地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

2023年01月

 ファーストリテイリングをはじめ、大幅な賃上げを表明する企業が相次いでいます。経団連も、各企業に大幅な賃上げを要請しています。今の社会状況から当然のこととはいえ、喜ばしいことではあるのですが、賃上げなど全く考えていない中小企業も多く、格差の拡大、社会の分断が気になるところです。

 岸田総理は1月27日の参院代表質問で、構造的な賃上げの実現に向け「民間だけに任せることなく、政府として政策を総動員して環境整備に取り組む」と強調しました。また、少子化対策についても「0~2歳児へのきめ細やかな支援を含め、子育て政策として充実する内容を具体化する」と言明したようです。

 

少子化対策は生活の安定から

 日本の少子化の原因として女性の晩婚化ばかりを問題とするあほうさんのような老政治家もいますが、普通に家庭を築くだけの収入を得られない若者がたくさんいることの方が、ずっと大きな原因です。したがって、少子化対策の観点からは、大企業の正社員賃上げよりも中小企業、非正規労働者の賃上げの方がずっと重要です。

 真面目に働こうとする全ての若者が将来設計できるような社会にしなければ、少子化の解決などできないでしょう。

 

最低賃金の再改定を

 今の最低賃金には、2022年後半の異常な物価上昇が反映されていません。少なくとも5%程度は引き上げなければ、生活水準は低下するでしょう。ここは、秋を待たずに再改定しなければなりません。

 これは荒療治で、つぶれる企業も出るでしょうが、今の労働力不足の状況では、適切な就業支援をすれば失業者はほとんど増えないでしょう。ちゃんと生活できる賃金を支払うことのできない企業には、市場から退場していただくより仕方ありません。

 

 岸田政権、これまでは有言不実行、口先だけの姿勢が目立ちました。安倍国葬にしても「丁寧に説明して理解を得る」などと言いながら、何も実質的な説明をしないまま強行するなど・・・。

 今度こそ本当に実行していただかないと、日本の衰退が回復不可能なレベルに達してしまいそうです。取りあえず応援しますが、また有言不実行だったら・・・。

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 この人はいつまで日本に迷惑をかけ、国民に恥ずかしい思いをさせ続けるのでしょう?こいつには「恥」という感覚がないのでしょうか?

 

 1月26日、各メディアが、前日に都内のホテルでの会合で森元総理が発言した内容を一斉に報じました。ウクライナを支援する日本政府の姿勢について「こんなにウクライナに力入れちゃっていいのかなと」「ロシアが負けるってことは、まず考えられない。そういう事態になれば、もっと大変なことが起きる。その時に日本がやっぱり大事な役割をしなきゃならない。それが日本の仕事だと思います。」などと言ったようです。

 

この戦争の倫理的評価

 ロシアが負けることはないという見通し自体、彼の希望的観測に過ぎないでしょう。彼も、開戦に踏み切ったプーチンと同様、自分の願望と未来予測の区別がつかなくなっているようです。

 しかし、仮に彼の見通しが正しいとしても、ロシアに肩入れしていいものではありません。今回の戦争は、ウクライナ東部諸州での紛争はあったにしても、ロシア本土を侵略する意図など全く示していなかったウクライナに対し、ロシアがウクライナの政権転覆を狙って一方的に侵略を始めたものです。また、あの国境は、ロシアがその立場を継承したと主張しているソ連が決めたものです。

 国際社会の多くがウクライナを支援し、ロシアを非難することは、倫理的な観点から当然です。日本も、国際社会の倫理に従うべきことは当然です。

 

森喜朗の倫理観のなさ

 東京オリ・パラを巡る大規模な贈収賄が明らかになっています。組織委員会の会長を務め、逮捕された理事と一緒に贈賄側企業から接待を受けていたこの人は、本来ならば沙汰が下りるまで自宅で蟄居謹慎しているべき立場です。それを公の場に出てきてアホな発言をし、日本国民に恥をかかせている・・・。恥を知る人間なら、こんなことはできないでしょう。

 この人は、早稲田大学を口利きで入学したことを自伝で得意げに吹聴しています。普通なら恥ずかしくて隠すものでしょうが?一般人とは倫理観が違うのでしょう。

 倫理を無視することを「豪放磊落」「清濁併せ呑む」と勘違いしている老人は、他にもいそうです。

 もうこれ以上、表舞台には出てこないでいただきたいものです。

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 2023年の成人の日は1月9日でした。多くの市町村で成人を祝う式典が開かれましたが、ほとんどの市町村が従来どおり20歳を対象とし、18歳を対象としたのは3市町ほどしかなかったようです。当然だと思います。国の制度改正に左右されず、従来どおり20歳を維持したほとんどの市町村の見識に敬意を表します。

 

そもそも18歳を成人とする必要はない

 18歳以上が「成人」とされるようになったのは、2022年4月から施行された民法の改正で、成年年齢が18歳に引き下げられたためです。選挙権については、2015年から既に18歳に引き下げられていました。

 酒、タバコ、賭博については、今後も20歳以上とされているので、成年年齢の引き下げで変わったのは、主な点としては、18歳以上から親の同意を得ずに契約を結ぶことができるようになったことくらいです。

 しかし、この単独契約可能年齢の引き下げには、疑問があります。進学率が向上したことにより、現在は昔以上に親が子の面倒を見る期間が長くなっています。独立して生計を維持し始める年齢(職業に就く年齢)が高くなっています。こんな状況なのに、契約可能年齢を引き下げるのはおかしいと思います。今の20歳は昔の20歳より、社会的に未成熟でしょう。

 選挙権、被選挙権の年齢などはもっと引き下げてもいいと思いますが、民法上の成年は20歳が妥当だったと思います。

 

成人の日の式典は

 成人の日の式典、祝賀を、18歳を対象とせずに20歳に据え置き、「はたちのつどい」などの名称にしたのは、自治体の見識であり、国に対する一種の反逆です。あの式典は、新成人にとって懐かしい同級生と再会することに意味があり、高校在学中にやってもらっても、あまり嬉しくはないと思います。大学入試の共通試験などを受ける人は、参加しない人が多いでしょう。国に踊らされる必要はありません

 

 今さら成年年齢を元に戻すこともできないでしょうから、このねじれ現象は長く続きそうです。

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 福島原発の事故の際、数々の偶然によって、東日本壊滅という事態を免れました。そのことは、私もこのブログで何度か紹介していますが、具体的にどんな「奇跡」だったのか、ここにまとめてみます。神を信じない私ですら、「日本は神に守られているんじゃないか」と思いたくなるほどの奇跡です。

 最近、この奇跡を知らないのか、忘れてしまったのか、原発推進などという政治家が増えています。もし神が存在したら、「あれだけの奇跡で助けてやったのに、また同じことをやろうとするのか?」と呆れ果て、この次は日本を助けてくれないでしょう。

 本稿は、「私が原発を止めた理由」(樋口英明)の関係個所を要約したものです。原発に賛成する人も反対する人も、この本をぜひ読んでいただきたいと思います。

 「私が原発を止めた理由」(樋口英明)を読んで 参照願います。

 

2号機の奇跡

 2号機でもメルトダウンが起こり、大量の水蒸気と水素ガスが発生して格納容器内の圧力が設計基準をはるかに超えて高まった。爆発を避けるため本来はベントという圧力を抜く作業を要するが電源喪失で自動ではできず、作業員がそこに行きつくまでに死んでしまうほど周囲の放射線が高かったため手動でバルブを開くこともできなかった。格納容器は放射能を外部に出さないため頑丈に密封されているはずであるが、どこかに脆弱なところがあったらしく圧力が抜けたため、爆発を免れた。爆発していれば東日本が壊滅していたはずで、本来は絶対にあってはならないことだがこの格納容器が欠陥品であったために東日本壊滅を免れた

 

4号機の奇跡

 4号機は定期点検中だったが、隣接の使用済み核燃料貯蔵プールに核燃料が保管されていた。ここも電源喪失で循環水の供給ができなくなり、3月15日ころには干上って大量の放射性物質が放出される恐れが高まった。しかし、たまたま隣接する原子炉ウエルにシュラウド取り換え作業のために普段は張られてない水が張られていた。そして、使用済み核燃料貯蔵プールと原子炉ウエルを隔てている仕切りがずれるという本来あってはならないことが起き、大量の水がプールに流れ込んだ原子炉ウエルの水は、工事が遅れたために残っていたもので、本来は3月7日には抜かれていたはずのものだった。仕切りがずれた理由は、不明。

 また、4号機の建屋内で原因不明の水素爆破が起こり、使用済み核燃料プールの天井が吹き飛んだ。そのおかげで、東京消防庁の背の高い放水車(「キリン」という愛称)で水を入れることができ、250キロ圏内(東京が入る)の避難という事態を免れた

 

免震重要棟の存在

 2007年7月に新潟県中越沖地震が起こり、その際の経験と新潟県知事の強い要請により柏崎刈羽原発に免震重要棟が作られ、その後福島原発にも設置された。福島原発にこれが設置された数か月後にこの事故が起き、これがなかったらやはり東日本壊滅に至っていた。

 

その他の奇跡

 福島原発の事故で外部に放出された放射性物質の量は、広島原爆の100倍を超える。3月15日には放射線量が高く、屋外での作業ができない状態になったが、その日の昼頃、突然放射線量が下がり、屋外作業が可能になった。たまたま偏西風によって、放射性物質が太平洋に流れたもの。
 もし北風が吹いていたら、放射性物質が東京に達し、黒い雨が降っていたかもしれない。そうなれば、東京は悲惨な状態になった。現実には太平洋に流れた放射性物質は、空母上でトモダチ作戦に従事していた米軍兵士を被ばくさせた。


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 本書は、数年前に橘氏が著してベストセラーになった話題作「言ってはいけない 残酷すぎる真実」「もっと言ってはいけない」と同傾向で、あからさまに口に出してしまうと差別主義者のレッテルを貼られてしまうような事実(科学的な実験等で裏付けられたこと)を解説した本です。

 「言ってはいけない 残酷すぎる真実」(橘玲)

 「もっと言ってはいけない」(橘玲)  参照願います。

 

 なぜ人々が正義や善意を振りかざして、皇族や著名人をネットなどで寄ってたかってバッシングするか、その心理について、人類の進化の過程で我々のDNAに刻み込まれた考え方の特性や最新の脳研究の成果などから解き明かされます。

 ヒトは集団でなければ生きていくことができません。①目立ちすぎて反感を買うと共同体から放逐されて死んでしまう。②目立たないと性愛を獲得できず子孫を残せない。 という生活を何十万年も続け、今の我々はそんな状況で勝ち残る特性を備えた者の子孫です。

 近年の脳科学で、自分より下位の者と比べると快感を感じ、上位の者と比べると不快を感じることが分かっています。また、ルール違反をした者を罰すると快感を感じることも分かっています。だから、自分より上位の人(著名人など)のルール違反に対し、自分が反撃されないように匿名で、正義を振りかざして引きずり下すことは、人間にとってこの上ない娯楽であり、我々の本能的な行動のようです。進化の過程で、そのように設計されているのです。

 「能力の低い者は、自分の能力が低いことを正しく認識できているのか」に関心を持った研究者が実験で確認したところ、「バカの問題は、自分がバカであることに気づいていないこと」という「ダニング=クルーガー効果」も解説されています。能力の高い人は自分を少し過小評価するのに対し、能力の低い人は自分を大幅に過大評価しがちのようで、これも集団内で生き残り、子孫を残すために有利な資質のようです。この現象、効果は、日本の政治家についてもしばしば観察されるので、私たちは見慣れています。

 相談して正しい結果が得られるのは、一定以上の能力を持つ者だけで話し合った場合に限られるという実験結果も紹介されています。バカが混じっているとバカに引きずられ、それが民主政治がうまくいかない根本原因であり、決定の場からバカを排除することが望ましいなどという話は、「リベラル」はもちろん、一般人でも抵抗があるでしょう。

 このほか、人種、男女の性差や差別の問題など、今の社会ではあからさまに発言することがはばかられるような話が満載です。社会を一歩離れたところから見直すために持つべき視点を得るために、必読の書だと思います。

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