合わないと指摘され、「(19日は)騒がしい中で質問がしっかりと聞こえなかった」などと述べ、事実上撤回

 

明らかなのは

 もう滅茶苦茶です。

 明らかなのは、119日の人事院給与局長が12日の答弁を撤回した答弁は、絶対に嘘だということです。法務省から、国会で説明している過去の法解釈を変更する相談を受けて、変更に応じていたなら、そんな大事なことを「つい言い間違える」はずがありません。

 官邸、法務省、人事院とも、1981年に国会で法解釈を明言していることについて、210日に野党に指摘されるまで気づいていなかったことも明らかです。気づいていたなら、突っ込まれないように形式を整えておいたでしょうから・・・。人事院には相談すらなかったのかもしれません。

 131日の閣議決定が誤りであったことは明白で、それを隠すためにつじつま合わせをしていることも明確です。茶番を演じさせられる高級官僚の皆さまはお気の毒だとも思いますが、開き直って全部本当のことを言ってしまえばいいのにと思います。

 

口頭での決裁

 法解釈の変更について、決裁文書がなく、口頭での決裁だったと言い訳されています。

 軽易な案件については口頭だけの決裁もありますが、国会で説明している法解釈の変更のような重要案件では、あり得ません。法務省の言うように、重要な案件は、文書を回すだけでなく口頭で説明しながら決裁を受けることも普通です。しかし、その場合も、起案文書への決裁は必ずしてもらうものであり、口頭だけで済ますなどは、あり得ません。

 

 安倍政権の末期症状が一段と深まった感があります。

 にほんブログ村 ニュースブログ ニュース感想へ
にほんブログ村 ご覧いただきありがとうございます。

 
サイト案内(目次) 

 新型コロナウイルス対策として、軽症者が医療機関に殺到するのを防ぐため、厚生労働省は2月17日、「風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続くか、強いだるさや息苦しさがある人は、保健所に設けられた帰国者・接触者相談センターに相談するように」という目安を公表しました。

 私は、狙いは理解できるのですが、この目安は現実的ではなく、役に立たないのではないかと思っています。

 

その前に受診してしまう

 日本人は医者にかかりすぎるのかもしれませんが、そんな発熱が4日も続く前に医療機関を受診してしまう人が多いのではないかと思います。特に、今はインフルエンザの季節です。特効薬のタミフルなどは、発症後48時間以内に服用しなければ効果が期待できないと言われています。

 インフルエンザのような症状があれば、1日も早く回復して仕事や学校に復帰するため、すぐに受診したくなる人が多いでしょう。

 

経過観察中は職場へは?

 一般的なサラリーマンの心理として、37.5度くらいの発熱で、受診もしないまま、4日も職場を休む気になれないのではないかと思います。具合が悪かったら出勤しないような呼びかけもされていますが、休暇の扱いも各雇用主に任されるようなので、実効性は期待できません。我慢して出勤し、万一その人が新型コロナウイルスに感染していたら、大変なことです。

 結局、インフルエンザかもしれないという理由で医療機関を受診してしまう人が多いでしょう。

 

勤怠管理も苦労するかも

 具合の悪い職員が、年次有給休暇を取得して休むなら問題はありません。病気休暇(公務員の場合は有給)を取得しようとする場合が悩ましいと思います。

 私の今の職場にはいませんが、かつての職場で、年休を使い果たして特に明確な持病もないのに、発熱だとか腹痛だとかで病気休暇を頻繁に取得する職員がいました。

そんな職員から電話で病気休暇の申請があった場合、上司としては、本当に具合が悪いのか確認したくなります。一般に、短期間の病気休暇については、特に診断書を求めない職場が多いと思います。お金もかかりますから・・・。

そんなとき、「具合が悪かったら、ちゃんと医者で診てもらいなさい。出勤する時、その領収書(診療明細書)を持ってきて見せてください。」くらいのことは、言いたくなるかもしれません。

 

 症状が軽い場合、受診などせずに家で寝ていた方がいい場合が多いことは分かります。しかし、医者にかからなくていい病気休暇が多くなると、あまり真面目とはいえない職員を抱える職場の管理職は、苦労するかもしれません。
 
 にほんブログ村 政治ブログ 地方自治へ
にほんブログ村 ご覧いただきありがとうございます。

 
サイト案内(目次) 

 ほとんどの地方公共団体で「地方公務員月報」という総務省編集の雑誌を購読していると思います。先日、それを眺めていたら、平成29年度中に退職した人の再就職の状況についての記事がありました。

 

定年退職者の状況

 平成29年度の定年退職者68,541人のうち、再就職した人は48,191人(70.3%)です。最も多いのはその団体に再任用された人32,962人(定年退職者の48.1%)、次いで同団体で臨時・非常勤職員として採用されたのが6,165人(同9.0%)、その他が9,064人(同13.2%)です。

 再任用を選ぶ人、特にフルタイム勤務を選ぶ人が年々増えているとのことです。年金支給開始まではしっかり働かなければ不安ですから、この傾向は当然でしょう。

 

勧奨退職者の状況

 平成29年度の勧奨退職者8,382人のうち、再就職した人は1,534人(18.3%)です。最も多いのはその団体で臨時・非常勤職員として採用された人632人(勧奨退職者の7.5%)、その他が902人(同10.8%)です。

 この結果には、少し考えさせられます。

 

自主的に退職して臨時・非常勤職員に?

 勧奨退職する人には、いくつか類型があります。

疲れてこれ以上働き続ける気力、体力を失った人、親の介護などで勤務継続が困難になった人は、再就職しない人が多いでしょう。

都道府県の上位役職者、技術系職員などでは、関係団体、民間企業等への再就職のために勧奨退職する人がいます。

しかし、定年前に早期退職しながら、またその団体に非常勤職員として勤めるというのは、一般的には考えにくいケースです。給与も半分以下になることが多いでしょうから・・・。

私の知り合いで、この道を選んだ人が一人だけいました。彼は、県の出先機関の次長クラスの職員でしたが、もう責任の重いフルタイムの仕事は嫌だと言って、定年の2年前に勧奨退職に応じ、県の産業廃棄物の不法投棄を取り締まるための巡視員になりました。

老後の生活に不安がなければ、そういう選択もありなのでしょう。

 

 2022年には公務員の定年が65歳まで延長されるかもしれない状況です。寿命が延び、年金財政を維持するにはやむを得ないことかもしれません。しかし、現在でも定年前に働く気力が衰えてしまう高齢職員が存在することも確かです。全員が元気満々なわけではありません。

 年金支給年齢の引き上げはやむを得ないと思いますが、定年を一律に延長するより、再任用制度の拡充の方がいいような気がするのですが・・・。

 にほんブログ村 政治ブログ 地方自治へ
にほんブログ村 ご覧いただきありがとうございます。

 
サイト案内(目次) 

 感染経路が明確でない新型肺炎の感染者が増えつつあり、政府は、専門家会議の意見等を踏まえ、「不要不急の会合」の中止、自粛などを求め始める気配です。東京マラソンも一般ランナーの参加ができなくなりました。

 しかし、この「不要不急」の判断に頭を悩まされる人が増えてくると思います。

 

確定申告会場は大丈夫?

 2月17日(月)から所得税の確定申告の受付が始まったということで、テレビのニュースで申告会場の映像が流れていました。私は、近年は電子申告ですが、昔は税務署や確定申告会場に行って申告していました。

 まず列に並んで順番を待ち、順番が来て机に着いたら書類を準備して税務署員等が対応してくれるのを待ちます。私は、自宅で作成済みの申告書を税務署員に見てもらい、提出しましたが、中には、医療費の領収書なども集計しないまま持ち込んで税務署員に丸投げするような横着な高齢者もいました。

 ニュース映像でも、税務署員が、次々に来客に対応していました。あの申告者の中に一人でも感染者がいたら、税務署員が感染していたら、恐ろしいことになりそうです。

 確定申告会は、「不要不急」とは言えないでしょう。不要不急といえず、やらなければならない行事でも、危険がいっぱいです。

 

宴会、懇親会は自粛か?

 このような場合、真っ先に中止に追い込まれるのは、宴会や懇親会などです。

 我が職場でも、3月中旬以降には送別会が何件か予定されており、2月中にも関係先との懇親会の予定もありますが、予定通り実施できるのか、中止したほうがいいのか、状況を注視しているところです。

 今のところ我が県内では感染者は確認されていませんが、時間の問題のような気がします。

 

 結局、かなりの数の懇親会、パーティーが中止に追い込まれることになりそうです。地震などの災害の際は、過度の自粛は復興を妨げるとして、「自粛を自粛せよ」というような呼びかけもありましたが、今回はそれはできません。

 観光客の急減などで苦しい状況にあるホテル、飲食業界には、追い打ちをかける厳しい事態になるかもしれません。

 にほんブログ村 ニュースブログ ニュース感想へ
にほんブログ村 ご覧いただきありがとうございます。

 
サイト案内(目次) 

↑このページのトップヘ