地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

2024年01月

 パーティー券の裏金問題に端を発した自民党のコップの中の嵐は、報道を見ている限り、今のところ岸田首相の圧勝です。安倍派の幹部は求心力を失い、他の派閥のほとんども力を失い、麻生派だけが辛うじて一応の結束を保っている感じでしょうか?

 岸田派も解散ですが、そもそも第4派閥であり、失うものは多くありません。

 

今後は?

 しかし、国民からの支持が極めて少ない岸田政権を今まで支えてきた勢力が、消滅してしまったことも事実です。しかも、今まで支えていた連中の中には、岸田氏に恨みを抱いている人も多いでしょう。今後、誰が政権を支えるのか?

 何かきっかけがあれば、党内で倒閣の動きが表面化して、あっという間に政権が倒れてしまう可能性もあるでしょう。その時、岸田氏の手から落ちた政権を拾うのは、菅氏か他の誰かか?

 

自民党には期待できない

 自民党内での政治改革の議論を見る限り、期待できそうにありません。議論の内容は、「改革」の名に値しない小手先のものばかりです。

 企業団体献金の廃止(政治資金パーティー券の企業団体による購入も含む。)、陣中見舞いなどの政治家同士のカネのやり取りの禁止、政治活動収支の完全公開、連座制など、最低限これくらいは完全に実施していただかなければ、「改革」とは言えません。

 国会議員に月額100万円支給される「調査研究広報滞在費」(旧文書通信交通滞在費)で、議員としての政治活動には十分すぎるでしょう。これ以上欲しがるのは、強欲というものです。今は、自分の考えを発信することなど、カネをかけずにできるし、雑務も公設秘書で十分でしょう。

 これだけ至れり尽くせりの待遇でありながら、さらにカネ集めばかりしているような議員は、国民にとって有害無益なので、不要です。

 次の国政選挙まで、有権者には今の自民党の姿をしっかりと記憶しておいていただきたいものです。

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 能登半島地震の被災地では、「孤立」は解消されたようですが、地震から1か月近く経った今も道路は寸断している状態です。この様子では、志賀原発で事故があった際には、住民のスムーズな避難など不可能でしょう。

 一方、国道8号線の上越市(柏崎市に隣接)地内でも地震による土砂崩れで通行止めになったいたのが、1月27日にようやく解除されたことが報じられています。またあの付近は、大雪の際はしばしば通行止めになったり立ち往生が発生したりする場所です。やはり柏崎刈羽原発で事故があっても、住民のスムーズな避難などできないでしょう。

 国などは、地域外への避難をあきらめたのか、「屋内避難」などと言い出しています。屋外よりは放射線量は少しは小さいでしょうが、安全などとは到底言えません。無責任な話です。人口密度が低い地域だから少しくらいの犠牲は仕方ないと考えているのでしょうか?

 志賀原発や柏崎刈羽原発に限りません。原発の立地している地域は、広い平野を後背地としている地域はあまりなく、ほとんど山が迫っている地域の海辺のようです。地震や豪雨などの際には、土砂崩れなどの災害も起こるでしょう。

 また、志賀原発では、「想定外」の揺れのため施設がかなり破損しているようです。もう少し揺れが大きかったらと想像すると、恐ろしいものがあります。柏崎刈羽の近く、佐渡沖にも断層があるようです。

 原発を再稼働するより、太陽光などの再生可能エネルギーの活用を加速すべきでしょう。絵に描いた餅のような避難計画を作ったり、毎年大騒ぎで避難訓練をするより、よほど効率的です。日本の周囲には、原発を攻撃しかねない物騒な国がいくつかあるのですから・・・。

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 1月11日、「あきんどスシロー」がアルバイトの学生に対して5分未満の端数を切り捨てて労働時間を計算していたため未払い賃金が生じているとして、中央労働基準監督署(東京都)から是正勧告されたことが報じられました。労働時間は1分たりとも切り捨てていいものではありませんから、当然です。

 一方、時間外勤務の端数時間については、1日ごとの端数処理は認められませんが、1か月分を集計した上で30分未満の端数を切り捨てることは認められています。これは、昭和63年の通達で確認された扱いのようです。

 しかし、いかに1か月集計したものであるとはいえ、両者は矛盾しています。30分単位の四捨五入だから必ずしも労働者に不利にはならないという言い訳がされていますが、絶対に労働者に不利にならない取扱いをすべきでしょう。法令上の根拠もなく切り捨てることは、違法の疑いがあるでしょう。

 昭和63年ころは、多くの職場にオフィスコンピュータはありましたが、誰もが使える程度には普及していませんでした。私の職場では、ワープロですら1人1台はありませんでした。時間を分単位で管理、集計し、計算することはなかなか面倒だったでしょう。今はその程度の計算はExcelで簡単です。

 技術が未発達な時代に便法として出された通達を、いつまでも温存しておくことは怠慢です。厚生労働省はじめ各省庁は、早急に見直しべきでしょう。

 ただ、多くの自治体では、時間外勤務を30分未満は切り捨てて30分単位で申告する職員が多く、このような慣行があると、かえって労働者側に不利になります。1分単位で申告する体制に切り替えることはなかなか難しそうですが、やるべきでしょう。

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 「それは信者8000万人の巨大カルト」という副題、コピーが付いています。本書は、財政均衡主義、財政健全化論を唱える財務省を批判し、大規模な財政出動を主張するものです。著者の考えは、いわゆるMMT(現代貨幣理論)に近いようです。

 本書の主張は、日本の国家財政が危機的状況にあるなどということは財務省が国民を洗脳しようとする嘘っぱちで、国債を大いに発行し、消費税も撤廃または減税して、経済を活性化させるべきすべきだとしています。

 

 まず、国債について、日本の国債残高はたしかに膨大ですが、政府が保有している資産も膨大なので、総合的にはあまり心配するほどでないとの説明です。財務省が公表している2020年度末の国の連結貸借対照表によると、資産は1121兆円、負債は1661兆円で、差引540兆円ほど債務超過です。酷い数字のようですが、これは名目GDPの102%、ほぼ同額で、先進国では普通の水準とのことです。

 また、国債については、日銀が購入した時点で返済義務は事実上消滅するとのことです。永遠に借り換えることにすれば利息分だけ償還を続ければいいわけですが、利息から日銀の経費を差し引いた利益分は国庫納付金として戻ってくるとのことです。

 このような形で財政拡大、通貨の大量発行をした場合、心配されるのは、悪性インフレです。MMTの理論では、目標とするインフレ率を設定し、そのインフレターゲットに達するまでは国債を発行し続けても心配なく、目標に達したら引き締めを始めれば大丈夫であるとのことです。黒田日銀が行った異次元緩和という壮大な実験を世界の経済学者が注目していましたが、悪性インフレなどは起こらず、国債発行はまだ余裕がありそうだとのことです。

 安倍元首相も岸田首相も、最初は積極財政を唱えていたもののザイム真理教の信者たちの包囲網で腰砕けになったり、軍門に下ったりしてしまったとのことです。

 著者の主張は説得力がありますが、私も長らく財務省に洗脳されていたためか、まだ完全に信じ切ることはできていません。

 本書では、上述の主張のほか、様々な指摘があります。森友学園への国有地の格安売却が批判されましたが、大手新聞社の多くも国有地の格安販売をしてもらっている疑惑があることなどです。消費税アップの際、なぜか新聞代が軽減税率で据え置かれたことも私には極めて不自然に思えました。その他、税制が富裕層優遇になっていること等・・・。
 私が持っていた考えと別の考えを提示され、迷いが生まれています。読んで良かったと思います。

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 1月18日の共産党大会で新委員長に選任された田村氏の発言(発言は新委員長に選任される前)が共同通信などマスコミ各社で報じられ、それを読んでがっかりしています。

 私は党員でもなく、アンチでもありませんが、政策には共感する部分もあり、比例区では共産党に投票することもあります。若いころ、社会党系が主流の職員団体執行部に対して、理不尽な動員に反対する正論で挑んでいた少数派の共産党系には共感していました。また、共産党の県会議員が議員の中で一番勉強熱心であられたので、尊敬していました。

 発端は、昨年、党首選挙制の導入を訴える『シン・日本共産党宣言』(文春新書)を刊行したことで、松竹氏が共産党から「除名処分」を受けたことです。党首を党員による民主的な選挙で選ぶべきと主張することが除名理由になること自体が常識ハズレですが、その過程も議論を封じる形のもので、民主的とは到底言えないものでした。

 その除名処分について今回の党大会で批判した勇気ある地方議員に対する田村氏の非難は、報道で読むとひどいものです。党員からも「パワハラだ。」という批判が出ていると報じられています。

 地方議員が「除名は対話の拒否にほかならない。排除の論理ではなく、包摂の論理を尊重することが党運営に求められている」等と発言したのに対し、「『除名処分を行ったことが問題』という発言者の姿勢に根本的な問題があることを厳しく指摘する」「党員としての主体性を欠き、誠実さを欠く発言だ」「全く節度を欠いた乱暴な発言」「党外から出版という形で党の綱領と規約を攻撃した者を除名処分にしたことは当然だ。この政治的本質を全く理解していない発言者に大きな問題がある」など延々と批判したと報じられています。小池書記局長が、「発言内容への批判であり、人格を傷つけるものではない。パワハラとの指摘は違う。」などと弁明していますが、パワハラでしょう。

 「発言者の姿勢に根本的問題」「党員としての主体性を欠き、誠実さを欠く」「全く節度を書いた乱暴な発言」「発言者に大きな問題」・・・

 共産党員としての誇りを持っているであろう地方議員に対するこの発言は、人格攻撃であり、パワハラそのものです。また、自由な意見発表や議論を抑え込もうとする閉鎖的な姿勢は、ロシアや中国の体制を彷彿とさせます。

 田村氏の発言には、「共産党外の声に依拠している」と批判するなど、外部の声など聴く必要はないという意味が含まれます。共産党員以外の人からどう思われようと構わないという姿勢では、国民の支持を得ることなど不可能です。今回の件、共産党に親近感を抱いていた「リベラル」を遠ざけてしまうでしょう。私も含めて・・・。
 党内部でも自由で民主的な議論を許さない閉鎖的体質がさらされてしまいました。地方議員の間でも批判が広がっています。共産党の行く末に暗雲が立ち込めています。

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