地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

2020年10月

 915日付けで厚労省老健局長の名前で出された「令和2年度新型コロナウイルス感染症の流行下における一定の高齢者等への検査助成事業(令和2年度予備費分)の実施について」という通知の扱いに悩んでいる市町村が多いようです。

 

助成事業の概要

 行政検査(濃厚接触者を対象とする検査等)以外で、市区町村が事業主体として、一定の高齢者や基礎疾患を有する者本人の希望により検査を行う場合、国が助成するものです。

 検査対象者は、65歳以上の高齢者と、基礎疾患(慢性腎臓病、糖尿病、高血圧など)を有する者です。

 対象となる検査は、PCR検査(基準単価20,000円)と、抗原定量検査(基準単価7,500円)です。国が基準単価の2分の1を助成、残余を市町村が負担し、本人負担はないことが原則ですが、本人から負担を徴収する場合は残りの半分が国の助成額になるようです。

 実施要件として、行政検査等を含めた検査の全体調整を行う都道府県と協議、調整することになっています。行政検査等に支障をきたさないようにということでしょう。

 

市町村の悩み

 住民にとってはありがたい事業のようですが、困惑している市町村長も多いようです。

 まず、検査が可能な医療機関等に問い合わせて、「とてもそんな余裕はない」と断られた市も聞こえてきます。その市では、隣の市では実施の方向なので、住民からの苦情を恐れています。

 自己負担がないということになれば、昼カラに励んでいる元気な高齢者も、安心のため、または興味本位で検査を受けるでしょう。それほど検査体制に余裕がある地域は、多くはないでしょうし、市町村負担分の予算も大変です。

 また、偽陽性や無症状の陽性が多数出た場合の医療機関等の対応を心配する市町村もあります。

 

 思い付きのような、予算消化が目的のような気がしてしまいます。こんなお金があったら、減収に苦しんでいる医療機関が経営破綻しないように、支援をさらに手厚くした方がいいと思います。

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 著者は、MMT(現代貨幣理論)の論者のように、日本のように国債のほとんどを国内で消化しているような国はどんなに国債を発行しても破綻することはないと主張しているのではありません。国家が無限に借金をできるなら「錬金術」だと言います。日本の国家が破産するかもしれないという前提で、個人としてどのように危機管理すべきかを説いています。

 歴史的にみると、国家が破産状態になることは、頻繁に起こることです。このような危機は、戦争、内乱、原発事故のように、個人としては管理できないリスクよりはるかに対処しやすいものだとのことです。

 

財政破綻する時

 国が破綻するのは、借金の返済に窮した時です。その時に経済的に起こるのは、①金利の上昇、②円安、⓷インフレ の3つで、それ以外のことは起こらないとのことです。

 財政破綻は、国債の暴落による金利の急上昇をきっかけに始まります。他の理由で円安やインフレが発生しても、金利が大きく上がらなければ、景気回復につながるので、財政は破綻しないとのことです。

 国債が暴落し、金利が急上昇すると、国債を大量に保有している金融機関の経営が危険になります。また、変動金利で住宅ローンを借りている個人などが返済不能になり、破産、自殺が急増します。

 

 これまでも国の財政が破綻する時は、極端なインフレ(ハーパーインフレ)が発生し、国民が保有している預金等の価値を減少させることによって国家の借金が清算されてきました。

 

個人としての対応

 本書では、財政破綻に備える金融商品として、国債ベアファンド、外貨預金、物価連動国債ファンド、変動金利型の個人向け国債などが紹介されています。

 

 本書は、いくつか「コラム」が差しはさまれています。そこには、「国債価格が下がると金利が上がる」「インフレになると通貨は下落する」「金利が高くなると通貨は下落する」といった経済、財政の基礎知識が解説されています。

 私は今まで金利が高い方が通貨は上昇すると思い込んでいましたが、それは一時的な現象で、長期的には金利が高くなると通貨は下落することが分かりました。

 

 なかなか読み応えがあり、経済の基礎知識も得ることができました。

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 1023日(金)、政府が、今年から来年の年末年始の休暇を111日(月)の成人の日まで延長するよう提言することが報じられました。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、初詣や帰省などの人出を分散させることが目的とされていますが、疑問です。本音は、経済の活性化、政権の人気取り策でしょう。

 また、公務員や公立学校の対応など、具体的なことが26日時点でまだ示されず、場当たり的な印象を禁じえません。

 

唐突過ぎる!

 令和への改元の際は、祝日法の改正により10連休になりました。今回は、祝日法改正などの言及が今のところ一切ないので、制度的な対応をするつもりがないようです。経済界などへの要請、お願いになるのでしょうが、こんな急な話に応じられる企業がどれほどあるか、疑問です。普通は、もう業務のスケジュールは決まっているでしょう。

 1週間も休暇を延長して、業績に影響しない企業など多くはないと思います。

 国家公務員、地方公務員は、どうするつもりなのでしょう。制度改正がなければ閉庁にはできず、勤務条件法定主義により、法令(条例も含む。)に基づかなければ休暇もダメでしょう。公務員が実施せず、民間にだけ求めても・・・。

 公務員に年休の消化を推奨しても、公務員の年休は暦年単位(1月~12月)で付与している団体が多く、年の初めに年休の消化を推奨されても、応じにくいと思います。

 コロナによる休校が続いて、一生懸命に学習の遅れを挽回しようと頑張っている学校はどうするのでしょう。冬休みの短縮を予定していたところもあるでしょう。

 

応じられる業種、職種は?

 もともと土日にも営業しているサービス業などは、応じるはずがありません。

 医療機関も、正月休みを1週間も延長したら、住民も困るでしょうし、コロナによる減収で危機的な状況にある経営が、さらにヤバくなるでしょう。

 製造業や、事務系のオフィスなどは可能かもしれませんが、そこで働いている非正規の労働者は、収入が減って生活が苦しくなる恐れがあります。

 

誰の利益?

 連休が延長されて旅行に行く人などが増えれば、感染拡大につながるでしょう。これが感染拡大防止に役立ちそうな気がしません。

 喜ぶのは、Go To トラベル、Go To イートで既に恩恵を受けている業種と重なりそうです。

 令和改元の際も、10連休を楽しむ上級国民とそれに奉仕する下級国民という構図になりました。今回も、社会的弱者といわれる人たちには恩恵がありそうもなく、苦境が深まる恐れがあります。そうならないような措置が行われるよう希望します。

P.S 言い出してはみたものの現実的に困難であることが分かったようで、翌週には早くも「分散取得を促す意図だった。」などとトーンダウン、軌道修正(実質的に撤回)を余儀なくされたようです。考えてから発言してほしいものです。

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 108日、「新型コロナ対応・民間臨時調査会」(コロナ民間臨調)が報告書を発表したことが報じられました。この報告は、安倍前首相ほかの閣僚、専門家、官僚ら83人に聴き取り調査などを行い、政府の新型コロナウイルス対策を検証したものです。

 「やはりそうだったのか」と思う部分や意外だった部分がありますが、まずは、民間でこのような検証が行われたことに敬意を表します。また、安倍前首相はじめ、政権関係者らも、強制力がないと思われるこのようなヒアリングに、わりと誠実に対応していると思われ、少し見直しているところです。

 

公的機関ではできないのか?

 この民間臨調は、民間団体が母体のシンクタンクが企画し、財界人、学者などの委員、弁護士等のスタッフにより行われたようです。このような検証は、本来は政府が費用を負担して行うべきものでしょう。

 ただ、公的なものにしてしまうと、委員の人選が政権寄りになったりする弊害も考えられます。本来は独立性が尊重されるはずの人事院の官僚が、検察官の定年延長問題で、政権に忖度して白々しい国会答弁をしていたことは記憶に新しいところです。

 「カネを出しているのだから委員の任命にも責任がある。」などと、現政権なら言い出しかねないのも、記憶に新しいところです。

 委員の人選、事務スタッフの人事など、完全に政府の関与を排除したうえで、費用は国から支弁されるような制度が望まれます。

 

やはり失政が多かった

 専門家会議で議論もされないまま唐突に実施された休校措置、かねてより疫学的にはほとんど意味がないと言われていましたが、政権関係者にも反対が多かったようです。安倍前総理が、なぜあんな無意味で迷惑なことを急に決断したのか、報道でも依然として不明です。

 緊急事態宣言が遅すぎたのが東京都知事の発言の影響だったのは意外でした。ただ、パニックを恐れたことより、都知事に催促されて発令したような形になるのが嫌だったのではないかという気もします。

 厚労省がPCR検査の拡大に消極的だったのは以前から指摘されていましたが、足を引っ張ることまでしていたのですね・・・。情けない。

 「結果オーライ」という意見はもっともですが、日本人を含む東アジア人の何らかの遺伝的な特質が、大規模な感染を防いだのでしょう。政策がたまたま当たったということではないと思います。諸外国より甘い対応しかしていないわけですから・・・。

 

 このような検証は、意義のあることです。菅政権では、同じような失敗を繰り返さないようお願いします。

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202010月現在、発熱などの症状が出た場合、患者はまず保健所などに設置されている「帰国者・接触者相談センター」に連絡し、そこで新型コロナウイルスの検査が可能な医療機関につなげるかどうかを判断しています。しかし、風邪やインフルエンザで発熱患者が増える冬場には、この体制では間に合わない恐れがあるため、厚生労働省では、直接かかりつけ医など地域の医療機関へ連絡できるよう変更し、診療体制の強化を図っています。

 

混乱や感染拡大の心配

 これまでは、発熱等があって受診しようと思えば、直接医療機関に駆け込む人が多く、今後もいきなり医療機関に来てしまう人を完全になくすことはできないでしょう。

 また、国や医師会が期待している「かかりつけ医」も、私はあまり期待できないと思います。そもそも、風邪などの診察をしてくれる「かかりつけ医」を持っている人も、それほど多くないでしょう。私も、眼科だけはかかりつけ医がありますが、それ以外の診療科では、特にありません。高齢者の中には、整形外科のかかりつけ医だけはあるという人も多いと思います。

 たまたま内科系のかかりつけ医がいる人も、電話で相談しようなどとはせず、具合が悪ければすぐに受診しようとするでしょうし、そこから感染が広がってしまいます。。また、休日や夜間は電話も通じないクリニックが多いのが実情です。

 

電話相談体制の充実と周知の徹底を

 都道府県では、厚労省の通知を受けて、「診療・検査医療機関」及び「電話相談体制を整備した医療機関」の指定を急いでいるようです。

 多くの医療機関が手を挙げて指定を受けることを期待するとともに、まずは電話相談という点についての周知徹底をお願いしたいと思います。「診療・検査医療機関」が自宅から遠すぎれば、指定されていない近所の医療機関に駆け込んでしまう人も多くなるでしょう。また、電話相談窓口が混みあってずっと話し中だったりしても、直接受診してしまうでしょう。さらに、電話相談しても自宅での様子見を指示されるだけで、なかなか受診できないようでも、この体制は機能しなくなる恐れがあります。

 国や自治体は、医療機関が指定を受けやすいようにできる限りの支援を約束するとともに、住民への周知を徹底する必要があります。

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