地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

2021年11月

 どういうわけか、岸田首相が急に憲法改正に前のめりになってきました。安倍元首相に替わって保守層を引き付ける狙いでしょうか?

 私も、現行憲法には自衛隊の問題を含め、様々な問題があることは承知しており、憲法改正自体には反対ではないのですが、憲法の持つ根本的な問題を片づけないままの小手先だけの改正には大反対です。

 

完全な主権回復が先

 日本は、既に明らかになっているように、日米地位協定や日米安保体制に伴う密約によって、日本の国土を自由に軍事利用できる権利(基地権)や、戦時には自衛隊を米軍の指揮下に置く権利(指揮権)を現在もアメリカに奪われたままです。占領状態が継続しているような体制で、完全な主権を回復しているとは言えない状況です。

このような状況は憲法とは相容れないのはもちろんですが、日米安保条約が憲法に優越するという形です。この状態で国民の意思に基づいて憲法に手を付けてしまうと、半植民地のような状態を国民が容認したかのようになってしまうことが心配です。

完全な主権を回復し、あらゆる条約よりも憲法が優越する体制が整うまで、「米国に押し付けられた憲法」のままにしておくことが得策ではないかと思います。

 

米国とは普通の同盟関係に

私は、米国との同盟関係の解消など望んでいるわけではありません。日本が完全な主権を持ったうえで普通の同盟関係にすべきだと考えています。難しいことだとは承知していますが、他国の紛争に巻き込まれず、日本として国益を追求していくには避けて通れないでしょう。

また、国の尊厳、名誉の問題でもあります。改憲論者たちは、日本という国の名誉を気にしないのでしょうか?

 

完全な主権回復の過程を経ず、安直に小手先の改正をすることには、絶対に反対です。

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 2020年あたりから、税務を始めとして企業の仕事の仕方に変革を迫ることが相次いでいて、特に中小企業では対応に困り果てているようです。

「大法人」については令和2年4月1日以後に開始する事業年度の法人税、法人住民税、法人事業税などの申告を、電子申告により提出しなければならないこととされました。「大法人」とは、事業年度開始の時において資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人などです。資本金1億超というと大きそうですが、有名な上場企業ばかりでなく、従業員20人程度の会社もかなり含まれます。これは、平成30年度税制改正による制度改正ですが、実際に苦しんだ企業が多いのは令和2年事業年度の決算を終えた令和3年6月以降です。また、国税庁の法人税等の電子申告システムは、使い勝手があまりよくないと言われています。

 

 今、各企業が準備に追われているのは、消費税法の改正によるインボイス制度と、電子帳簿保存法の改正への対応です。

 インボイス制度はまだ準備期間があるのですが、電子帳簿保存法の方は令和4年1月から施行されるものの、各企業には十分に情報が伝わっておらず、混乱している状況です。

 請求書や発注書、領収書などをネットを使って送信すると「電子取引」になり、従来は紙にプリントアウトして保存することが基本だったものを、今後は電子データで保存しなければなりません。保存の仕方も、税務当局が検査に来たときに取引先名や取引年月日、金額などで検索できる形で、しかも後からデータの改ざんなどができない形で行わなければなりません。

 そんなシステムもまだ普及していない中で、頭を抱えている企業が多いようです。

 

電子政府化を急ぐのは分かるが・・・

 押印省略を国が推進していることも拍車をかけています。押印が必要だったためにこれまでは持参又は郵送していた請求書等をメールで送信するケースが増え、それらが「電子取引」になってしまいました。

 非効率な形で行ってきた行政の効率化を急ぎたい気持ちは理解できるのですが、急すぎます。このような改革は、20年ほど前から計画的に進めておくべきでした。各企業はあわてて税理士やコンサルタントに依頼することになり、かなりの出費になるかもしれません。

 

 これまでのんびりしすぎていたため、日本の事務部門の生産性は各国と比較して遅れてしまっていることは確かです。日本の国際競争力を回復させるにはやむを得ない道なのかもしれませんが、こうなってしまった責任の第一は、失われた30年の間のほとんどの期間に政権を担っていた某政党にあるでしょう。

 アベノミクスなど、カンフルにしかならないことを10年もだらだらと続けただけの愚策だったようです。

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 県庁を定年退職後、仏教に興味を持ち、漫画による入門書など、簡単なものを数冊読んできました。この世は無常であり、絶対的なものなどないことを深く悟り、平和で穏やかな境地に至るという仏教の基本的な教義については一応理解し、共感しています。しかし、その基本的な教義と、如来とか菩薩といったいわゆる「仏様」への信仰が結びつかず、違和感を持っていました。

 これまでに読んだいろいろな本から、あの「○○如来」などの仏様は無学な一般大衆を導くために創作されたものだろうと薄々感じていました。

 本書を手に取った(ブックオフの110円均一コーナーで購入)のは、そのことを確認したかったためです。

 

やっぱり・・・!

 釈迦の言動を伝える最も初期の経典の多くは、釈迦が弟子やその他の人々からの問いに答える問答の形が多いようです。問う人の現実的な苦悩に対して、その苦悩に対処していくための態度、心の持ち方について釈迦が解答する形です。

 「釈迦の答えには、たとえばかつてヴェーダ聖典やバラモン教に説かれたような、人間の力をはるかに絶した神も、いわんや創造を司りあるいは宇宙の進行その他を管理する神も、また祈祷や呪術や魔力を演ずる神秘も・・・一切登場せず、むしろそれらはすべて斥けられる。いわば不可思議で超自然的なるものは、ことごとく排し、それに類したものもすべて捨て去る。」

 「仏滅(釈迦の死)後に次第に増加して初期経典にもみえる超人化や、さらに神格化の施された釈尊像は、空想をもてあそんでとどまることのないインド人の特性によって、付加され粉飾された産物にほかならず・・・」

 「やっぱり!」という感じです。「○○如来」とかのありがたい仏様は、釈迦が説いたものではなく、後世の教団などが大衆ウケするように創作したものということです。

 

 仏教の研究者はもちろん、一般のお寺のお坊様も大学で仏教を学んでこられたのだから、当然そのことは承知なのでしょう。それでいながら、もっともらしい顔で仏様の法話などをされている・・・。

 人々を穏やかな境地に導くための方便なのでしょう。

 

難解だ!

 私の確認したかったことは確認できましたが、それ以外の部分、例えば「我」、「無我」など、難解です。「入門」という題名なのに、一度読んだくらいではなかなか理解が困難です。がんばって繰り返し読み、理解したいと思います。

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 2021年7月の東京都議会議員選挙中に無免許運転で人身事故を起こした木下富美子都議会議員が、ようやく辞職しました。7月の都議会議員選挙には「都民ファーストの会」から立候補して当選しました。問題の発覚後、除名処分になっていて、都議会から2度にわたって辞職勧告決議もされていましたが、居座り続けていました。

ようやく辞職したのは、都議会の内部で、法的拘束力のない「辞職勧告」ではなく、「除名」の決議の動きがあったためとも伝えられています。

この間の報道を見ていて、不祥事を起こした議員がその地位を失う要件が、一般職の公務員より甘いことを知りました。

 

一般職公務員より甘い!

 一般職の地方公務員は、禁固以上の刑に処せられれば、たとい執行猶予がついていたとしても原則として失職します。「原則として」というのは、公務中の交通加害事故で禁固刑以上の刑に処せられた場合に、一律に失職させずに事情によっては救済できることにする条例を自治体の判断で制定できることになっているからです。このような条例を持たない自治体の場合、救済される途はありません。

 それに対して、議員の場合は、公職選挙法第11条第1項第3号のかっこ書きによって、執行猶予が付いた場合は失職しないで済みます。木下氏の場合、仮に禁固刑になったとしても、執行猶予が付くのは確実とみられていることが、騒動の背景にありました。

 

参考 公職選挙法

(選挙権及び被選挙権を有しない者)

第十一条 次に掲げる者は、選挙権及び被選挙権を有しない。

一 削除

二 禁錮以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者

三 禁錮以上の刑に処せられその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く。)

四号以下省略

 

なぜ一般職より甘い?

 そもそも公選法第11条は、選挙権及び被選挙権の要件についての規定です。私も、政治に参加するための選挙権については、あまり狭めるべきではないと思いますが、被選挙権については少なくとも一般職と同程度以上には厳しくすべきではないかと思います。

 国会議員の不逮捕特権は、為政者の側が反対派の議員を政治的に排除しようとするのを防ぐためとされています。それと同じような目的なのでしょうか?

 

 政治的な弾圧を防ぐために議員の身分を守る必要があるなら、少なくとも歳費の支給を保留する制度が必要だと思います。逮捕・起訴された後は歳費の支給を保留し、無罪になったときに支払う形でもいいでしょう。

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 1031日の総選挙で当選した維新の新人議員が暴露したことをきっかけに、国会議員の「文書交通滞在費」の理不尽さが広く国民に知れ渡りました。私も、国会議員にはこんな闇給与まであったのかと少し驚きました。

 維新の新人議員は、まだ一般人の普通の感覚を失っていなかったでしょうから、こんなお金を支給されればびっくりし、後ろめたい気持ちになるのも当然です。彼はお手柄だったと思いますが、その後の各党の対応は、臭い物に早く蓋をしてしまいたい気持ちが透けて見え、また、手柄を奪い合っているようで、見苦しい感じがします。

 

日割りで済む問題か?

 多くのマスコミの論調は、たった1日の在任で10月の1か月分100万円を支給されるのはおかしいというものです。しかし、それで済むものとは到底考えられません。

 1031日(日)は投開票日でした。その日の夜に当選が判明したとしても、その日に国会議員としての活動をしていたとは考えられません。候補者としての振る舞いはしていたでしょうが・・・。

 また、新たに当選した議員ばかりでなく、前職も五十歩百歩です。1014日に衆議院が解散されてからは国会議員としての活動はしておらず、候補者としての活動しかしていなかったはずです。

 さらに、そもそも「文書交通滞在費」なるものの合理性が疑問です。「文書」にしても、私は国会議員から何か文書をもらったのは、選挙の時のチラシくらいです。選挙のチラシは、選挙費用で賄うべきで、ここから支出するような性質のものではないでしょう。

 「交通」費は、明細を示して実費で支給すべきものでしょう。つかみ金で支給するようなものではありません。

 「滞在」費は、東京に自宅を持つ議員には不要でしょう。地方の選挙区から選出されている議員の多くは東京に自宅を構え、家族も東京で暮らしています。東京に自宅を持たない議員には、議員宿舎の滞在費の実費でいいでしょう。

 

少なくとも一律支給は止めるべき

 私は、文書交通滞在費を廃止すべきだとまでは考えていません。

 使途を明確にし、選挙運動的な費用を排除し、まっとうな経費だけ支給すべきです。

 そのような見直しの議論もせずに、単純に日割りを導入しようとするのは、早く「臭い物に蓋」をしたいだけなんだろうと思います。

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