地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしていました。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

2023年09月

 国や地方公共団体の職員が違法に公権力の行使をした場合、被害を受けた人は国家賠償法により国や地方公共団体に損害賠償を請求することができます。その場合、違法行為をした職員には請求できないことが原則です。国や地方公共団体が損害賠償をした場合、その分を実際に責任のある公務員個人に求償できることになっています。ここまでは、国と地方公共団体の取扱いは、同じです。

 地方公共団体が公務員に求償できるにもかかわらず求償しない場合、地方自治法による住民監査請求や住民訴訟の対象になり、求償請求することを義務付けられます。しかし、国が求償請求しない場合にはこうした制度はありません。

 これは明らかに制度上のアンバランス、不備であり、是正が必要です。

 

森友事件での国の卑怯なふるまい

 違法な公文書改ざんに従事させられたことを苦にして自殺された近畿財務局職員の家族が、国と改ざんを指示した疑いが濃厚な佐川元理財局長を訴えた裁判で、国は請求を認諾して裁判を降りてしまいました。遺族と佐川氏の裁判が残されましたが、大阪地裁は原告の請求を退けました。納得できない気もしますが、国家賠償法の解釈からすればやむを得ない判決だとも思います。

 遺族は、高裁でも佐川氏本人の尋問を求めていましたが、9月13日、その尋問をしない決定をして結審しました。大阪高裁とすれば、国家賠償法の規定がある以上、佐川氏本人の尋問などやってもやらなくても結論に影響はないということでしょう。

 

佐川氏に国家賠償法に基づく求償請求を

 国は、佐川氏のせいで莫大な賠償金を支払わされたわけですから、求償請求をすべきです。求償請求しなかった場合、地方公共団体ならば住民訴訟などを起こせますが、国の場合、国民の側に打つ手がありません。国は、そこまで狙って、認諾という奇策を弄してきたのかもしれません。佐川氏も、求償請求などされれば、怒って洗いざらい真実を暴露してしまうかもしれませんから・・・。

 全国
市民オンブズマンなどが、国民検査請求訴訟、国民訴訟の制度化を求めて運動しています。国の側で、いざというときに森友事件と同じような卑怯な手を使うために不備を温存しておくつもりがないのであれば、制度を整備すべきでしょう。

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 2023年4月から個人情報保護法制が統一されて間もなく半年です。

 平成15年に成立した我が国の個人情報保護制度は、民間部門を規制する「個人情報保護法」、国の行政機関を規制する「行政機関個人情報保護法」、独立行政法人等を規制する「独法等個人情報保護法」、そして地方公共団体を規制する各自治体の多数の「個人情報保護条例」と、根拠法が分かれていました。保護すべき「個人情報」の範囲も微妙に異なり、所轄する組織に義務付ける事柄等も異なっていました。

 なぜこんな不便なことになっていたかというと、国の法制化よりも各自治体の条例の方が先行していたため、国が後から割り込んで法律で全体を規制することに法学者らが異論を唱え、国も遠慮していたようです。

 個人情報保護法が令和3年に大改正され、統一された保護法制が、令和5年4月から完全に施行されました。私は、基本的には地方自治を尊重する立場ですが、こんなことは国で統一して当然でしょう。

 

統一されたことはよかった

 従来のようにバラバラでは、東日本大震災の被災地などで、自衛隊、他県からの応援部隊、各地から応援に行った病院、警察などの共同作業に支障が生じたようです。そのことも、統一への機運を高めたのでしょう。個人情報とはいえ、緊急時に生命等を守るためには活用すべきことは当然で、その辺の法制が統一されていなければ不都合が生ずることは容易に想像が付きます。

 同じ地域にある病院でも、国立大学法人の病院、県立病院、市立病院、民間病院で別々の保護法制が適用されたのでは、関係者は不便だったでしょう。

 

私はまだ慣れていない

 私は県職員時代に県の個人情報保護条例を担当していた時期もあり、あの条例に基づく対応には少しは慣れていたつもりだったのですが、その条例も3月末で廃止されてしまいました。新たな条例は「個人情報保護法施行条例」といったような名称で、あくまで法律に基づいて細部の取扱いを決める内容です。

 全国の地方公共団体で、同様のことが起こっているのでしょう。各自治体で、個人情報保護事務の中で重要な役割を担っていた「個人情報取扱事務登録簿」なども廃止されたり名称が変わったりしています。
 私も県庁を離れて7年半になりますが、まだ仕事を続けている以上、個人情報保護法はきちんと理解しておかなければなりません。勉強をし直しています。

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 私がこのブログで、ジャニーズの問題について沈黙していたことについてマスコミ各社の検証が必要だと主張した2日後の9月11日、NHKが「クローズアップ現代」で「検証した結果」を報じました。ジャニーズ事務所の藤島前社長が謝罪会見をして各社の報道が本格化したころから、NHKではこの検証番組の準備を始めておられたようです。自らの責任を認めて「検証」を始められたことについては、一応評価しますが、踏み込みが足らず、やはり内部職員による検証には限界を感じざるを得ません。第三者的機関による検証の必要性を感じます。
 「ジャニーズ問題はマスコミ各社の検証も必要」 参照願います。

 

「クローズアップ現代」の検証

 クロ現でも、告発本が出版された時点、文春が性加害を報じた時点、裁判で性加害が事実であると認定された時点など、報道すべき機会は何度もあったにもかかわらず、報道してこなかったことを問題視しています。したがって、それらの時点で各部門の責任者であった人たち等へのインタビューが「検証」の中心です。自社のみならず、民放の関係者にもインタビューしています。

 結局、「触れてはいけない」雰囲気ジャニーズ事務所と対立したくない気持ちからの忖度芸能部門と社会部門等との間の垣根「芸能ネタ」をNHKで取り上げるべきでないという妙なプライドなど、様々な要因があったことが指摘されました。

 それらの指摘自体は納得できるものですが、私でも想像できるようなことばかりで、踏み込みが足らない感じは否めません。さらに、今後どう防ぐかという点にはほとんど答えがありません。組織体制の問題もあり、内部職員による検証の限界でしょう。


 
あの番組の放送をもって一件落着とはならないでしょう。対応策の検討を含め、第三者的機関によるさらなる検証が必要だと思います。

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 生命の誕生を語るには、原初の地球の環境、成り立ちを語る必要があります。したがって、本書には、超新星爆発、太陽の誕生、地球の誕生から始り、生命の誕生から現在までの46億年の歴史が描かれています。

 「超圧縮」と題されていても、本編だけで300ページほど、注釈や索引を入れて400ページほどになる分厚い本です。

 46億年ほど前に地球が誕生し、8億年ほど後の38億年前には早くも最初の生命が誕生しました。最初はバクテリアのような単細胞の生物で、20億年以上前までには様々な種類のバクテリアがコロニーを作って分業し、相互依存するようになったようです。

 光合成を始め、分業から多細胞になり、環境中の酸素濃度が増えたことから動物が誕生し、背骨ができたり陸にあがったりしながら、やがて哺乳類、人類も誕生します。

 その間、太陽と地球の距離の変動、プレートテクトニクスや大きな隕石の落下などによって、ほとんどの生命が死に絶えたビッグファイブと呼ばれる5回の大量絶滅があります。その時に滅亡を免れて生き延びた生物の子孫が、人類を含め、現在の地球上に生きている生物たちです。ビッグファイブの中で最も最近のものは、恐竜が絶滅したことで知られている白亜紀末(約6600万年前)の大量絶滅です。

 700万年~1000万年前にヒト族の系統とチンパンジーの系統が分かれました。その後、様々なヒト族が現われては滅亡し、現在生き残っているのは、我々ホモ・サピエンスだけです。途中、滅亡した別系統のヒト族であるネアンデルタール人やデニソワ人と交雑しており、純アフリカ人以外のホモ・サピエンスにはネアンデルタール人の遺伝子が混じっており、チベットや東南アジアの人々などにはデニソワ人の遺伝子が残ったいるとのことです。

 現在、地球上で生き残っている生物は、過酷な大量絶滅の時代を生き延びてきた生物の子孫なので、今後もどんな環境でも生き残っていけると期待したいところですが、著者によると逆のようです。ビッグファイブなどによって遺伝子の多様性が失われたことが、やがて滅亡の原因になるとのこと。

 著者は、地球の気候変動を人類が阻止することなどできないと考えておられ、「地球を救え!」などというのは傲慢だとも言っておられます。人類の滅亡も避けられないと考えておられながら、それでも、できる手は尽くさなけらばならないと本書を結んでおられます。
 いろいろ考えさせられる本でした。

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 「故安倍晋三 国葬儀記録」と題する記録集を政府が作成し、近く国会図書館で閲覧可能になることが9月9日、報道されました。どういう事情か分かりませんが、共同通信が公表前の写しを入手したとのことです。

 その内容は、国葬実施や予備費使用の閣議決定文書、実行幹事会の概要、当日の司会進行表、案内状と区分別の発送数、会場設営手順や参列者の送迎計画といった事務資料が並ぶほか、岸田首相や友人代表の菅前首相らの追悼の辞なども収められているとのことです。

 政府が、このような記録集を編集して残すことは当然です。多額の国費を費やして実施したものであり、今後の参考に供さなければなりませんから。しかし、そうであればこそ、実施基準や経費の妥当性などを検証した有識者ヒアリングの内容は、少なくともこの記録集に含めるべきです。

 どこで間違えたために、国民の過半数が反対する中での国葬という恥ずかしいことになってしまったのか、その検証が含まれないのでは意味がありません意味がないどころか、有害ですらあります。

 「有害」というのは、このような事務的な手続を淡々と記録したような形では、将来、これが無批判に「先例」として扱われてしまうからです。それは行政を歪めるものです。
 本当に閣議決定だけで実施してよかったのか等、検証してそれを付記しなければ、こんな記録集は有害無益です。

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