地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

2022年10月

 円安による物価急上昇等に対応するための総合経済対策として、政府、自民党は、電気、ガス、ガソリンなどの価格抑制のための補助をする方向のようです。しかし、この策は、価格上昇を抑える対症療法としての意味しかなく、しかも国民の省エネ努力の足を引っ張る愚策です。もっと工夫できるはずです。

 「経済対策で光熱水費補助はあまり・・・」 参照願います。

 

国民への直接、一律の給付のほうがマシ

 電気料金等の抑制により標準的な家庭では4万5千円ほどの恩恵があるとの触れ込みですが、それを一人当たりいくらの一律で国民に直接給付する方がマシです。そうすれば、日ごろからエネルギーを節約して使っている人は手もとにお金が残り、浪費している人は痛みが大きくなるでしょう。経済的に苦しい家庭では、日ごろから節電等に励んでいるものです。

 このようにすることによって、国民の省エネ努力の足を引っ張らずに済みます。単なる価格抑制策では、省エネの取り組んでいた人のメリットが相対的に少なくなってしまい、これまでの施策と矛盾します。

 

マイナンバーの登録口座を使えば

 さらに、この給付は、マイナンバーに紐づけた公金受取口座への振込にすべきです。あの口座登録は、こういう時に使わなければ、7500円相当のポイントまで付与して登録させた意味がありません。

 マイナンバーカードの交付を受ける人、公金受取口座を登録する人が飛躍的に増えると思います。

 単に金額を膨らませて「やってる感」を演出するばかりでなく、29兆もの予算を使うのですから、一石二鳥も三鳥も狙っていただきたいものです。

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 10月26日、円安下の物価上昇などに対応する総合経済対策の規模を30兆円弱に増額する方向で調整に入ったことが報じられました。目玉は、電気、ガス、ガソリンなどの価格抑制策で、これによって標準世帯で4万5千円ほどの光熱水費が助かるとの触れ込みです。

 

省資源化に逆行

 国民の痛みを緩和するのは理解できますが、この手法は、省資源化に逆行します。この施策は、国民の節電、省エネなどに対するインセンティブを弱めてしまいます。

 また、この施策によって最大の恩恵を受けるのは、これまで節電などに取り組んでこなかった人たちです。自宅の屋根に太陽光発電装置を設置したり、蓄電池を設置したりしている、省エネに熱心に取り組んでいた人たちは、ほとんど恩恵がありません。

 多少高価でも燃費のいい車や電力消費の少ない製品を購入していた人たちは、受ける利益が少ないことになります。

 この施策は、これまで省エネに熱心に取り組んでいた人たちをがっかりさせ、今後の取り組みの足を引っ張る点で、あまりいい策ではないでしょう。また、消費拡大の効果も期待できません

 この機会に、化石燃料を極力消費しない社会に転換するための施策を講じるべきだったと思います。家庭用太陽光発電装置や蓄電池への補助を拡充するとか、再生可能電力用の配送電を拡充するとか・・・。

 

出産準備金には賛成

 出産育児一時金とは別に、10万円程度の出産準備金も検討されているようですが、こちらには大賛成です。2023年1月以降の出産、妊娠に対して補助されるようです。私自身には直接の恩恵はありませんが・・・。

 日本の最大の懸案は、少子化、人口減少であり、少しでも効果がありそうなことは、他のことを犠牲にしてでも最優先で実施しなければなりません。出生数アップにつながるなら、多少不公平になってもやむを得ないでしょう。日本の危機ですから・・・。

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 「奇跡のような一夏を瑞々しい筆致で描く新時代のガールミーツガール小説、誕生!」と本の帯に記載されています。

 私は、ガールミーツガールという小説のジャンルがあることを初めて知り、初めて読んでみました。元々は、「ボーイミーツガール」という言葉があり、「少年が少女に出会う。」「出会って恋に落ちる」「定番の恋愛小説」というような意味で使われていて、「ガールミーツガール」はそれから派生した言葉のようです。

 SNSを通じて出会った17歳の二人の少女が、交流を深めながらお互いにかけがえのない存在になっていく物語です。17歳の少女二人を主人公にしながら、恋愛沙汰が一切起こらず、性的な場面もないことが本書の特徴だと思います。

 

 シングルマザーである芸術家肌の母親に振り回されている「私」ママイヤと、アル中で家計を圧迫している父親に嫌悪感を持つパパイヤがSNSを通じて知り合い、木更津の干潟で待ち合わせて会うようになります。

 パパイヤはこれまで、成り行きに任せて周囲から期待されている部活(バレーボール)などでの役割を果たしてきましたが、ママイヤと会ううちに「自分はもっと自分の好きなように生きていいのだ」ということに気づき、最後には部活を辞め、バレエを始める決意をします。

 ママイヤは、母親へのわだかまりを解消していきます。

 

 大きな事件が起こるわけでもありませんが、青春の危うさのような緊張感のある小説でした。

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 東京五輪・パラリンピックを巡る汚職は、次々に広がり、止まるところを知りません。組織委員会元理事の逮捕は、10月19日までで4回に及び、関係する贈賄企業は5社を数えています。

 あの大会、開催前から誘致に関する買収疑惑が生じ、主な関係者が次々に旧悪がバレて更迭され、新型コロナで延期、無観客とされるなど、何かに祟られているようでした。大会自体は参加選手の頑張りなどで感動もあったものの、終わってからは汚職まみれであったことが判明してしまいました。参加した選手、従事した職員、ボランティアがかわいそうです。

 

誰があの元理事を推薦した?

 あの元理事を組織委員会に推薦したのは、誰なのでしょう?彼が、理事になってから急に私利私欲を図りだしたとは考えられません。理事になる前から、様々な利権で自身のコンサルタント会社を通じて利を貪っていたのでしょう。贈収賄罪の対象にならない民間の取引なら許されたことでも、組織委員会のメンバーとしては許されません。金まみれの人物を組織委の理事に推薦した人の責任は重大です。任命した人の責任も・・・。

 コンサルタントの仕事では、様々な企業の依頼に応じ、報酬を得て、人脈を使ってその企業が望む結果を得させることもあるでしょう。それを、公的な事業で、公的な立場を使ってやっては贈収賄です。

 

 メディアや野党には、誰がどのような理由で彼を組織委員会の理事に推薦したのか、解明していただきたいと思います。陰で政治家などが利益を得ているかもしれません。

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 10月18日、19日の衆議院予算委員会で、旧統一教会に対する調査に関して、宗教法人解散命令の要件に民法の「不法行為」が含まれるかどうかのやり取りがありました。あのやり取りを報道で読み、岸田総理が本当に早稲田の法学部出身なのか、疑いたくなりました。いくら卒業後40年経っているとはいえ、あんな基本的な法律知識を忘れてしまうものでしょうか?

 宗教法人法で解散請求の要件である「法令に違反し、著しく公共の福祉を害する行為」について、裁判例に基づき、従来から「刑法等の実定法規に違反するもの」と解釈されてきました。旧統一教会は組織的犯罪が刑事事件で確定したわけでもないので、調査したとしても解散請求はありえないのではないかという疑問もあるところです。

 

 18日のやり取りで、岸田総理は「民法の不法行為は入らないという解釈だ。」と答えました。これがまず、大間違いです。民法の不法行為は、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した」という非常に広い概念です。この中には、刑事罰の対象になるものもならないものも含まれます。だから、「民法上の不法行為は入らない」ということは、あり得ません。

 正確には、「刑事罰の対象にならない民法上の不法行為」は入るのか入らないのか、議論すべきでした。

 19日のやり取りで、岸田総理はあっさりと前言を翻し、「民法の不法行為も入り得る」と言いました。これ自体は当然のことですが、厳密な議論もないまま、なんとなく「刑事罰の対象にならない民法上の不法行為」も含まれるような感じになってしまいました。立憲民主党のひっかけに岸田総理がまんまと嵌められたような感じです。

 従来の解釈でも、「刑法等に違反するもの・・・」と言っているだけで、「刑事罰が確定しているもの」といっているわけではありません。刑法等の犯罪構成要件に該当していれば、必ずしも起訴されていなくても該当するでしょう。これ以上範囲を拡大する必要があったのかどうか、私は疑問です。

 

 文科省が、「議論が生煮えだ」として解釈変更に抵抗したと報じられていますが、私も法律の議論としては文科省に賛同です。でも、この解釈変更によって、旧統一教会に対する解散請求のハードルが下がったことは間違いないでしょう。

 岸田政権、後へは引けなくなりました。これで解散請求なしに幕引きとなったら、多くの国民は納得しないでしょう。

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