多くの地方公共団体では、職員の年次有給休暇を翌期に繰り越す際、1日未満の端数を切り捨てて繰り越します。それは、人事院規則で国家公務員についてそのように規定しているので、何となく準じているのでしょう。しかし、労働基準法の適用が除外されている国家公務員はともかく、原則として適用される地方公務員については、その取扱いは違法の疑いがあると思います。
民間での議論が先行
公務員は以前から年次有給休暇を時間単位で取得することが認められていましたが、民間は認められていませんでした。それが、平成22年に施行された改正により、民間も一定の要件の下に時間単位取得が認められるようになり、繰り越しの際の一日未満の端数の扱いをどうするかが一部で問題になりました。
労働基準法では、繰り越しの際の端数のことまでは規定していません。しかし、付与した年休が消滅する事由として規定されているのは、労基法第115条の消滅時効(2年)だけです。
この付与されてから2年の時効の結果として、繰り越しは翌期までで翌々期への繰り越しは不可、繰り越す日数は20日が上限等の扱いになっています。
つまり、1日未満の端数とはいえ、まだ消滅時効にかからない年休を切り捨てて消滅させていい法律上の根拠はないのです。
ネットに公表されている弁護士、社会保険労務士等の専門家も、1日未満の端数を付けたまま繰り越すか切り上げて繰り越すべきという見解がほとんどで、切り捨ては違法の疑いというのが大勢です。
平成22年の制度改正の際の厚労省の解説でも、端数付きのまま繰り越すか切り上げて繰り越すのが適当とされています。切り捨ては違法だとまではさすがに言いにくかったのだろうと想像しています。
地方公共団体は早く検討を
地方公務員法では、年次有給休暇関係で労働基準法の特例として定めているのは、時間単位年休の付与手続(労働者代表との協定などが不要)や上限(民間では5日分が上限だが地方公務員は上限なし)などだけです。それ以外の部分は、労基法が民間と同じように適用されます。すなわち、民間で違法の疑いのある運用は、地方公共団体でも違法の疑いがあるということです。
前述のように、繰り越しの際の端数切捨ては、人事院規則が定めている国家公務員の扱いを深く検討せずに準用してしまったのでしょう。国家公務員に準じることで違法の疑いが生ずるのは、今回のような極めてまれなケースだと思います。
国(厚労省や総務省)は、地方公共団体のこの状態を知っているはずです。「技術的助言」をしないのは、人事院規則も法律的に怪しいために、躊躇しているのかもしれません。
問題に既に気付いている自治体、このブログを読んで問題を認識してくださった自治体は、早めに検討し、是正していただきたいと思います。
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