地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

2020年07月

 台湾の李登輝元総統が亡くなりました。親日家として有名で、日本人を信頼し、励まし続けてくださった方です。

 その葬儀に、日本政府は、政府の代表を送らないことを早々と決めたようです。当然、「一つの中国」の原則を主張する中国共産党に気を使ったのでしょう。情けない限りです。

 これはあまりにも義理を欠く行為ではないかと思います。李登輝氏は、日本にとっては特別な友人だったのです。少しくらい中国共産党に文句を言われるくらいは、受忍すべきです。

 人の死は厳粛に弔うべきものです。葬儀に代表を送ったことで文句を言うようなアホがいたら、「この野蛮人!」と嘲笑ってやればいいのです。それを理由に習近平が訪日を拒否してくれば、願ったりかなったりです。

 

 李登輝氏は、今の台湾政府の見解と異なり、尖閣諸島を「日本のもの」と明言されていました。日本は過去に何度か台湾を裏切り、中国共産党寄りになってしまいましたが、氏は親日家であり続けてくださいました。台湾が親日国であるのも、氏の影響が大きいと思います。

 

 日本政府が代表を送らないことで、日本人は恩知らずと思われてしまうかもしれません。こんな政府を持って、日本人として恥ずかしく思います。

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 728日、東京都千代田区の石川雅己区長が、区議会の解散通知を議長に提出したことが報じられました。発端は、区長が、区内マンションの一般には販売されない「事業協力者住戸」を不動産業者から購入していたことです。これについて、便宜供与があったのではないかとして区議会が行った100条委員会で、区長が偽証や証言拒否を行った疑いがあるとして刑事告発する旨を区議会が決議しました。それを不信任議決と判断したとのことです。

 

地方自治法の制度

 地方自治法第178条では、議会が長の不信任の議決をしたときは、長は議会を解散することができ、解散しない場合は失職することになっています。

 また、同法第177条第3項では、非常災害の対応等にどうしても必要な経費を議会が否決し、それを長が再議に付しても再度否決した場合は、長はそれを不信任の議決とみなすことができることになっています。

 内閣総理大臣と衆議院との関係とは異なり、自治体の長が議会を解散できるのは、議会が不信任の議決をしたときに限定されています。また、不信任議決とみなすことができるのも、災害対応経費等に係る再議での否決に限られていると解釈すべきでしょう。

 不信任議決も災害経費の再議の議決も、3分の2とか4分の3の特別多数を求める等、通常の議決より要件が厳格になっています。刑事告発する旨の議決などは、普通の多数決の議決だったのでしょう。不信任議決とみなすことなど無理だと思います。
 解散は無効で、議会の活動はその後も有効に続いているでしょう。

 

 千代田区長は、無理筋を承知で逆切れしているだけかもしれません。県職員OBの私の感覚からすれば、東京都の区政担当部局が乗り出して収拾させるべき問題だと思うのですが・・・。皇居や霞が関のある千代田区で、まるで田舎の役場のようなドタバタ喜劇です。

地方自治法関連条文(参考)

176条 普通地方公共団体の議会の議決について異議があるときは、当該普通地方公共団体の長は、この法律に特別の定めがあるものを除くほか、その議決の日(条例の制定若しくは改廃又は予算に関する議決については、その送付を受けた日)から十日以内に理由を示してこれを再議に付することができる。

2 前項の規定による議会の議決が再議に付された議決と同じ議決であるときは、その議決は、確定する。

3 前項の規定による議決のうち条例の制定若しくは改廃又は予算に関するものについては、出席議員の三分の二以上の者の同意がなければならない。

(第4項以下省略)

177条 普通地方公共団体の議会において次に掲げる経費を削除し又は減額する議決をしたときは、その経費及びこれに伴う収入について、当該普通地方公共団体の長は、理由を示してこれを再議に付さなければならない。

(1) 法令により負担する経費、法律の規定に基づき当該行政庁の職権により命ずる経費その他の普通地方公共団体の義務に属する経費

(2) 非常の災害による応急若しくは復旧の施設のために必要な経費又は感染症予防のために必要な経費

2 前項第1号の場合において、議会の議決がなお同号に掲げる経費を削除し又は減額したときは、当該普通地方公共団体の長は、その経費及びこれに伴う収入を予算に計上してその経費を支出することができる。

3 第1項第2号の場合において、議会の議決がなお同号に掲げる経費を削除し又は減額したときは、当該普通地方公共団体の長は、その議決を不信任の議決とみなすことができる。

178条 普通地方公共団体の議会において、当該普通地方公共団体の長の不信任の議決をしたときは、直ちに議長からその旨を当該普通地方公共団体の長に通知しなければならない。この場合においては、普通地方公共団体の長は、その通知を受けた日から十日以内に議会を解散することができる。

2 議会において当該普通地方公共団体の長の不信任の議決をした場合において、前項の期間内に議会を解散しないとき、又はその解散後初めて招集された議会において再び不信任の議決があり、議長から当該普通地方公共団体の長に対しその旨の通知があつたときは、普通地方公共団体の長は、同項の期間が経過した日又は議長から通知があつた日においてその職を失う。

3 前2項の規定による不信任の議決については、議員数の3分の2以上の者が出席し、第1項の場合においてはその4分の3以上の者の、前項の場合においてはその過半数の者の同意がなければならない。

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 最近の中国、習近平の動きは、馬鹿げていて、なかなか理解できません。

 アメリカと経済覇権、技術覇権をかけた対立が決定的になっているときに、尖閣諸島や南沙諸島で挑発を繰り返し、香港で騒ぎを起こし、インドとの国境でも武力衝突を起こし、ブータンとまで国境紛争を起こしています。アメリカ一国との紛争だけでも分が悪いのに、わざわざ敵を増やそうとする動きは、正気とも思えません。単に、覇権主義、拡張主義、自らの力の過信だけでは、アホすぎます。

 しかし、先日(2020726日)、サンデーモーニングを見ていたところ、田中秀征さんのコメントで、ようやく中国の思惑についての一つの納得できる解釈に出会いました。

 

田中氏の考え

 田中秀征さんは、中国がこのような動きをすることを予測されていたとのことでした。田中氏によると、新型コロナの感染拡大の責任を国際社会から追及されることを避けるため、あちこちに火を着けて回っているのだとのことです。あちこちで騒ぎを起こす中で、誤魔化してしまおうという魂胆とのことです。だから、世界は、そんな動きにごまかされず、新型コロナ拡大の原因究明、責任追及をしっかりやらなければならないというのが、田中氏の主張です。

 

私なりの補強意見

 田中氏の意見は説得力があると思います。しかし、世界がそんなことで誤魔化されるものかという疑問を感じるかもしれません。

 そこで、私なりの補足説明、補強意見は、次のようなことです。

 中国は、あちこちで理不尽な主張をし、理不尽な騒ぎを起こすことで、世界に「こんな厄介者に何を言っても無駄だ!」「馬鹿には関わらないほうがいい!」と思わせ、責任追及をあきらめさせようという魂胆なのではないか・・・。

 

もう一つの可能性

 もう一つ、考えられる可能性は、成果を競う現地組織、機関が勝手に暴走し、共産党中央が統制できない状態になっているのかもしれないということです。

 旧日本軍の関東軍などで前例があります。

 

 いずれにしても、周辺国にとっては迷惑な話です。かつての秦から明の時代までの、周辺から尊敬される大国への道からは、遠ざかる一方です。

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 本書の帯には、「いま初めて暴かれる最高裁の闇!2回城山三郎賞受賞作家にして最高裁中枢を知る元エリート裁判官が描く本格的権力小説!」という文字が躍っています。

 内容は、与党の意向を受けた最高裁長官が、原子力発電所の設置認可に係る訴訟について、下級審が原発建設を差し止める判決を出すことを阻止するため、様々な画策をし、主人公やその友人の裁判官等がそれに抵抗する物語です。舞台は、1980年代後半という設定です。したがって、東京電力の福島原発の事故はまだ起きておらず、「日本の原発はチェルノブイリやスリーマイルと違って絶対に安全」という馬鹿げた神話がまかり通っています。

 「この作品は、架空の事柄を描いた純然たるフィクションであり、実在の人物、団体、事件、出来事党には、一切関係がありません。」という断り書きが冒頭にあり、さらに念を入れて著者自身の後書きで「あるパラレルワールドの物語」であると記されています。

 著者は、本書の主人公、笹原と同様、アメリカ留学、最高裁での勤務を経験した方です。

 主人公は、最高裁の事務総局、民事局付に配属され、その職務の中で、裁判官に対する人事権を背景とした最高裁の「闇」の部分を直接、間接に体験します。

 

 最高裁事務総局主催の「裁判官協議会」という会議が描かれています。各地の裁判長等が集まり、懸案について話し合う場のようですが、大きな問題についてはここで考え方のすり合わせが図られるようです。ここで最高裁から示された方向性に逆らう裁判官は、多くはないでしょう。

 

 行政の裁量を重視し、その裁量に著しい不合理がなければ是認するいわゆる「司法消極主義」と、原告側の主張に行政側がきちんと反証して危険性が無視しうるほど小さいことを立証しなければ差し止める立場との対立の構図です。これは、現在の原発関係の行政訴訟の構図でもあると思います。

 最高裁の組織などの描写や様々なエピソードが、あまりにもリアルで、内部を経験した人でなければとても書けないような内容です。わざわざ再三「純然たるフィクション」と断っているのは、フィクションとは思えないほどのリアリティーがあるからでしょう。

 

日本の司法制度、原子力発電所問題に関心がある方は、ぜひ一読をお勧めします。

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 河合元法務大臣夫妻が起訴されました。逮捕される前の雲隠れしているころから、国民の間では議員報酬を支給し続けることについて批判がありました。

 現在、与野党から議員辞職を求める声があがっていますが、辞職などはしない気がします。そうなると、多額の議員報酬が払われ続けることになり、釈然としません。多くの国民は腹立たしく思っているでしょう。

 不祥事を起こした一般職公務員に対する勤務や給与の扱いは、国や地方自治体でも扱いに苦慮することがあります。

 

一般職公務員の場合

 一般職公務員の場合、刑事起訴されれば「起訴休職」の処分ができます。一般に、休職処分を受けると給与は支給されませんが、国や多くの自治体は、起訴休職の場合は60%を支給できるとしています。起訴されたといっても、推定無罪の原則が働くからでしょう。

 起訴されるまでは、逮捕されていたとしても、このような処分ができず、担当者が悩みます。昨年、神戸市がこのような場合に起訴されたと同様の対応をできる条例を定め、話題になりました。

 「不祥事を起こした職員の給与 神戸市の同僚教員いじめ事件」

 

国会議員にも何らかの措置が必要

 不祥事を起こした国会議員が、有罪判決を受けて失職するまで議席にしがみつき、議員報酬を受け続けることは国民が許さないでしょう。かといって、無罪の可能性もあるものを、単純に不支給にすることもできない気がします。

 大部分を保留しておき、無罪だったら支払い、有罪で失職したらそのまま没収のような制度がいいのではないかと思います。議席にしがみつこうとするインセンティブをなくすべきだと思います。

 政務活動費などは、もちろん、逮捕されて以降の政治活動ができない期間に相当する分は、返還または不支給にすべきでしょう。

 

 国会議員の不祥事が頻繁に起こっている今日、それに対応する報酬等の差し止め、減額の仕組がないのは、制度の不備でしょう。ついでに地方議員にも同様の制度は用意してくべきだと思います。

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