地方自治関係者なら給与のラスパイレス指数のことは誰でも知っています。しかし、民間企業の人には、この指数のことはあまり知られていません。私は、日本の給与水準を上げるため、民間企業でラスパイレス指数の活用を促すべきだと思います。
ラスパイレス指数
例年、9月に入ると人事院が「国家公務員給与等実態調査」の結果を公表し、総務省がそのデータを基に各地方自治体に対して各団体の給与のラスパイレス指数を計算するよう指示を出します。
各団体の学歴別、経験年数階層別の職員構成が国と同じと仮定して各団体の区分ごとの実際の平均給与額を乗じて合計し、それを国と比較して指数化したものがラスパイレス指数です。指数が100ならば国家公務員と同等、100未満なら国家公務員より低く、100を超えていれば高いことになります。指数の高低で、給与水準がおおむね分かります。
令和3年の給与実態調査によると、都道府県で最も高かったのは静岡県の102.2、最も低かったのは鳥取県の95.5だったようです。
民間企業の給与
民間企業で給与の実態を詳細に公表しているところは聞きません。したがって、民間企業が、自社の給与水準が他の企業と比較してどんな水準にあるかを判断することは困難です。社員の平均年齢や平均給与くらいは公表しているところが多いのですが、年齢、経験年数が異なるため、比較するのは困難です。
しかし、ラスパイレス指数を算定すれば、国や周辺自治体との比較はできます。国や地方公共団体の給与は、従業員数50人以上の民間の会社、事業所を対象に調査して水準を合わせているので、間接的に他の民間企業と比較していることになります。
私が仕事で関与している民間企業(3セク)についてラスパイレス指数を算定したところ、95とほどほどの水準でした。
ネックは
ラスパイレス指数算定の基礎となる数値は、人事院が公表している「国家公務員給与等実態調査」のデータです。それを総務省がラスパイレス指数算定のためとして各自治体に流しているのですが、なぜかホームページでは公表していないのです。これをもっとオープンにし、民間企業も利用できるようにすれば、各企業も自社の給与水準が公務員(≒50人以上の民間事業所)と比較してどの程度の水準にあるか、判断できます。
日本の生産性が先進国最低クラスなのは、給与水準の低さも原因であることは明らかです。各企業がラスパイレス指数100以上を目指してがんばれば、日本の生産性も向上するでしょう。
にほんブログ村 ご覧いただきありがとうございます。
サイト案内(目次)