年次有給休暇を繰り越す際に1日未満の端数を切り捨てる取扱いを多くの地方公共団体が行っていますが、違法の疑いがあることを10日前の本ブログで指摘しました。
読んでくださった方の中には、「自治体の条例や規則で定めていることだから、少なくとも非現業職員についてはそれでいいのではないか」と考える人もおられると思います。しかし、それは誤りです。
役所のマガジンラックに回覧を終えた「地方公務員月報(2021年12月号)」が置いてあり、パラパラ眺めていたところ、タイムリーな記事がありました。「地方公務員と労働法制」と題したダイアログです。
ダイアログの概要
某政令市の人事課職員が、大学の労働法ゼミで同期だった某中央省庁の職員とランチをしながら、地方公務員の労働法制についてレクチャーするという設定の問答形式の記事です。私も、一応は知っていましたが、この記事であらためて再確認できました。
この記事は、直接は時間外勤務の上限規制について説明していますが、以下、この年次有給休暇の問題を考えるうえでも参考になる箇所を抜粋します。
「歴史的経緯から地方公務員には民間労働法制が直接適用されているんだよね。地方公務員法第24条第5項で職員の勤務時間その他の勤務条件は条例で定めるとされているんだけど、労働基準法は労働条件の最低基準を定めるという扱いになっていて、職員の勤務条件を条例で定める場合でも、労働基準法が定める最低基準以上のものを定めなければならないことになっているんだ。」
この雑誌は、「総務省自治行政局公務員課編」です。私は、総務省の監修している「地方財務実務提要」なども鵜吞みにせずに吟味したうえで使っていましたが、このダイアログの内容は正しいと思います。労基法と地方公務員法の関係を分かりやすく解説してあって、いい記事です。
労働基準法で、年次有給休暇の端数切捨てが違法であれば、地方自治体がそういう扱いをすれば同じく違法なのです。早急に是正すべきでしょう。
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