地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

2021年06月

 本書は、2010年から2015年まで南米ウルグアイで大統領を務めたホセ・ムヒカ氏が2012年にリオデジャネイロで行われた「国連持続可能な開発会議」で行ったスピーチの記録です。もちろん、環境問題に関するスピーチです。

 彼は、収入の大半を貧しい人たちのために寄付し、質素な暮らしを続けていて、「世界一貧しい大統領」として有名でした。

 本書は、ハードカバーですが絵本のような体裁で、30ページほどしかないので、10分ほどで読めました。

 

 彼は、各国代表にこう問いかけます。

 「もしもインドの人たちが、ドイツの家庭と同じ割合で車を持ったら、この地球に何が起こるでしょう。私たちが息をするための酸素がどれだけ残るでしょうか。」

 「70億や80億の全人類が、今まで贅沢の限りを尽くしてきた西洋社会と同じように、物を買ったり無駄遣いをしたりできると思いますか。そんな原料が、今のこの世界にあると思いますか。」

 さらに、6時間働けば食べていけるところ、いろいろなものを買ってローンを払い続けるために長時間働く生活が幸せか問いかけます。そして、我々が「幸せ」についての考えを改め、少しの物で家族や友人と楽しく暮らすことを目指すことを提案しています。

 

 本書を読んで、老子の「足るを知る」思想と同じだと感じました。

 

 今、「足るを知る」思想の本家本元である中国が、なりふり構わず生産と消費の拡大を続けています。たしかに、中国のすべての人が欧米並みの資源多消費型の生活をするようになれば、地球はもたないかもしれません。

 先進国が贅沢な暮らしを続けながら、発展途上国にはそれを禁ずることはできません。先進国に住む我々自身も、少ない物で楽しく暮らす生活に切り替えなければなりません。景気、経済成長にはマイナスでしょうが・・・。

 各国の足並みをそろえることは、非常に難しそうですが、やらなければならないでしょう。

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 宮内庁長官が定例記者会見の場で、天皇陛下が新型コロナウイルスの感染状況を「大変心配されている」とし、陛下が名誉総裁を務められている東京オリンピック・パラリンピックについて「国民の間に不安の声がある中で、開催が感染拡大につながらないか懸念されていると拝察している」と述べました。この発言や、この発言に対する政権幹部の反応が議論になっています。

 

陛下が心配されるのは当然

 全国の感染者数では感染が収まりつつあるようにもみえますが、626日の時点で東京都で何日も連続して前の週を100人以上上回るなど、大都市などではリバウンドの兆候が明確になっています。また、早々に来日したウガンダの選手団で二人も陽性者が確認されてしまいました。

 この状況では、開催が感染拡大につながらないか不安になるのは誰しも当然であり、常に国民に寄り添っておられる天皇陛下が懸念されるのも当然です。

 また、宮内庁長官が勝手に陛下のお気持ちを想像して発言したとは考えにくく、あれが陛下のお気持ちなのでしょう。政治介入に当たらないように注意した上での発言のようです。

 

無視する態度は不遜で焦りの表れ

 宮内庁長官の発言について、天皇が政治的な行為をすることを禁じている憲法に違反するという意見もあります。しかし、それを指摘するなら、賛否が分かれ、国民の過半数が開催に消極的なオリ・パラについて天皇陛下を名誉総裁に留め続けていたこと自体、天皇の政治利用に当たるというべきでしょう。

 菅総理、加藤官房長官などは、あの発言を「宮内庁長官本人の見解」とし、憲法違反を問わない代わりに無視する構えです。その姿勢に、政権の焦りを感じます。

 「陛下にご心配をおかけして申し訳ない。対策に万全を期す。」あたりが大人の対応というものだったでしょう。それをせずに、無視するような不遜な反応を示したのは、大人の対応をするゆとりがなくなっているのでしょう。無理もありません。

 陛下の懸念が現実のものとならないよう祈念しています。

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 決裁済み公文書の改ざんを強いられて後に自殺した近畿財務局の職員が残さした「赤木ファイル」が開示されました。かなり詳細な状況が記録されており、世間が想像していた通り、当時の佐川理財局長が改ざんを指示したことがほぼ明確になっています。

 

幹部以外の名前は黒塗り

 公文書公開制度では、公務員の職務の執行に関する情報は必ずしも不開示にしないことになっています。どのように公務を執行しているかを国民に知らせる必要性と、公務員個人の平穏な生活を保護する必要性を比較衡量なのでしょう。

 その点、今回の件について、幹部の氏名は開示し、それ以外の職員の氏名は黒塗りにしたことは、一応理解できます。財務省も反省したのか、これだけ世間の注目を集めている事件で変なことはできないと思っているのか、裁判所の心象を悪くしたくなかったのか・・・。

 これだけ公開されれば、何があったか判断するうえで、さほど支障はないような気がします。

 

今後の展開に注目

 今回明らかにされた事実がもっと早く公表されていれば、佐川局長へはもっと厳罰が必要だったでしょう。適材適所などとほざいて彼を国税局長に栄転させた大臣などにも責任を取ってもらう必要があるでしょう。

 裁判所では、裁判に関係のある範囲で「赤木ファイル」を精査するでしょうが、財務省、政府としても再調査が必要でしょう。これだけの資料を無視し、真相の解明、責任の追及を再開しないことは、世論が許さないはずです。

 時の政権の指示を受けて、あるいは時の政権に忖度して行ったことであっても、違法なことをすれば罰せられるということを全公務員、全国民に示していただきたいと思います。

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6月13日まで英国で開催された先進7カ国首脳会議(G7サミット)において、菅総理は、「安全、安心な大会開催に向け、万全な感染対策を講じ、準備を進めていくなどと東京オリンピック・パラリンピックを開催する方針を表明し、「世界のトップ選手が最高の競技を繰り広げることを期待している。強力な選手団を派遣してほしい。」と要請したと報じられました。日本政府によると、G7首脳は支持する意向を示したとのことで、菅総理は、世界の合意を取り付けたと得意になっているようですが、日本の国益を損ねたと思います。

 

各国が反対しないのは当たり前

 開催国が責任をもって安全・安心な大会をすると言っているのですから、各国は、お手並み拝見という態度であえて反対しないのは当たり前です。交渉、合意などというものではなく、社交辞令の範囲でしょう。それよりも、日本国内でも反対が多いものを勝手に国際公約にしてしまったことは問題です。

 また、「強力な選手団の派遣を要請」などしてしまえば、万一感染拡大が起こったときには日本の責任問題になってしまいます。補償を求められるかもしれません。

 さらに、他国にとっては日本の要請に応じて選手団を派遣することは、ほとんど追加的な負担のないことです。要請に応じた形になれば、日本側に貸しを作ることにもなります。逆に、日本は各国に借りを作ってしまったかもしれません。

 要請ではなく、せいぜい、「選手団を歓迎します。」くらいにとどめるべきだったのではないでしょうか?

 

 国内には依然として開催に反対する意見が多いようですが、総理が国際公約にしてしまったことで、専門家会議の尾身会長などは、開催自体に反対意見を表明することを諦めました。

 せめて、菅総理は、感染拡大が起こったらすべて自分の責任だから責任を取るくらいのことを、言えないのでしょうか?責任感のない男だ!

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 平成30年度税制改正により、大法人が行う令和2年4月1日以後に開始する事業年度の法人税、法人住民税、法人事業税などの申告は、電子申告により提出しなければならないこととされました。対象となる「大法人」とは、事業年度開始の時において資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人などです。

 

かなり強引だ

 資本金1億超というと有名な大企業ばかりでなく、従業員数が20人程度以下の会社でも該当する例もあり、全国で3万社ほどもあるようです。

 国税庁のホームページのQ&Aでは、「電子申告の義務化は、申告方法をe-Taxに限定するもので、書面による申告書の提出は認められません。このため、電子申告の義務化の対象となる法人が、e-Taxにより法定申告期限までに申告書を提出せず、書面により提出した場合、その申告書は無効なものとして取り扱われることとなり、無申告加算税の対象となりますので、ご注意ください。」という恐ろしい警告まであります。

 この強引、乱暴なやり方の背景には、大企業がなかなか電子申告への切り替えを行わず、税務署が申告書チェックの効率化を進められなかったいら立ちがあったようです。

 

6月末は大丈夫か

 多くの企業は3月末が決算期です。その法人税等の申告期限は6月末です。2020年度の中間申告で電子申告を一応経験した企業も多いでしょうが、本決算の申告は提出すべき帳票が膨大で、ずっと複雑です。中間申告は経理事務所だけで電子申告できたでしょうが、本申告は企業自身が電子申告せざるを得ないことも多いと思います。また、中間申告義務のなかった法人もあったでしょう。

 対象企業の経理に従事している知人によると、国税局の法人税の電子申告システムはまだ不完全で不便な点が多く、苦労している企業が多いようです。さらに、ヘルプデスクも電話がつながりにくい上、あまり行き届いた回答は期待できないようです。

 6月下旬に株主総会があり、総会後、各企業が一斉に電子申告を試みたときに、混乱しないか心配です。

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