国や地方公共団体の職員が違法に公権力の行使をした場合、被害を受けた人は国家賠償法により国や地方公共団体に損害賠償を請求することができます。その場合、違法行為をした職員には請求できないことが原則です。国や地方公共団体が損害賠償をした場合、その分を実際に責任のある公務員個人に求償できることになっています。ここまでは、国と地方公共団体の取扱いは、同じです。
地方公共団体が公務員に求償できるにもかかわらず求償しない場合、地方自治法による住民監査請求や住民訴訟の対象になり、求償請求することを義務付けられます。しかし、国が求償請求しない場合にはこうした制度はありません。
これは明らかに制度上のアンバランス、不備であり、是正が必要です。
森友事件での国の卑怯なふるまい
違法な公文書改ざんに従事させられたことを苦にして自殺された近畿財務局職員の家族が、国と改ざんを指示した疑いが濃厚な佐川元理財局長を訴えた裁判で、国は請求を認諾して裁判を降りてしまいました。遺族と佐川氏の裁判が残されましたが、大阪地裁は原告の請求を退けました。納得できない気もしますが、国家賠償法の解釈からすればやむを得ない判決だとも思います。
遺族は、高裁でも佐川氏本人の尋問を求めていましたが、9月13日、その尋問をしない決定をして結審しました。大阪高裁とすれば、国家賠償法の規定がある以上、佐川氏本人の尋問などやってもやらなくても結論に影響はないということでしょう。
佐川氏に国家賠償法に基づく求償請求を
国は、佐川氏のせいで莫大な賠償金を支払わされたわけですから、求償請求をすべきです。求償請求しなかった場合、地方公共団体ならば住民訴訟などを起こせますが、国の場合、国民の側に打つ手がありません。国は、そこまで狙って、認諾という奇策を弄してきたのかもしれません。佐川氏も、求償請求などされれば、怒って洗いざらい真実を暴露してしまうかもしれませんから・・・。
全国市民オンブズマンなどが、国民検査請求訴訟、国民訴訟の制度化を求めて運動しています。国の側で、いざというときに森友事件と同じような卑怯な手を使うために不備を温存しておくつもりがないのであれば、制度を整備すべきでしょう。
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