地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしていました。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

2023年04月

 4月中旬、ふるさと納税に係る自治体の経費が膨らんでいることについて、朝日新聞などが報じています。2021年度に寄付を多く受けた上位20自治体のうち13自治体で、寄付に占める経費の割合が5割を超えていたとのことです。

 総務省は、自治体間の返礼品競争が過熱したため、経費率を5割以下とするルールを設けました。しかし、総務省が「経費」として規制し、報告を求めているのは、返礼品の調達や送付のための費用だけで、自治体ではそれら以外の費用もかなりかかっていたようです。主な内容としては、寄付の受領証明書を発行する際の送料やワンストップ制度の手続きにかかる事務費など、寄付を受けた後にかかる経費とのことです。

 自治体全体でみれば、住民サービスのために使われていたはずの税金の半分が、経費として消えてしまっているということです。一般的な徴税費と比較すると、著しく高率でしょう。

 

世紀の愚策

 私は、以前からふるさと納税制度を批判し、廃止すべきとしてきましたが、経費がこれほど多額に上っていることは知りませんでした。

 私がこの制度を「世紀の愚策」と断じるのは、まず第一に税制の根本原則に反しているからです。サービスの提供をする自治体と課税する自治体を別にするなど、正気の沙汰ではありません。

 第二に、経済的にゆとりのある人ほど得をする制度であることです。富裕な人ほど、実質2千円の負担でもらえる返礼品が多くなります。典型的な金持ち優遇制度です。ふるさと納税は、返礼品の送り先を自分以外の人に指定できるので、富裕層は、お中元やお歳暮などをふるさと納税で済ますこともでき、ますますお金が貯まります。

 第三に、国全体として消費を増やすわけでもなく、市場を歪めるだけであることです。自分でお金を出して買うはずだった果物をふるさと納税でもらう、ふるさと納税で米をゲットしたからしばらく米は買わずに済む・・・。
 「やはり次期政権には期待できないようだ」 
 「ふるさと納税の欠陥がまた・・・」   参照願います。

 

 すでに、この制度は、富裕層や返礼品にかかわる事業者等の既得権益となってしまっています。廃止には軋轢もあるでしょうが、これほど弊害の大きい制度をいつまでも続けるわけにはいかないでしょう。

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 京セラ、KDDIを創業し、日本航空を再建して2022年8月に亡くなられた稲盛和夫氏の最後の著作です。氏の経営哲学が日本のみならず中国の経営者などからも熱烈に支持されているということで、読んでみました。また、この12カ条の信奉者を自称するある経営者があまり社員を大切にしていないように感じられたことから、何が書かれているか知りたくなったことも、本書を手に取った動機の一つです。

 著者による「まえがき」には「これら12の経営の原理原則を守りさえすれば、会社や事業は必ずうまくいきます。」と書かれています。

 長くなりますが、その12カ条を紹介します。

1 事業の目的、意義を明確にする。公明正大で大義名分のある高い目的を立てる。

2 具体的な目標を立てる。立てた目標は常に社員と共有する。

3 強烈な願望を心に抱く。潜在意識に透徹するほどの強く持続した願望を持つこと。

4 誰にも負けない努力をする。地味な仕事を一歩一歩堅実に、弛まぬ努力を続ける。

5 売上を最大限に伸ばし、経費を最小限に抑える。入るを量って、出ずるを制する。利益を追うのではない。利益は後からついてくる。

6 値決めは経営。値決めはトップの仕事。お客様も喜び、自分も儲かるポイントは一点である。

7 経営は強い意志で決まる。経営には岩をもうがつ強い意志が必要。

8 燃える闘魂。経営にはいかなる格闘技にもまさる激しい闘争心が必要。

9 勇気をもって事に当たる。卑怯な振る舞いがあってはならない。

10 常に創造的な仕事をする。今日よりは明日、明日よりは明後日と、常に改良改善を絶え間なく続ける。創意工夫を重ねる。

11 思いやりの心で誠実に。商いには相手がある。相手を含めてハッピーであること。皆が喜ぶこと。

12 常に明るく前向きに、夢と希望を抱いて素直な心で

 

 読んでみると、著者の経験に裏打ちされ、とても説得力があります。ただ、経営学者が整理した「原則」とは異なり、「強い意志で必死に努力を重ねる」等の部分がいくつかの条で重複しており、あまり体系的ではありません。本書は、氏の多くの講演などを編集したものであるためかもしれません。また、「強い意志」「努力」「前向き」などが多くの箇所に出てくるのは、氏の思いが強い部分なのでしょう。

 もう一つ難点を挙げると、この12カ条の文言だけ読んでも従業員を大切にする意識が感じられないことです。本書を読めば、第1条の「事業の目的、意義」の中で、従業員の物心両面の幸福を追求することがあらゆる事業の基本的な目的であることが前提であることが分かります。京セラのホームページによれば、同社の社是は「敬天愛人」、経営理念は「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること。」です。従業員に将来の心配をさせない待遇を与えつつ、社会に貢献しているという仕事の生きがいも与えるという、すばらしい理念だと思います。

 それがこの12カ条の文言だけ読んでも読み取れないことは、少し残念です。それが、稲盛氏の信奉者を自称しながら従業員を大切にせずに必死の努力だけ求める経営者が現れてしまう原因かもしれません。

 

 少々批判的なことも書きましたが、著者の経営への熱い思いが伝わりました。経営、組織の運営に携わる人は、ご一読を・・・。

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 4月13日の朝8時5分前ころ、テレビの緊急速報で「北朝鮮が発射したミサイルが午前8時ちょうどころに北海道周辺に落下する可能性がある」として、北海道にJアラートが発令されたことが報じられました。北朝鮮がミサイルを発射したという速報には慣れてしまっていましたが、日本の領土に「落下する可能性がある」という速報には驚きました。

 それからテレビでは、8時を過ぎても延々と同じ速報を繰り返し、北海道の住民に対して「コンクリートなどの頑丈な建物か地下」への避難を呼びかけました。8時15分を過ぎてようやく「落下の恐れがなくなった」と報じられ、安心しました。その後の報道で、ミサイルがレーダーから消えたことが報じられました。

 

日本の防衛体制

 以前から感じていたことですが、今回の件は日本の防衛体制が極めて脆弱なことを示しています。

 今回、ミサイルを見失うまでの情報から日本に落下する恐れがあると判断した以上、Jアラートで国民に警戒を呼び掛けたことは適切だったと思います。空振りを恐れるべきではありません。

 しかし、住宅街や農山村などでは、徒歩で3分ほどで行けるコンクリートの建物や地下施設などないところがほとんどでしょう。地下壕、シェルターなどの準備が必要ないのかどうか、議論すべきです。

 また、レーダーがミサイルを見失ってしまったということは、防御能力が不十分であるということでしょうか?高高度に打ち上げられるとレーダーで追うこともできないのでは、迎撃などできないでしょう。

 こんな状況では、原発の再稼働など絶対に認めてはならないことは当然です。政治家は、電力マネーや電力総連の票などに惑わされることなく、日本の安全を真剣に考えていただきたいものです。

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 3月28日に亡くなった坂本龍一さんを悼む声がやみません。それと同時に、氏が2021年7月に反原発デモに参加された際のスピーチで言われた「たかが電気」という発言が、あらためて賛否の議論を巻き起こしているようです。

 

「たかが電気」

 あのスピーチ全体を聞けば、彼は電気が不要だなどと言っているわけではなく、家庭や事業所がどんどん自家発電をして電力会社への依存を減らすことで原発をなくそうという、ごく常識的、当然の主張であることが分かります。その一部だけが、悪意を持って切り取られたのでしょう。

 「言ってみれば、たかが電気です。たかが電気のために何で命を危険にさらさなきゃいけないんでしょうか?」

 切り取られたこの部分だけを見ても、電気のために命を危険にさらすべきではないことは当然だと思います。電気など原発でなければ作られないわけではなく、再生可能な他の手段で作れるのですから。

 

「福島の後に沈黙するのは野蛮だ」

 あのスピーチの中で、日本社会がもっと注目すべきだと私が感じているのは、「たかが電気」に続く最後の部分「福島の後に沈黙していることは野蛮だ」です。海外ではむしろこちらのフレーズが注目されていたようです。

 「たかが電気のために、この美しい日本、そして国の未来である子供の命を危険にさらすようなことはするべきではありません。お金より命です。経済より生命。子供を守りましょう。日本の国土を守りましょう。はい最後に

Keeping silent after Fukushima is barbaric.」福島のあとに沈黙していることは野蛮だ。」

 

 あらためて、惜しい人を亡くしました。

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 2023年4月9日の統一地方選挙前半戦で、共産党が惨敗しました。「やっぱり!」という感じです。あの除名騒動は、大きなイメージダウンだったと思います。

 私は共産党員でも党友でもありません。「支持層」ですらないかもしれませんが、時々は共産党にも投票しています。政策に共感する部分もあり、また、学生時代の4年間、民青同盟が仕切る学生寮で生活していたので、民青系の友人も多かったのです。私自身や親しい仲間はノンポリでしたが・・・。

 さらに、県の職員団体(県職労)の組合員だった若いころ、組合員を社会党の選挙活動などに動員する執行部を共産党系のグループが批判していて、それに共感していたこともあります。県庁時代に仕事でやり取りのあった共産党の県会議員は、誠実で勉強熱心な方でした。

 また、原発再稼働に対する反対が揺るがないのも共産党です。立憲民主党などは、連合の顔色をうかがっているので、いざとなったら裏切るかもしれないと、私は心配しています。

 

 党首公選、党改革を求めた党員を除名してしまった騒動、共産党のイメージを堕としました。少なくとも、私は共産党に対しては、どちらかと言えば良いイメージを持っていたのが、がっかりしました。人の集まりですから意見の相違があることは当然で、公の場で議論すればいいのです。密室でやろうとするから、地下組織のような怖いイメージが復活してしまったのでしょう。正論ばかり吐いて他党から煙たがられているというのが私のイメージでしたが、今回は除名された元党員に正論を持っていかれてしまったようです。

 失墜したイメージを回復するには、大胆な体質改革が必要な気がします。日本の政界にはまだ共産党が必要だと思うので、期待しています。

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