岸田首相は、1月27日の参議院代表質問への答弁で、「物価上昇を超える賃上げと、その先の構造的賃上げに取り組んでもらうため、政府としても政策を総動員して環境整備に取り組む」と述べ、大きく報じられました。言葉を聞く限りでは、日本の生産性の低さの元凶である低賃金を是正することの重要性と、物価上昇の中で大幅な賃上げが行われなければ苦しむ人が大勢いることは承知されているようです。しかし、あの頼もしい発言から間もなく1か月になりますが、総理が何か具体的な指示を出したという報道はみられず、やはり口先だけだったかという失望も感じています。
トヨタ、ホンダなどの賃上げ交渉での満額回答というニュースが続々と報じられる中、多くの中小企業労働者、非正規労働者は、あきらめの心境にあります。労働組合もなければ、声を上げる手段も限られ、声を上げた場合には職を失う可能性もあります。
そんな中、各地の労働局に対し、非正規労働者が加入するユニオンなどから、最低賃金の引き上げの要請が相次いでいます。最低賃金は昨年10月ころに改定されましたが、その後の物価急上昇は反映されていません。特に地方では、最低賃金に近い賃金で働く労働者も多く、このままでは生活困難に陥る人がさらに増えてしまいます。
「政策を総動員」するという言葉が口先だけのものでないのなら、少なくとも、最低賃金を物価上昇を上回る上昇率で再改定すべきことは当然です。それが、底辺の労働者を確実に救う道でしょう。倒産する企業も出るかもしれませんが、その程度の賃金を支払えないような企業であれば、市場から退場していただく方が労働者のため、地域のため、日本のためです。今の雇用情勢であれば、再就職の支援をしっかりすれば、失業者はほとんど増えないでしょう。
岸田政権、「政策を総動員」とか「異次元の対策」とか、言葉だけは勇ましいものの、今のところ行動は全く伴っていません。今回の最低賃金の再改定などは、政策の困難度はかなり低いと思います。政権がその気になれば、簡単に実現できるでしょう。
せめて、これくらいは実現していただきたいものです。
にほんブログ村 ご覧いただきありがとうございます。
サイト案内(目次)