地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

2022年07月

 公文書改ざんをさせられたことを苦にして自殺された近畿財務局職員のご遺族が国や佐川元財務省理財局長に対して損害賠償を求めていた裁判が、7月27日に結審し、判決言い渡しは11月25日と報じられました。国は既に遺族側の言い分を全面的に認め、裁判を降りて(逃げて)しまっているので、判決は佐川氏に関する部分だけでしょう。

 遺族側が求めていた佐川氏への証人尋問は行われないまま結審したことに、疑問と不満を抱いています。ただ、判決内容が遺族側の言い分を全面的に認めるものだとすれば、佐川氏の証言など聴くまでもなく佐川氏に責任があるという判断を裁判所がしたということでしょうから、裁判所の判断としてはありうる気もします。

 11月の判決内容に注目しています。

 

疑惑は深まるばかり

 安倍元総理が国会で「私や妻が関係していたら総理大臣も国会議員も辞める」と発言したことが公文書改ざんのきっかけになったことは財務省幹部も認めています。さらに、 安倍氏の発言の5日後、菅官房長官(当時)が佐川氏らを呼んで会議を開いたことも分かっています。その会議で何が話し合われ、どのような指示が出されたかが、この痛ましい事件を解明するポイントでしょう。

 安倍氏からの指示は、私はなかったような気がします。安倍氏は、その場しのぎの発言できっかけを作って忖度させただけ・・・?

 指示の源は、菅氏か佐川氏か?もしかしたら安倍氏自身か?それを解明するには、菅氏と佐川氏への尋問が必須だと思うのですが・・・。

 

 こんな疑惑を残したまま国葬など、ありえません。岸田総理は、国葬について国民に説明して理解を得ると言っておられるようですが、こうしたことの解明なしでは、説明など不可能でしょう。結局、説明したという形だけ整えて反対論を無視して強行するということになるのでしょう。

 こういう手法が多用されるようになったことも、安倍政治の弊害の一つです。

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 2022年の最低賃金について、労使の代表等が参加する中央最低賃金審議会の協議が難航し、7月28日時点でまだ決着していません。経営者側の苦しい事情も分からないではありませんが、ここは既定路線どおり、早期の最低時給1000円超えを目指して大幅上昇をすべきだと思います。

 

時給千円を支払えない企業は市場から退場を

 現在、資金にゆとりのある企業でも、パート労働者を最低賃金に近い水準の賃金で雇用している場合がたくさんあります。それが相場になってしまっているからでしょう。そんな企業は、最低賃金が引き上げられても、利益が多少減るだけで困りません。

 一方、最低賃金程度しか支払う力のない企業は、生産性に問題があり、それが解決できないのであれば労働市場から撤退すべきです。そこで働く労働者は、より生産性の高い別の企業に移動し、生産性の高い事業に従事するのが、労働者本人のためにも日本の社会のためにもいいことです。真面目で優秀な日本の労働者を使いながら、世界の標準よりも低い賃金しか支払えないとすれば、その企業のどこかに問題があります。

 労働力不足は依然として深刻です。一部の企業が事業を廃止しても、そこに雇用されていた人はすぐに別の企業に移れるでしょう。

 時給千円を支払うことができる企業だけの有効求人は、職を求める人の人数を上回ると思います。

 

生活も深刻

 最低賃金近くで働く労働者の生活は、最近の物価上昇で非常に苦しい状況でしょう。日本の社会でこれ以上貧困を拡大させることは、危険です。日銀総裁などの認識は非常に甘いと思います。

 経営困難になる企業が多少あったとしても、賃金上昇の速度は緩めるべきではありません。

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 安倍元総理について、生前に国葬に値する功績(功績から害を差し引いたもの)があったか、私は甚だ疑問に思っています。しかし、その死がもたらした影響は、かなりの功績でしょう。彼の死により、旧統一教会に関することが次々に報道されています。これをきっかけとして、旧統一教会の日本での活動が根絶やしにされれば、安倍氏の功績は大きいと認められるでしょう。

 ただ、社会での被害が継続していたにもかかわらず、「世界平和統一家庭連合」への名称変更以後はあまり報じてこなかったマスコミの責任も問われるでしょう。

 

銃撃後の報道

 銃撃後しばらくは犯人が恨みを抱いていた宗教団体の名が伏せられていましたが、明らかになった後、堰を切ったように旧統一教会の悪辣な行為が報じられています。強引な寄付金集め、集団結婚式(日本人の参加費は韓国人の10倍で、韓国では「日本人女性と結婚できる」などと勧誘していたらしい)などです。

 それに加え、政治家との関係も次第に明らかになってきました。現職の国会議員でも、旧統一教会から絶大な支援を受けて当選している人もいるようです。旧統一教会は、かなりの数の政治家に、選挙時などに人的、金銭的支援をしていたことが明らかになりました。

 一部の報道によれば、親密な関係にあった政治家は自民党安倍派に多いようで、そのことからすると、犯人が安倍氏を標的にしたのは、必ずしも的外れとは言えないかもしれません。

 

なぜ政治家が?

 なぜ多くお政治家が、悪名高い旧統一教会と親密な関係を求めたのか、私には疑問です。選挙時の支援は魅力でしょうが、旧統一教会と親密であることがバレれば一般の有権者は離れるでしょう。

 「反共産主義」で結びついたとすれば、あまりにも愚かです。

 今後のマスコミ、野党による調査、追及によって解明されることを期待します。

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 先日、印鑑証明書が必要になって、職場の昼休みにかけて1時間の年休をいただき、市の窓口に行って手続きしました。その際、窓口の担当者から、「全員の方にお伺いしております。ナイナンバーカードの取得はお済みでしょうか?」と聞かれ、私は既に交付を受けているので、そう答えました。これまで、こんなことを聞かれたことはありません。持っていないと答えた人には、熱心に手続きを勧めるのでしょう。

 私の住む市は、新聞によるとマイナンバーカードの交付率が低いとのことで、市では危機感を抱いているようです。総務省が、カードの交付率を普通交付税に反映させるなどと言えば、自治体としては懸命にならざるを得ません。

 別の市では、マイナンバーカードの交付を受けた人に商品券のプレゼントを始めるという報道もありました。既に交付を受けている人にも配るようですが、不公平を避けるためには当然でしょう。

 都道府県でも、公立施設の入場料などを割り引くなどして、推進するところもあるようです。

 地方交付税を人質に取ったような総務省の手口が功を奏しているようで、少々不愉快です。マイナンバーは、その取扱いを極めて厳格に行うよう法律で義務付けられており、各事業所でも一般の個人情報より一段と厳重に保管しています。それを保険証のように安易に持ち歩くことを推奨するような施策は、矛盾しています。

 

 各自治体では、くれぐれもマイナンバーカードの携帯を促すような施策を採らないことを期待しています。

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 本の帯に書かれたコピー「セーヌ河岸を核に緑化・エコ・福祉・減災の街に 社会的共生を目指すパリの都市デザイン!」が、本書の主な内容を伝えています。

 デザイン関連の仕事、研究をされている知人が、おもしろいからぜひ読むようにと貸してくれました。読みながらいろいろ考えさせられますが、200ページほどの薄い本で、写真も多いため、1日あれば十分読めます。

 

 最初の1章は、「はじめにー惨敗の50年」という表題です。

 パリでは、頻発するテロや暴動を抑えるため、豊かな人と貧しい人が同じ地域、同じ集合住宅に混住することを目指していた(ミキシテ・ソシアル計画)とのことです。しかし、そんな理想の下で建設された郊外の公営、公団住宅からは、中間所得層が次々に去って低所得者層ばかりが残り、火薬庫とかテロの温床と呼ばれるような状態になってしまいました。

 その状況は現在も続いていますが、2001年にパリ市長に就任したドラノエ氏の政策が、住民にやさしく、観光客も呼び込む街に変える効果を発揮しました。自動車の交通規制、バス優先路線、自転車専用レーン、徹底した緑地化と公園整備などです。

 本書は、それらの政策の内容と効果が解説されています。

 

エコと福祉と観光のパリプラージュ

 セーヌ右岸の河川敷、総延長2.3キロの区間に夏の間だけ砂を入れて砂浜にするものです。ビーチでビキニ姿で日光浴をするという金持ちのバカンスを、ノートルダムなどが見えるパリの真ん中で、有給休暇が取れずにバカンスに行けない家庭に提供するというものです。その期間は、河川敷の高速道路は通行禁止(バカンスで交通量が少なくなるため可能)になります。

 夏のパリを訪れる観光客も引き付け、エコ、福祉、観光に役立っています。しかも、この費用は、市の予算から支出されるのは3分の1ほどで、あとは企業等の協力で賄っており、官民共同でもあります。

 

 その他、洪水を想定して、24時間以内に解体撤去できる橋、浮庭、廃墟となっていた国鉄の格納庫等を再生したユース・ホステルなど、興味深い施設がたくさん紹介されています。

 自治体で都市計画、まちづくりを担当されている方などには、ヒントになる本だと思います。

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