地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

2023年07月

 2023年10月から消費税のインボイス制度が導入されます。導入まであと2か月に迫り、各企業などでは準備の仕上げに入っています。そんな中、まだ、インボイスの導入延期を主張する動きもありますが、私は延期などとんでもないことだと思います。

 

インボイス制度とは

 インボイスとは、適格請求書のことであり、売手が買手に対して、適用税率や消費税額等を伝えるものです。消費税は、売上に税率を乗じて計算しますが、仕入れ等、その売上を生み出すために費用を支出した際に支払った消費税を控除(仕入れ税額控除)して納税額を計算します。これまでは、仕入れ額等に応じて仕入れ税額控除を計算すればよかったのですが、10月からは適格請求書がなければ仕入れ税額控除ができないようになります。

 免税されている事業者等は消費税を納めていないので、適格請求書を発行できず、その事業者からの仕入れ、その事業者に対する支払は仕入れ税額控除の対象にできないことになります。

 そのため、免税事業者(小規模事業者等)が取引の対象から外される恐れがあり、現在、本来は免税事業者になれる程度の売上しかない事業者も課税事業者になる動きが進んでいます。

 

そもそも免税は公正ではなかった

 これまで、免税事業者は、売上の際に価格に消費税を上乗せし、消費税相当額を受け取っても、それを国に納めず、懐に入れていました。それは不公正です。また、売上の際に消費税を上乗せしなければ、競合業者より安価にすることができ、有利でした。それも公平とは言えません。そんな不公正を「既得権益」として残すべきではありません。インボイス制度により、少なくともそのような不公正は解消されます。

 小規模事業者に対する保護、優遇措置だったのでしょうが、このような不公正を生じさせるべきではありません。

 

延期などしたら大混乱

 私が関与している中小企業も懸命に準備しています。以前から課税事業者だったので登録番号はすぐに取得しましたが、レシートの印字などの改修も先日終え、請求書発行システムの改修新しい領収書の印刷も終えました。多くの真面目な中小企業は、かなりの費用をかけて準備を進めてきたのです。

 今さら延期などと言われたら怒り心頭に発するでしょう。怒りの矛先は、延期を決めた政府だけでなく、延期運動をした勢力にも向かうでしょう。

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 「宗教2世な私たち」という副題です。第1話から第7話までそれぞれ独立した漫画で、7人の宗教二世の体験が描かれています。「はじめに」と「あとがき」も漫画で、この漫画がウェブで連載されることになったいきさつや、5話までアップした後にある宗教団体から出版社に抗議が来て削除されてしまったこと、それを文藝春秋(その手の圧力に強い)が引き継いだことなどが描かれています。

 「あとがき」の後の「終わりに」の2ページだけが文章で、すべての下書きを終えて最後の手入れをしていた時に安倍元首相が殺害され、宗教二世の問題が注目されるようになったことなどが書かれています。全部で140ページほどの漫画ですから、1時間程度で読めました。

 

 私は宗教に無関心(というより「神」をあがめる宗教を嫌悪している)なので、本書に描かれている団体についてよく知りません。本書の各話の7人の主人公の親がのめり込んでいる団体も、いずれも教団名は明示されていません。しかし、王国会館、大炎開陽霊祭、原理講論、教祖が東大卒、両童子様、学会等の言葉などから、ネットで調べてみると、エホバの証人、崇教眞光、統一教会、幸福の科学、真如苑、創価学会などのようです。あの事件以降、いろいろと問題を指摘されている団体がおおむね含まれています。

 

 安倍元首相事件の山上被告も気の毒ですが、ここに描かれている宗教二世の子供時代も本当にかわいそうです。

 学校行事でも騎馬戦や児童会の選挙などの「争う」こと、漫画やキャンプファイヤーなどの楽しいことには参加が禁じられていたり、アトピー性皮膚炎でも薬を使ってはダメ、朝礼でも校歌を歌ってはダメ誕生日や正月も祝ってはダメなど、禁止事項だらけです。休日も宗教行事や布教活動に駆り出されたりで、これでは遊ぶ時間もなく、同じ2世以外の友達もできないでしょう。説教の際にうとうとした罰として鞭で打たれたり・・・。まさに虐待です。

 7つの話の主人公は、いずれもその宗教に疑問を持って決別した二世です。自殺未遂にまで至った人もいます。悩んだ末に教団を離れ、親と絶縁した人が多いのですが、親子関係を保ったまま親は信者を続けているケースもあります。

 両親とも信者であるケースだけでなく、母親だけがのめりこんでいて、父親は信者ではないケースもあります。

 せっかく教団から離れて一般女性と結婚し、平穏な家庭を築いているのに、本人の留守中に縁を切った母親が現れて妻を宗教に勧誘するシーンまであります。まさに疫病神です。

 

 自分がどんな宗教を信じようが勝手でしょうが、他人や家族を巻き込んではいけません世の中から反社会的な宗教団体を一掃し、これ以上不幸な子供を生み出さないため、たくさんの人が本書をご一読されるようお願いします。

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 安倍晋三氏が首相のころから、「価値観外交」とか「価値観を同じくする国々」という言葉がよく聞かれるようになりました。主に、中国やロシアを排除する意味で使われていますが、私は、この言葉に違和感を覚えています。

 「価値観を同じくする」への違和感  参照願います。

 

 「価値観を同じくする」国の代表格は米国ですが、米国でまた、日本との「価値観の違い」を感じさせる事件が7月下旬に報じられました。

 

正気とは思えない裁判

 米国フロリダ州のマクドナルドのドライブスルーで、母子がチキンナゲットを購入した後、4歳の幼児がひざの上に熱々のチキンナゲットを落とし、それが太ももと車のシートベルトの間に挟まって、やけどを負ったとのことです。家族がマクドナルドに損害賠償を請求し、陪審は熱々のチキンナゲットでやけどをする可能性について、マクドナルド側が適切な注意や扱い方に関する指示を怠ったと認定し、裁判所は原告側が被った苦痛や傷跡、精神的苦痛、さらに不自由になって生活が楽しめなくなった賠償として、1億円超の損害賠償の支払いを命じました。

 こんなのは、熱々の食べ物を幼児の手に渡した母親が悪いことは当然でしょう。熱々のナゲットに触ればやけどをする可能性があることについて、この母親がマクドナルドから説明がなければ知らなかったなどとは到底考えられません。店側がそんな当たり前なことを説明をしようとすれば、私ならうるさく感じるでしょう。

 陪審がこんな判断をしたということは、米国人のかなりの割合が、こんな考えを支持してるのでしょう。

 善悪の基準、責任の所在についての基準が、日本人とはかなり異なっていると思わざるを得ません。日本の政治家は、安易にこんな連中と「価値観を同じくする」などと日本人を貶めないでいただきたいものです。

 

 50年前の米国人がこれほど愚かだったとは思えません。また、他の西欧諸国の人々もこんな価値観であるとは思えません。

 資本主義と民主主義が暴走した強欲資本主義にさらされ続けた結果、こんな価値観が形成されてしまったのでしょうか?あるいは、強者であるマクドナルド等の大資本に対する民衆のルサンチマンでしょうか?

 日本も、中国やロシアと距離を置くことは当然ですが、米国とも距離を置くべきでしょう。こういう人たちと、あまりお付き合いしたくはありません。

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 福島第一原発の事故で会社(東京電力)が多額の損害を被ったとし、東京電力の株主が旧経営陣に会社への賠償を求めている裁判の2審が、7月24日に始まりました。

 この裁判は、東京電力の株主らが、原発事故が起きたために廃炉作業や避難者への賠償などで会社が多額の損害を被ったとして旧経営陣5人に対し22兆円を会社に賠償するよう求めていたものです。1審の東京地方裁判所は「浸水対策をとっていれば重大な事態を避けられた可能性が十分ある」などと指摘して、合わせて13兆余りの賠償を元会長ら4人に命じましたが、旧経営陣側は「事故を回避することは不可能だった」として1審判決を取り消し、訴えを退けるよう求めています。

 争点は、国の地震調査研究推進本部が2002年に公表した「長期評価」の信頼性についてです。「長期評価」では、巨大津波の襲来の可能性が示されています。1審判決は、この「長期評価」があったのに対策を行わなかった旧経営陣の責任を認めています。

 それに対して、旧経営陣は、2審で「津波対策を義務づけるに足りる信頼性は無かった」と述べ、巨大津波の襲来は予測できなかったと強調しました。一方、株主側は、「旧経営陣は巨大津波は来ないものだと思考停止していた。長期間、対策を先送りした責任がある」と改めて主張したと報じられています。

 

旧経営陣の主張は無理ではないか?

 今後の論戦を楽しみにしていますが、現時点で報道を読む限り、旧経営陣の主張は無理があるように思います。国の機関が出している「長期評価」ですから、当時の最高の知見が示されたものでしょう。自然相手のことですから、その「長期評価」が絶対に正しいという証明などできるはずがなく、信用できないというのなら明確な根拠が必要です。

 「長期評価」が誤りと断定できないなら、そこで指摘された危険に対して対策を講じておくべきことは、あんな危険な施設の設置・管理者としては当然のことです。それを怠った責任者は、賠償を命じられて当然です。全額を賠償することなどできないでしょうが・・・。

 あんな危険物を扱う以上、わずかな危険性に対しても万全の対策を講じなければならないこと、それを怠った経営者は個人賠償責任を負うことを明確に示していただくことを期待しています。それでもまだ、原発を増設したり、稼働させたりする愚かな経営者はいるでしょうか?

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 中古車販売大手の株式会社ビッグモーター、次々に報じられるのは、もはや「不祥事」などというレベルではなく、会社ぐるみの犯罪です。

 第三者委員会が6月までに提出した調査報告書では、社員の4人に1人が不正な作業に関与したことが明らかにされています。顧客の車にわざと傷をつけて修理費用を水増しし、損害保険会社へも不正に保険金を請求するような行為が常態化していたようです。

 こんな状況を社長が知らなかったということは非常に疑わしく、仮に本当に知らなかったとしても、社長の利益一辺倒の姿勢がこんな犯罪組織を作ったのでしょう。また、事実が明らかになった後に、社長がマスコミの報道が大げさであるかのような批判をしたことが明らかになり、「反省していない」と火に油を注ぎました。

 これは、役員の誰かが関与していたなどというレベルではなく、詐欺行為で利益を上げるための会社と言っていいレベルです。フィリピンから送還されて逮捕されたルフィーとかミツハシとかの特殊詐欺グループと、本質的に同じです。

 

 これほどの「組織犯罪」となると、いかに非上場会社といっても存続は難しいと思います。役員報酬の1年間の辞退程度ではとてもとても・・・。誰もこんな会社と取引しようと思わないでしょう。今さら社会貢献的なことを社是に掲げたとしても、誰も信じません。

 唯一、この会社が存続する方策は、経営陣の一掃しかないように思います。この社長が株主として影響力を持ち続ける形では、経営陣から外したとしても世間の納得が得られそうもありません。
 これほどの会社は他にないでしょうが、コンプライアンス、ガバナンスを大切にしなければ組織の継続が許されないことが、あらためて示されました。

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