地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

2023年11月

 自民党の5派閥が、2019年から2021年の政治資金収支報告書について、パーティー収入約4,000万円分の不記載、過少記載があるとして告発され、検察が捜査を始めました。さらに、11月24日に発表された2022年分の政治資金収支報告書でも、新たに複数の派閥で、あわせて200万円を超える不記載が明らかになっているとのことです。

 あきれた話です。この5派閥はどうせ事務方の単純ミスだと言い張るのでしょうが、裏金作りをしていた疑いが濃厚でしょう。

 この5派閥の責任者は、意図的に不記載、過少記載を繰り返していたか、そんな簡単な事務作業もまともにできないようなスタッフに大事な仕事を任せるほどの間抜けか、どちらかでしかあり得ません。いずれにしても国会議員としては不適格であり、辞任された方がいいでしょう。

 

ザル法を解消せよ

 政治資金規正法は、パーティー券の購入額が20万円を超えないときは匿名扱いになっているなど、かねてからザル法と言われています。にもかかわらず改正しようとしないのは、誤魔化そうとしているからとしか考えられません。

 誤魔化そうとしているのでなかったら、企業・団体からの寄付、パーティー券の購入は、少額のものもすべて名前入りで公表するよう改正すべきです。企業・団体は、名前を公表されても困ることはないでしょう。困るなら寄付などしなければいいだけのことです。

 税務データと付き合わせるためにも、赤字法人の政治団体への寄付は禁止すべきでしょう。

 今回の件、政治資金規正法の不備を是正するきっかけになってくれることを願っています。告発した大学教授に「Good Job!」

 東京地検特捜部が、深く切り込んでくれることを期待しています。

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 18年ぶりのセ・リーグ優勝の阪神と、パ・リーグ3連覇を果たしたオリックスの優勝記念パレードが、11月23日、大阪市と神戸市で賑やかに開催されました。華やかさの裏で、警備に従事した職員について、ちゃんと公務で対応した兵庫県・神戸市に対し、ボランティアとした大阪府・大阪市の対応が批判されています。

 さらに、大阪府・市は、職員から寄附金も「割り当てて」募ったことが報じられています。私も、大阪府や大阪市のやり口は、違法である疑いが極めて強い行為だと思います。

 残念ながら、この手の悪質な行為は、公に報道されているだけでも時々起こっています。報道されないケースもかなりあるだろうと思います。4年前(2019年)にも愛媛県が、松山空港ソウル便の搭乗率を上げるため、部局ごとの目標を示して職員に私的な韓国旅行を促して問題になりました。人々の記憶も薄らいでいるだろうとは思いますが・・・。

 「割当て的寄付の禁止 愛媛県のソウル便支援策に思う」 参照願います。

 

 今回の大阪のケース、労働法の観点からの批判はメディアでかなり出ているので、ここでは私は地方財政法の観点から批判したいと思います。

 地方財政法第4条の5では、「割当的寄附金の禁止」を定めています。国は地方公共団体やその住民に対し、都道府県は市町村やその住民に対し、市町村は住民に対して、寄付を割り当てて強制的に徴収してはならないというものです。通説的解釈では、割り当てるという行為自体が強制の意味を含むため割り当てること自体が禁止され、また、強制的とは心理的圧迫も含むこととされています。「部局ごとの目標は示したが強制はしていない」などという言い逃れを許せば、規制自体の意味が失われます。

 今回の大阪でも部局ごとの割り当てが行われたと報じられており、心理的圧迫も当然あったでしょう。拒否すれば、まるで郷土愛がないかのように思われかねません。

 無償の労務提供は、金銭の寄付と同じことです。今回は、金銭の寄付も割り当てられたようです。したがって、今回の大阪のケースは、4年前の愛媛県のケースより違法性が強いでしょう。

 また、万一の事故の場合の責任や職員への補償にも不安があります。ボランティア扱いの場合、公務災害になるのか等・・・。
 維新の会が天下を取ると、こういうやり口が主流になってしまうのでしょうか?

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 元慰安婦らが日本政府に損害賠償を求めた訴訟で、11月23日、韓国のソウル高裁が原告の訴えを全面的に認める判決を出しました。日本政府に対するものでは、一昨年(2021年)にソウル中央地裁でも、日本政府が裁判に参加せず、控訴もしなかったため、原告への賠償を命じた判決が確定しています。今回の裁判も、日韓両政府は静観の構えであり、このまま確定するようです。

 徴用工問題に係る日本企業に対する裁判は、日本企業が実害を被る可能性があるので放置できませんが、日本政府の韓国内資産はウイーン条約で守られているので、現金化は進まず、放置しておいてもいいということのようです。不愉快ではありますが。

 私も両政府の対応に賛成です。連中と言い争っても、百害あって一利なしでしょうから。

 

恥ずかしくないのかな?

 元慰安婦の方々は、意に反して慰安婦にされたのでしょうからお気の毒ですが、彼女らを業者に売ったのは親や家族でしょう。そうでなければ、騒動にならなかったはずはありません。平穏な家庭や学校から突然少女が拉致されて、何も騒動にならなかったなど、考えられません。

 日本は南方や中国戦線に兵力を送るのに精いっぱいで、朝鮮半島で反乱を起こさせるようなことをするはずがありません。警察官にも現地の人がたくさんいたようです。

 多くの少女が日本軍などに拉致されながら、何も抵抗しなかったとすれば、朝鮮の人々にとってとても恥ずかしいことでしょう。抵抗したり、反乱を起こしたりしなかったばかりか、大勢の若者が日本軍に志願していることも歴史的事実です。
 元慰安婦の人たちも本当は分かっていても、親や家族に売られたとは考えたくない気持ちは理解できます。しかし、周りではやし立てている連中は、本当に拉致があったと仮定した場合の民族としての恥(無抵抗だった)をどう考えているのでしょうか?自分たちの祖先を侮辱していることに気づかないのでしょうか?

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 原書では、題名がWOKE CAPITALISM」、副題が「How Corporate Morality is Sabotaging Democracy」のようです。これを「意識高い系・・・」と訳した日本語訳の巧みさに、まず感心しました。

 表紙カバーの折り返し部分に、重要な基礎知識の解説があります。

 『WOKE」とは、「WAKE=目を覚ます」という動詞から派生した言葉。公民権運動時代から使われていた言葉だが、近年は「社会正義」を実現しようとする人々の合言葉となっている。』

 『WOKE CAPITALISM」とは、企業が気候変動対策、銃規制、人種平等、LGBTQなど性的平等実現などに取り組む様子。』

 米国では、しばらく前から、大富豪や巨大企業が莫大な資金を環境対策事業等に寄付しています。本書で例示されているAmazonの創業者ジェフ・ベゾス氏は、気候変動対策のために2022年に100億ドルもの寄付をしました。しかしその一方、タックスヘイブンを使うなどの巧妙な租税回避策により、Amazonはほとんど法人税を納めていないようです。また、同社の倉庫では、労働者が劣悪な労働条件に苦しんでいます。

 こういった事例は、米国では無数にあり、日本にもあります。

 本書では、多数の事例を分析し、彼らの「善意」は大衆に良いイメージを持たせ、利益に結び付けることを狙っていると結論付けています。

 あまりに貧富の格差が拡大し、これを放置すると暴発の危険があるため、彼らからすればはした金を福祉事業に恵む、企業のイメージを良くして売上をさらに増やすため人種差別に抗議する姿勢を示す・・・。これらは結局、格差を生み出す今の社会の仕組みを自分たちに有利なままに温存し、今後も利益を貪るためというわけです。

 

 Wokeという言葉は、元々はいい意味の言葉でしたが、今では、経済的利益の追求にのために意識の高い道徳的なスローガンを利用しようとする企業等を揶揄するときに使われる言葉でもあるようです。

 著者は、人々に、大企業等のWOKEな行動に騙されず、目覚め(woke)なければならないと主張されています。一方、企業等の動機は株主利益の最大化を目指すものであることを認識しつつ、あまりに無力な政府に代わって企業の力を利用すべきだとする立場もあります。

 社会問題の是正に企業や大富豪の力を利用しつつ、政府は格差を是正する施策に容赦なく取り組むのが賢いやり方でしょうが、言うは易く行うは・・・。

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 住民基本台帳や戸籍の情報については、本人とその同一世帯の人以外には閲覧させたり、写しを交付したりしないことが原則です。しかし、それ以外の者にも、交付等すべき合理的な事情があれば交付することになっています。

 代表的なのが、行方をくらませた債務者の住所を債権者が探す場合です。住民だった人が転出した場合、住民票除票には転出先が記載され、債権者はそれを得て、次は転出先の市町村役場で調査することになります。

 調査する債権者の側からすれば、この住民票除票には本籍地も表示してあるべきです。しかし、多くの市町村では、このようなケースでは本籍地を表示したものの交付はしない取扱いをしているようです。これは不合理です。

 そんな取扱いを定めた規則等は見当たらず、単なる「取扱い」のようです。ルールとしては「合理性」だけのはずなのですが・・・。

 本籍地の表示がない場合、債権者は次々に転出先の市町村を追わなければなりません。住所を転々としている場合、大変な手間、費用がかかることになります。本籍地が分かれば、そこに戸籍の附表の写しを請求すれば、手間を省くことができます。債権者だけでなく他の市町村にとってもいいことです。

 

 市町村は、債務者の側にも債権者の側にも立つべきではありません。債権債務が存在することを確認し、債権者の請求が合理的であれば、本籍の表示された住民票除票の写しを交付すべきでしょう。

 債務者をかばって、債権者の邪魔をしようなどとしてはいけません。債務を踏み倒そうとして行方をくらませている奴の方が悪いことが多いものです。

 弁護士が弁護士法に基づいて請求すれば応ずるが、債権者本人の場合は応じないという取扱いをする市町村もありますが、それも不合理です。少額な家賃などの踏み倒しの場合、弁護士に依頼すれば足が出てしまいます。家主さんは泣き寝入りするより仕方ありません。

 市町村が妙な取扱いをすることは、悪質な債務者(債権者が反社会的勢力等でもない限り、行方をくらますだけで悪質です。)の片棒を担ぐことになります。

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