地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

2020年08月

 本書は、著者が、各所に招かれて行った4回の講演を取りまとめ、加筆したものです。西山浄土宗総本山・粟生光明寺での「法然上人とその母」、浄土真宗本願寺派・西福寺での「親鸞聖人の人生と思想」、時宗総本山・清浄光寺での「一遍上人の世界」、名古屋市のホールでの「共生(ともいき)とは何か」です。私は著者のファンで、御存命中に一度くらいお話をお聞きしたかったのですが、残念です。

 

草木国土悉皆成仏

 著者によれば、法然上人の浄土宗以降の鎌倉新仏教は、すべて「草木国土悉皆成仏(そうもくこくどしっかいじょうぶつ)という共生(ともいき)の思想が流れており、この思想が日本人の考え方の特徴をなしているとのことです。人や獣はもちろん、草も気も国も土もすべてが成仏できるという考えです。この考えは、中国唐代の浄土教の僧である善導に由来するものですが、中国では発展せず、日本の天台密教で確立し、発展したとのことです。日本人のメンタリティーに合っていたようです。

 

貴族の宗教から民衆の宗教へ

 阿弥陀如来を信仰して極楽往生を願うのは、平安時代の浄土教も同じです。しかし、源信以来の浄土教は、ひたすら極楽浄土のことを考え、イメージしながら阿弥陀仏を唱える「観想(かんそう)念仏」でした。イメージしやすいように平等院鳳凰堂まで造営されました。

 しかし、日々の生活に追われる庶民が、浄土のことばかり考えていられるはずがありません。それで法然上人は、口先で「南無阿弥陀仏」を唱えればいいという「口称念仏」を説きました。これにより、仏教が庶民に広がったとのことです。

 また、法然上人の父親は「悪党」だったそうです。悪党とは、「悪いヤツ」という意味ではなく、平安末期、鎌倉時代に支配者に抵抗した武士集団のことです。その悪党だった父と母は、敵に夜討ちをかけられて亡くなったようです。悪党だった父や母、その血を引く自分も極楽往生できる道を探した結果、浄土宗を開くに至ったとのこと。

 それ以前の仏教では、女人は極楽往生できなかったようですが、この教えにより、法然の母をはじめ、女性も救われるようになりました。

 

 法然が始めた革命的な仏教を親鸞や一遍がさらに発展させました。

 私は、親鸞については多少の知識はありましたが、一遍については、受験の日本史で覚えた、時宗踊念仏という断片的な知識だけでした。一切のこだわりを捨てた人物のようです。

 仏教、阿弥陀信仰についての考えを、少し深めることができました。

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 2020828日、ようやく安倍総理が退陣を表明しました。2019年春の桜を見る会のゴタゴタあたりから、もう長くないだろうと感じていましたが、「ようやく!」という感じです。

 やはり、在任記録更新を狙って、近頃は矢面に立つことを避け続けていたのでしょう。

 持病の悪化はお気の毒だとは思いますが、負のレジェンド(憲法を無視して国会召集に応じない、公費で支援者らを接待、公文書改ざんなどの官僚組織の私物化・・・)が大きすぎて、ねぎらう気持ちにはなれません。日本の政治に大きな汚点を残しました。

 

辞める前に国民への説明責任を果たしていただきたい!

 安倍総理は、数々の疑惑が中途半端な状態になっています。辞める前に、それらのことについて国民にきちんと説明していただきたいのですが、おそらく逃げ切りを図るのでしょう。

 森友学園の問題、桜を見る会及びその前夜祭の問題、河合案里陣営に供与した15千万円の問題・・・

 検察も、総理が辞任したからといって有耶無耶にせず、犯罪に当たるものはきちんと捜査していただきたいものです。

 

次期政権への希望

 次期政権は、取りあえず、まともな政権であってほしいと思います。「まとも」というのは、憲法や法律を守る、自分の都合で過去の法解釈を勝手に変更しない、見え透いた嘘をつかないということです。

 韓国との一連の懸案については、国際法、過去の約束に基づき、妥協せずに対応することとし、そのことを早めに宣言していただきたいと思います。

 

 国民をこれほどうんざりさせるまで、安倍政権を護持し続けた自民党には、おおいに反省していただきたいと思います。私のような元県職員で元々は保守層の人間まで、すっかり自民党嫌いになってしまいました。私の周囲には、そんな人間が大勢います。

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マイナンバーカードの交付を受ける

 マイナポイントを獲得するため、妻のマイナンバーカードの交付を受けました。ポイント目当ての申請が立て込んでいるということでしたが、危惧したほどでなく、7月19日(日)に自宅のパソコンから申請し、8月18日(火)に市役所から「交付するので電話で日時を予約して受け取りに来て」ほしいという葉書が届きました。約1か月です。

 妻が電話したところ、予約の時間帯は20分刻みで設定されていて、かなり混んでおり、希望の時間帯で空きがあったのは約1週間後でした。

 我が家の場合は、制度発足時に個人番号通知カードと一緒に送られてきていた「マイナンバーカード交付申請書」を保管してあったので、それに記載されていた申請番号を使ってオンラインで申請できました。それを保管していなければ、交付申請書を取得して郵送する手間がかかったようです。

 私の分のカードは、所得税の確定申告(e-Tax)で使用するため、制度発足時に取得していました。

 

カードなんて必要?

 マイナンバーを行政などの様々な情報とリンクさせ、一元的に利用できるようにすることは有意義だと思います。しかし、国民にカードを持たせる必要などないと思います。

 私は、e-Taxの申告時だけ自宅パソコンでカードを使用しますが、携帯したことはなく、自宅で大事に保管しています。また、国税庁は、マイナンバーカードなしでもマイナンバーを使ってe-Taxで申告できる「ID・パスワード」システムの運用も始めています。

 報道では、厚労省が2022年夏までに、患者が健康保険証代わりにマイナンバーカードを使った場合に過去の診療情報等を得られる仕組を導入するとのことです。健診情報もリンクされるようです。しかし、これも健康保険証にマイナンバーをリンクさせれば済む話で、国民にマイナンバーカードを持ち歩かせて健康保険証代わりに使わせる必要などありません。

 政府は、マイナンバーを使って行政を効率化することを考えればいいのであって、国民にカードを取得させる必要などないでしょう。預貯金口座とのリンクも、カードの取得とは関係なく進められるはずです。

 

 カードの発行について、怪しげな利権でも絡んでいるのでしょうか?

 壮大な無駄遣いに終わった住民基本台帳カードの二の舞だと言われないために、カードの発行枚数だけでも稼ごうとしているのでしょうか?

 「大金を無駄にした「住民基本台帳カード」システム」 参照

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 安倍総理は824日に在任期間が佐藤栄作氏を超え、歴代最長となったことが大きく報じられました。支持率の推移等を見ると、国民の多くはこの政権に飽き飽きしており、一日も早い退陣を希望しているようです。

 

なぜこんなに長くなった?

元々あの人は、長く総理の座にとどまることだけを目的にしていたようですが、特に最近はその姿勢が目立ちます。野党が憲法に基づく手続で国会開会を要求しても応じない閉会中審査にも出席しようとしない大事な場面で記者会見も開こうとしないやむを得ず行った会見ではロクに質問も受け付けずに打ち切る・・・。

「やる気がないなら辞めてくれ!」と言いたくなるような怠け者ぶりでした。過労による体調不良など、ふざけるなと言いたいところです。

気持ちは分かります。国会や記者会見を開けば、コロナ対策の混乱や失政、再燃しつつある森友学園の問題、河合前法務大臣夫妻の問題などを追及され、答えに窮することが明白ですから・・・。静かに大人しくして、在任記録の達成を狙ったのでしょう。

長い在任を助けたのは、野党のだらしなさ、自民党内のだらしなさに加え、北朝鮮と韓国です。失政が明らかになったり、不祥事が起こったりして政権がピンチになると、北朝鮮がミサイルを飛ばしたり、韓国政府がアホなことをして、国民の批判が鈍ってしまいました。

「韓国、北朝鮮は安倍政権の最高の応援団」 参照

 

 ご本人たちは、アベノミクスなる経済政策が功績だと考えているようですが、他国に比べて経済成長率はもとより、株価の上昇も低い水準です。以前より日本の株価が上がっているのは、世界的な好況が続いた影響と、日銀などがETFを大量に買いこんで株価を釣り上げているだけです。とても「功績」などと言える代物ではありません。

 コロナ騒ぎが始まる前に、日本の経済がマイナス成長に転じたことも明白になっています。

 

もう引き時だ

 官僚からの求心力も落ちています。広島、長崎の原爆記念式典の式辞がコピペだったことは、そのことを象徴しています。注目される演説ですから、同じ趣旨のことを言うにしても、表現を変えて、全く同じだと思われないようにするのが役人の常識です。その手間さえ惜しんだということは、官僚の士気が低下しているのでしょう。

 政界での求心力は、言うまでもありません。

 

 まだ少しは力の残っている今のうちに、辞任するのが本人のためだと思います。これ以上しがみついていると、旧民主党の菅元総理のように、石もて追われる、寄ってたかって引きずり降ろされるような羽目になりかねません。

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 音信不通となった子の名義の携帯電話の利用料金について、親が支払いを拒否できるか争われていた訴訟で、83日、東京地裁は「親が拒否すれば請求を止めることができる」と判決しました。なぜこんなことが訴訟にまでなるのかと思うほど、常識的な判決だと思います。

息子が15歳の時に携帯電話を契約し、親が料金を払うとの同意書にサインしましたが、成人した息子が音信不通になり、毎月10万円近い料金が引き落とされるようになったとのことです。ソフトバンクに請求先変更を求めたものの「契約者本人が手続しなければ変更できない」と拒否され、提訴に至ったとの報道です。

判決では「同意書に基づく支払いは任意で、維持する義務はない」「その後は息子に請求し、支払いがなければ強制解約することになる」とし、父親が支払いを拒否して以降の計約20万円の引き落としには根拠がないとして返還を命じました。

ソフトバンクは、控訴せず、判決は確定しました。

 

杓子定規な解釈より具体的妥当性

 判決の内容は至極当然なものです。この状況で父親に携帯料金の支払を続けさせるなど、社会正義に反するでしょう。

 しかし、法律的に考えると、契約上の根拠なく本人以外の者に契約内容の変更を求めたり、契約解除を求めたりすることを認めるのは、難しい面もあったでしょう。

 約款の文言の杓子定規な解釈より、具体的妥当性、社会正義を優先すべきことを示す好例だと思います。

 

ソフトバンクの判断は

 父親の求めを拒否したソフトバンクの判断は、おそらく、本社の法務部門や顧問弁護士に相談した結果ではないと想像しています。法務部門等が関与した上での判断だったとしたら、少しお粗末です。現場の判断で拒否し、そのまま訴訟に至ってしまったような気がします。

 控訴しなかったことは、当然とはいえ、的確な判断でした。

 

 行政の場でも、杓子定規に規則に従おうとすると、公正とは思えないことになったり著しく不合理なことになったりする場面が時々あるものです。規則、条例などは、不備を発見したときは速やかに改正することが必要です。

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