前書「世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ」は、ウルグアイで大統領を務めたホセ・ムヒカ氏が2012年にリオデジャネイロで行われた「国連持続可能な開発会議」で行ったスピーチの記録です。そこには、少ない物で満足して暮らすことの大切さが説かれており、感銘を受けたので、本書も手に取りました。
「世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ」(くさばよしみ編)を読んで
本書は、ムヒカ氏が大統領退任後、自宅で行われたインタビューで子供たちに語り掛けたものです。前書は30ページ程度でしたが、本書は70ページ程度あります。でも絵本なので、短時間で読めます。
本書で語られている生い立ちによると、氏はスペインからの移民の父、イタリアからの移民の母の子として生まれ、7歳の時に父を亡くして、幼いころから様々な仕事に従事したようです。政権を倒すためにゲリラとして戦って4度も投獄され、獄中の読書で様々な自然科学(科学系の図書以外は獄中では禁止)の知識を学んだということです。
私はトランプ前大統領が起こした混乱などから民主主義に疑問を持ちましたが、しは、民主主義についてこう語ります。
「民主主義はとても古く、常に危機にさらされてきたけれど、
人間が本能的に必要とするかたちなんだ。
民主主義がすばらしいのは、永遠に未完成で、完璧にもならないからだ。
そして、平和的な共生を可能にするからだ。
民主主義は、異なる考えの人を尊重するからね。
これが社会を生きやすくする。ゆるぎない価値なんだ。」
また、宗教について、こんなことを言っています。彼は、キリスト教徒ではないのでしょうか?
「だって奇跡なんだよ、生きているということは。
何よりの価値があり、短く、二度と戻ってこない。
だから、この世にいる間にできるだけ幸せに暮らすことを心がけるべきなんだ。
死んだら楽園に行くという宗教があるけれど、楽園はこの世にあるべきなんだ。
楽園の鍵は、自分の心に、自分の意志にある。
ほんとうらしいことに、惑わされてはいけない。」
やはり、彼は、仏教などの東洋的な考えに近いようで、共感を覚えます。
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