2020年12月14日に開かれた全世代型社会保障検討会議で、児童手当の改正についての方針が決定しました。夫婦どちらかの年収が1200万円以上の場合は、児童手当の特例給付を廃止するとの内容です。この内容については、既に政府与党で合意済みとのことなので、ほぼ確定なのでしょう。
しかし、この改正は、目先のことしか考えていない愚策です。
現在の制度と改正案
現在は、中学校卒業までの子ども1人につき原則月1万円(第1子と第2子は3歳未満、第3子以降は小学校卒業まで月1万5000円)が児童手当として支給されます。
ただし、所得制限があって、夫婦のどちらか高いほうの年収が960万円程度を上回る世帯には「児童手当」は支給されず、代わりに、年齢や子の数にかかわらず子ども1人につき月5000円が「特例給付」として支給されている。
今回の改正案では、2022年10月の支給分から、夫婦のどちらか高い方の年収が1200万円程度を上回る世帯には、この「特例給付」が廃止されます。
政策の優先順位を理解していない?
現在、日本の社会で最優先すべき政策課題は、少子化の問題です。少子化を少しでも緩和させるための政策は、最優先で行わなければなりません。今回の改正案は、明らかに逆行しています。
所得の低い人の多くは、月額15,000円くらいもらっても、子供を持とうとする気持ちには残念ながらなれません。むしろ、所得の高い人の方が、少しでもインセンティブがあれば子供を持つ気になるでしょう。少子化対策には、所得の高い人に多くの子供を持つことを奨励することが効果的であり、現実的です。でも所得の高い人だけ支援することなど不適当でしょうから、所得にかかわらず一律に支援すべきです。
年収1200万もある人は月額5000円くらい気にしないだろうと考えるのは、人間に対する理解不足です。苦労して高収入を得ている人は、敏感に反応するでしょう。
高収入世帯に対して特例給付を打ち切れば、目先は多少の財源が生ずるでしょうが、この層で子を控える動きが少しでも生じれば、長期的には大損害です。
人類を含め生物は、その時代の環境に適合する資質を持った個体が相対的に多くの子孫を設けることによって進化してきました。現在、高収入を得ている人は、現在の社会で有利な何らかの資質を持つ人たちです。その人たちが多くの子を設けることを人為的に邪魔してはいけません。
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