地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

2023年05月

 首相公邸で親族の忘年会を開き、組閣写真を模したような親族の集合写真を撮るなど、目に余るはしゃぎっぷりで顰蹙を買っていた岸田首相のご長男ですが、5月29日、ついに政府が、ご長男が首相秘書官を辞職することを発表しました。

 私は、少し同情しています。なんといっても、まだ30歳を過ぎたばかりの若者です。はしゃいでしまうこともあるでしょう。私自身の32歳のころを振り返ると、まだまだアホでしたから・・・。

 責任は、むしろ公私混同で彼を秘書官に任命した岸田首相にあるでしょう。ただ、首相も、親戚一同に足を引っ張られて、少しかわいそうなような・・・。

 

6月1日付け辞職とは?

 報道によると、「6月1日付けで辞職」となっているため、疑問がわきます。通常は辞職、退職などは区切りのいい月末に行われるので、6月1日には彼は在職しているのかということが問題になるわけです。
 実務では、「1日付け就任」といえば1日の午前0時から就任し、「31日付け退任」といえば31日の24時までは任に就いている扱いが一般的です。

 期末・勤勉手当の基準日は6月1日で、6月1日に在職していた人には支給されます。だから、それを狙って「6月1日付け辞職」にしたという説を唱える人もおられるようです。

 民法第141条では、「前条の場合には、期間は、その末日の終了をもって満了する。」とあります。前条の場合とは、日、週、月や年をもって期間を定めた場合をいいます。だから、「6月1日付け辞職」といえば、6月1日は在職しているという解釈が一般的なようです。

 そうすると、やはり、「6月1日付け辞職」というのは、「せめて期末・勤勉手当くらいは・・・」という誰かの温情か?

 本人も親もそんなことは思いつかないような気がするので、誰かの入れ知恵でしょうか?
 しかし、早速それを指摘する声、批判があり、ご子息は、期末・勤勉手当も退職手当も受け取らない意向を示したことが、30日の朝に報じられました。初めからそのつもりだったら、辞職の発表と同時に発表したでしょうし、そもそも5月末日付けで辞職すればよかったわけですから、騒ぎになってしまいそうだったから方針転換したのでしょう。

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 泉佐野市が多額のふるさと納税を集めたことを理由に地方交付税を減らされたとして国に決定の取り消しを求めた裁判で、大阪高裁が市の訴えを却下しました。

 泉佐野市が、ふるさと納税で多額の寄付金を集めたことを理由に、2019年度の地方交付税が前年度と比べて4億4000万円ほど減額され、国に対し決定の取り消しを求めて提訴していました。 1審の大阪地裁は決定の取り消しを命じたものの、2審の大阪高裁は5月10日、「地方交付税独自の紛争処理手続きがあり、裁判の対象とならない」として1審判決を取り消し、市の訴えを却下しました。判決では、「国と地方公共団体を当事者とする紛争は、基本的に法律上の争訟にあたらず、国会審議などの民主的な統制の対象とすることで解決すべきであり、本件は裁判所が裁判する権限はない」とも言っています。

 

変な判決だ!

 これは、司法の権限を異常に小さく解釈した、変な判決だと思います。

 独自の紛争処理手続があるのは地方交付税だけではなく、税金など、いろいろな場面で存在します。独自の紛争処理手続で争った結果に納得できなければ、裁判所に訴えられることになっているものも多く、独自の紛争処理手続があるから裁判所は関与しないというのは変です。

 また、国が行う処分に自治体が不満があれば、裁判所に訴えることができることが原則であり、明確な禁止規定もないのに、裁判所に訴えることはできないなどと解釈するのはおかしいでしょう。

 

 地方交付税のそもそもの趣旨からすれば、ふるさと納税で多額の財源を得た自治体の交付税は減らすべきかもしれません。しかし、それはあらかじめ算定の仕方を法令に明記し、制度として組み込んでおくべき話で、今回の総務省のような後出しじゃんけんは許されるべきではありません。
 そんな卑怯なやり口が許されるなら、自治体側としては、危なくて仕方ないでしょう。
 ただ、今回争われているのは普通交付税ではなく、特別交付税です。特別交付税は、総務省にフリーハンドと言っても過言ではない非常に広い裁量権が与えられていて、これまでも総務省は自身の都合で好き勝手に使ってきました。だから、市の請求が棄却されることは私も十分予想していたのですが、却下というのは予想外で、おかしな判決だと思います。
 最もいい解決策は、ふるさと納税制度などという欠陥制度は廃止してしまうことだと思います。総務省も本音はそれに賛成でしょう。もともと総務省は反対していたのに政治がごり押しで導入した制度ですから・・・。

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 5月23日、鈴木財務相が記者会見で、児童手当を拡充する場合に、扶養手当を縮小する可能性を示唆しました。まさにアホというか、小役人の発想というか、この連中には日本の人口減少、少子化の問題に本気で対処する気がないのでしょうか?

 少子化を食い止めるには、子育てにかかる親の負担を社会が可能な限り肩代わりすることで、子を持ちたいという親を増やさなければならないことは明らかです。扶養控除など、現行税法ではわずか38万円ですが、給付される児童手当と合わせても、それで高校生の子ども一人を1年間養育するには到底足りないことは明白です。扶養控除の削減など、子ども一人の扶養に必要なだけの給付をしてから検討すべきことでしょう。

 現在、扶養手当は、16歳以上19歳未満の扶養親族だけが対象で、16歳未満の子どもは対象から外されています。これは、民主党時代の子ども手当の導入に伴って廃止されてしまったものです。これも、当然復活させるべきでしょう。

 

 現在、子を持ち育てようとする人が少ないのは、子育てにかかる親の負担が大きすぎるためです。その負担を社会が肩代わりするというメッセージを発すべき時に、足を引っ張るような発言をする閣僚がいたり、それをけしかける官僚がいたりすることは、困ったことです。彼らの考え方は、小さなそろばんには合っても大きなそろばんには合わないという典型です。

 こんなことを本当にやったら、日本の人口減少に歯止めをかけることなど、到底できないでしょう。政治家、官僚の皆さまは、もっと真剣に日本の将来を考えていただきたいものです。

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 5月21日、G7広島サミットが閉幕しました。厳戒態勢のおかげもあり、テロなどの妨害もなく、無事終了して安堵しました。

 私は、与党支持者ではありませんが、このサミットはまずは有意義だったと思います。ウクライナのゼレンスキー大統領やグローバルサウスの代表が参加し、今の世界情勢が許す範囲でウクライナへの連帯を示すことができたことは、特に良かったと思います。核廃絶論者などからは批判もあるようですが、私はこの批判に違和感を覚えています。

 

核廃絶論者らの主張は無理筋

 核廃絶を理想として掲げ、具体的には核軍縮を図ることには賛成です。核兵器は使ってはならない兵器なのだということを世界中に浸透させることも大賛成です。しかし、こんなことを言うと批判されるかもしれませんが、本当に核廃絶を目指すべきかという点では、私は疑問に思っています。

 仮に核兵器を廃絶したとしても、核兵器製造の知識、技術が消滅するわけではありません。核兵器を廃絶した後に、中ロのようなならず者国家やテロ組織が核兵器を製造してしまったら、大変なことになります。

 核廃絶論者の皆さまは、このような危険にどう対処されるおつもりなのか、疑問です。

 現実には、核抑止しかないのではないかと私は思います。

 また、米国大統領が広島に核のボタンを持参したことを批判する人もいるようですが、彼が核のボタンを手放さない姿をアピールするほうが、ならず者国家に対する牽制になるかもしれません。

 

 とりあえず、一日も早く、ロシアが何も得るところなくウクライナの全ての領土から撤退するという結果を待ち望んでいます。

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 参院法務委員会で日本維新の会の梅村みずほ参院議員が、2021年に入管施設で亡くなったスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんについて、「ハンガーストライキかもしれない」などと不適切な発言をし、批判されています。さらに、批判に対して「ウィシュマさんが詐病ではなかったと断定できる事実はあるか」などとアホな開き直りをしています。相手方に立証責任を押し付けようとしているのでしょうが、こんなことは珍説を唱える側が立証しなければならないことは当然です。ガキの喧嘩のようです。

 2023年4月の統一地方選挙では躍進した日本維新の会ですが、近年、議員の不祥事が目立ち、「なぜポンコツが多いのか?」という分析記事まで出る始末です。

 この状況を見ていて、以前読んだ小咄(元はアメリカのジョーク?)を連想しました。維新に置き換えると、こんな話です。

 

 203X年、日本維新の会の老幹部が若い党員を相手に自慢話をしていた。

老幹部「昔、維新の会はすごい勢いでな、どんなアホでも我々が推薦さえすれば当選したものさ。」

若手「それがどうして、今はこんなに衰えてしまったのですか?」

老幹部「その当時、アホばかり推薦しすぎたためさ。」

 

 急成長している組織が人材不足に陥ることはよくあることですが、将来のことを考えれば、仲間にする人材は慎重に選ばなければなりません。

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