地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

2021年01月

 河野規制改革担当相が、1月25日の記者会見で、新型コロナウイルスのワクチン接種について、マイナンバーを活用して関連する個人情報を一元管理する新たなシステムを開発すると発表しました。間隔を空けて2回、同じ種類(メーカー)のワクチンを接種する必要があり、その間に転居する可能性なども考えれば、マイナンバーを使ったシステムで管理すべきなのは当然です。

 ワクチン接種については、全国民に市町村等を通じて接種券を配布し、接種会場(病院、公共施設等)を訪れてもらうことが検討されています。その際に、市町村がマイナンバーと接種券番号の情報、接種する病院等が接種券番号と接種ワクチンの情報を新システムに登録し、ひも付ける仕組のようです。そうすれば、転居などがあっても転居先の市町村で接種状況の把握ができるでしょう。

 このシステムの稼働について、河野氏は、「高齢者の接種開始に間に合うよう動かしたい」と述べているので、最初の医療従事者の接種に間に合わせるのは無理なようです。

 

マイナンバーカードは使用せず

 私が注目しているのは、このシステムは、接種を受ける人にマイナンバーカードの持参、提示などを求めていないことです。ここでマイナンバーカードの提示などを求めれば、ワクチン接種が進まないので、当然ですが・・・。

 つまり、国民にマイナンバーカードなど取得させなくても、マイナンバーを活用した効率的な行政サービスのシステムができるのです。

「やはり、そうなのか!」と思いました。

 2021年3月からマイナンバーカードを健康保険証として使えるシステムの稼働が予定されているようですが、あれだって、健康保険の各保険者が保険証とマイナバーカードをひも付け、それを政府等が一元的に管理するシステムがあれば、我々国民がマイナンバーカードなど持つ必要はありません。受診した人が提示した保険証を医療機関がカードリーダーで読み込めば、その人の直近の健康保険の加入状況が分かるシステムなど、簡単に構築できるでしょう。

 

マイナンバーカードなど携帯したくない

 私は、所得税の確定申告をe-Taxで行うため、マイナンバーカードを早々に取得していますが、持ち歩きはしません。自宅に大切に保管しています。

 いかに安全対策が講じられていると言われても、マイナンバーが記載されているカードを携帯したり、気軽に提示したりする気にはなれません。

 なぜ政府が躍起になって国民にマイナンバーカードを持たせようとしているのか、疑問が深まりました。

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 ネットでの報道によると、新潟県で、原子力発電所の安全に関する委員会の委員の再任を巡って、再任しない意向の県と再任を求める委員らとのバトルが勃発したようです。その構図が、日本学術会議の会員候補6人の任命を拒否した菅政権の対応と類似していると指摘する声もあります。

 

新潟県の原発検証作業

 県のホームページによると、県では、国による検証とは別に原発の安全性に関する検証を行っています。そのため、「福島第一原発の事故原因の検証」等を行う「技術委員会」、「原発事故が健康と生活に及ぼす影響の検証」等を行う「健康・生活委員会」、「万一原発事故が起こった場合の安全な避難方法の検証」等を行う「避難委員会」、それらを総括する「総括委員会」を設け、検証を進めて行くこととしています。

 今回、問題が起こったのは、「技術委員会」です。

 

問題の勃発

 今回、技術委員会の委員のうち柏崎・刈羽原発の再稼働に慎重な意見を持つ2名について、「70歳以上は極力避ける」という内規を理由に、3月末の任期満了に際して再任しない旨を県が電話で伝えてきたことが明らかになりました。

 全体で何名の委員を交代させる予定なのかは、明確ではありませんが、半数程度が入れ替わるとも言われています。これでは、審議の継続性が保てるか疑問です。

 県設置の委員会や協議会の運営について定めた内規「運営基準要綱」では、就任時に70歳以上となる委員の任命は極力避けるとしています。ただ、このルールは通常は柔軟に運用されており、今回拒否されて再任を求めている委員の一人も70歳以上になってから2度再任されているとのことです。

 

 新潟県議会は自民党が絶対多数で、原発の早期再稼働を求めているようです。知事は、自民党を与党としています。

 柏崎・刈羽原発の再稼働の議論が本格的に始まろうとしているこの時期に、慎重派の委員を差し替えようとすれば、都合の悪い意見を封殺しようとしていると思われても仕方ありません。

 どう決着するか、注目したいと思います。

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 本書は、ほとんどの人が読んだことがあるでしょうが、全体を読んでいる人は多くないと思います。無人島に漂着してから、そこを脱出して故国に帰るまでの前半部分は、子供向けのものでも何種類も出版されています。私も、子供のころ、何度も繰り返して読みました。

 後半(第二部)は、再び冒険の旅に出て、長年過ごした島へ行って、島に残された人々のその後の生活の様子を確認し、必要な援助をして、その後、アジア大陸を横断して帰る物語です。

 私が読み返したかったのは特に後半部分でした。図書館で探したところ、わざわざ「完訳」と銘打っていながら前半部分しか収録されていない本もあります。私が今回読み返したのは、岩波文庫の上下巻です。これはちゃんと、全体が収録されています。

 

 私が今回これを読み返そうと思ったのは、キリスト教に関する記載を再確認しようと思ったからです。ニーチェの「アンチクリスト」(キリスト教は邪教です)を読んだことがきっかけです。

 後半では、主人公が、アジアで、韃靼人が信仰の対象にしている偶像を侮辱して、火を着けて破壊します。それが、未開の邪教徒を啓蒙する美談として書かれており、キリスト教の傲慢さに腹立たしい思いをしました。それ以来、デフォーを読まなかったのですが、今回、45年ぶりくらいに読み返しました。

 

 読み返してみると、偶像破壊以外にも、宗教的な部分がたくさんありました。前半部分から、いろいろなきっかけで神の摂理を感じたり、また忘れて運命を呪ったりし、また反省する場面もあります。従者になったフライデーなどの「蛮人」をキリスト教に改宗させるために問答する描写もあります。

 

 著者は、何の説明もなく、証明もしないまま、「理性的な人間ならば、その本質からいって、神についての知識、また、神の最高の存在にたいして当然払うべき畏敬と崇敬の念についての知識を持つにいたるのは明らか」などと言っています。そのくせ、イエス・キリストや彼によって贖われた贖罪などの知識は、「天から与えられる啓示だけが、人間の魂の中にこれらの知識を育成することができる」などとも言っています。つまり、理屈で説明することはできないということなのでしょう。

 これでは、私のような者には、到底納得できません。ニーチェなら、欺瞞というでしょう。

 

 「ロビンソン・クルーソー」は、私のように信仰心など持っていない日本人には、子供向けの要約で、冒険や創意工夫、不屈の精神を学ぶ程度がちょうどいいようです。全体を真剣に読むと、腹が立ちます。

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公職選挙法違反(買収)の罪で起訴されていた河井案里参議院議員に対して、1月21日、懲役1年4月・執行猶予5年の判決が言い渡されました。地元を含めて多くの人々が、河合議員が一日も早く議員辞職することを求めています。それは、議員に居座り続ける限り多額の議員報酬等が支払われ続けることは、納税者として許せないという気持ちの表れです。

河合夫妻が起訴された際にもこのブログで書きましたが、一般職公務員と比較して非常に甘い制度になっています。

「不祥事を起こした議員に支払われる議員報酬等」 参照

 

起訴段階で報酬ストップを

 一般職公務員の場合、起訴の段階で「起訴休職」という制度があり、強制的に休職させて給与も差し止めることができます。「推定無罪」の原則は、議員でも一般職公務員でも同様であり、議員についてそのような制度を設けられない理由はありません。

 国会がこのような制度を立法化しないのは、意図的な不作為ではないかと疑っています。いつか自分が刑事被告人になった時も収入を得られるように・・・。

 納税者にそんな疑いを持たれたくなかったら、一日も早く立法化すべきでしょう。

 有罪判決が確定するまで報酬を保留しておいて無罪になったら支給するような制度でもいいと思います。

 

買収の意図などを問わない制度に

 河合案里氏は、現金を渡したことは認めながら、地方議員の当選祝いだったなどと、買収の意図を否定しています。これも、繰り返される構図です。

 こんな下らない言い訳を許さず、公職の候補者が有権者等に現金や有価物を渡せば即有罪、失職になるような制度にすべきでしょう。これも立法府の不作為なのでしょうか?自分がやった時に言い逃れる道を残しておきたい・・・。

国会は、ちゃんと仕事をしていただきたいものです。

 

 このような法案を提出しないとすれば、野党も同罪です。法案が提出され、誰がどのようにケチをつけるか、見てみたいものです。

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 都営地下鉄大江戸線2020年末から2021年始の約2週間、間引き運行していました。その原因となった運転士間の新型コロナウイルスの集団感染が、宿泊などで共同利用する庁舎の洗面所の水道のレバー(手回し式)で広がった可能性が高いことが、1月14日に報道されました。都交通局では、今後は手をかざすと自動的に水が流れるセンサー式への改修を検討するとのことでした。

 こういうことが起こりうることは以前から指摘されており、私もこのブログで、労働安全衛生関係の基準の見直し等を求めていました。

 「手洗い、洗面所の構造について提言したい」 参照

 

洗面所やトイレのドアなども危険

 水栓のレバーも危険ですが、私は使うときにレバーに軽く水をかけるなどの対策を取っています。

 対策の取りようがないのが、洗面所やトイレのドアです。新しい建物では、ドアなどに触れずに外に出られる構造になっていますが、手でドアを開けて外に出なければならず、出たところには手を洗う設備がないような建物もたくさんあります。私が出入りしている役場庁舎や企業、店舗にも、そんな建物があります。

 いつ大江戸線のようなことが起こっても不思議ではありません。

 

国、自治体や企業は早急に点検、対策を

 懸念していたことが現実に起こったのですから、厚労省は早急に、労働安全衛生の基準や公衆衛生の基準を見直すべきでしょう。

 自治体や企業も、基準の改正を待たず、早急に点検して、対策に着手すべきです。

 私が時々買い物をする店では、トイレで手を洗った後にドアを手で開けて出なければならない構造なのですが、ドアを出たところにアルコール消毒液を設置していました。施設の改修は急にはできないでしょうが、応急措置としてはそれで十分だと思います。

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