地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

2024年02月

 確定申告の真っ最中の2月27日(火)、私のところに国税庁を名乗るメールが来ました。差出人(From)は、【Support E-tax】と表示されています。

 標題は「締切が迫る:未払いの税金に対処してください」とあります。

 長いですが、本文をそのままコピペします。

 「e-Taxをご利用いただきありがとうございます。

あなたの所得税(延滞料)(法律により計算した額 について、これまで自主的に納付されるよう催促してきま したが、まだ納付されておりません。
もし最終期限までに 納付がないときは、税法のきめるところにより、不動産、自 動車などの登記登録財産や給料、売掛金などの值権など の差押処分に着手致します。
納稅確認番号:****4520
滯納金合計:53000円
納付期限: 2024/02/27
最終期限: 2024/02/28 (支払期日の延長不可)

お支払いへ

※ 本メールは、「国税電子申告・納税システム(e-Tax)」にメールアドレスを登録いただいた方へ配信しております。
なお、本メールアドレスは送信専用のため、返信を受け付けておりません。ご了承ください。
----------------------------------------------------------
発行元:国税庁
Copyright (C) NATIONAL TAX AGENCY ALL Rights Reserved.2024」

 

 「お支払いへ⇒」には、リンクが張ってあります。馬鹿馬鹿しい文書で、すぐに詐欺だと分かりました。私は、所得税の確定申告はもう済ませ、口座からの引き落としを待っている状態です。納税の催促など受けていません。第一、国税庁がメールで催告状の送付などするはずがありません。

 よく見ると、滞納の「滞」、「税」の書体が、日本では現在使われていない書体です。税の分野で「延滞料」などという言葉は使わず、「納付期限」と別に「最終期限」があるはずがなく、「着手致します」は公文書では必ず「いたします」です。

 こやつらは、日本語や日本の制度に通じていない連中のようです。こんなのに騙される人は、自分でE-taxをしている人の中にはいないでしょう。

 キャリアメールには詐欺メール、迷惑メールばかり届きますが、今回のこれはYahooメールに届きした。ネットで検索すると、あちこちに届いているようで、国税庁も注意を呼び掛けています。

 皆さまもご用心ください。

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 2月20日、自民党の情報通信戦略調査会「ネット上の誹謗中傷等に対応するための緊急提言」をまとめ、政府に申し入れたことが報道されました。ネットでの誹謗中傷が原因での自殺も相次ぎ、何らかの対策が必要であることには同意します。

 報じられた提言書をざっと眺めてみましたが、書かれている問題意識には同意できるのですが、書かれていない問題の方がとても気になります。政治家への正当な批判を萎縮させることにならないかという点です。

 この問題は、刑法の侮辱罪の厳罰化の際にも指摘されていました。

 

政治家への批判

 侮辱罪の厳罰化の当時、メディアでも国会の議論でも、「安倍首相は嘘つきだ」と指摘することが誹謗中傷に当たるのかということが問題になっていました。安倍元首相は、国会で虚偽答弁を何度も行ったことが既に公に認定されています。したがって、国民が「嘘つき」と批判しても当然だと私は思います。

 しかし、答弁に立った担当閣僚は、該当するともしないとも明言せず、あいまいな答弁に終始した記憶があります。こんな態では、我々国民は、危なくて仕方ありません。

 私自身、このブログでも別の場でも、安倍元総理や岸田首相を公然と批判しています。施策の内容への批判ばかりでなく、その前提となっている人格についても、嘘つき、空気が読めない、目先の人気取り、人徳がない等・・・。それらの批判の多くは、私のオリジナルではなく、多くのメディア、識者も言っていることです。

 

 まず、「侮辱」「誹謗中傷」の定義を明確にして、政治家に対する前述のような健全な論評は「侮辱」等には該当しないことを明確にしていただく必要があります。そうでないと、自分たちへの批判を封じるために国民の言論を制限しようとしているものと解さざるを得ません。中国やロシアのような社会には絶対にしてはなりません。

 さらなる厳罰化や相手方特定の簡便化などは、その後に検討すべき課題でしょう。

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 私は、50歳台の県職員時代に人事委員会事務局で働いた時期があり、また県を定年退職後にある団体の公平委員会の仕事にも携わったので、公平審査の問題には関心があります。2月中旬、福岡県宮若市の公平委員会で市長のパワハラを認定した報道がありましたが、私はうっかり見逃していました。このブログを読んでくださっている方からそれを教えていただきました。

 

宮若市の事件

 宮若市の公平委員会が、市長の市職員に対するパワハラ行為を認定し、市長に対して職場環境の改善に努めるよう勧告したとのことです。昨年11月、複数の職員が公平委に対し、他の職員がいる前で「辞めろ」と言われたり、育児休業取得に難色を示されたりしたなど9件のハラスメント行為を訴えていました。公平委は職員や市長に事情を聞き、事実関係を確認したうえで、市長に対し、二度とハラスメント行為を行わず、職員が安心して公務に従事できる職場環境づくりに努めるよう地方公務員法に基づき勧告したと報じられています。

 市の公平委員会が、選任権者である市長に対し毅然としてこのような勧告を出すことは、まさに第三者機関としての面目躍如といったところです。

 

公平委員会によるパワハラの認定

 以前、このブログを読んでくださった別の読者から、公平委員会はパワハラの認定をしてくれないのかといったご質問を受けたことがあります。コメント欄では回答したのですが、コメント欄では見てくださる人は少ないので、ここで改めて説明します。

 公平委員会ができることは限られています。不利益処分に対する不服申立ては、自分が懲戒処分等を受けてそれに対して不服があれば申立てできますが、他の職員に対する処分を請求することはできません。措置要求でも、例えば、ある役職者のパワハラを認定してくれといっても、ダメでしょう。措置要求は、自分の勤務条件に関する要求であることが必要です。

 したがって、相手方が今後自分や他の職員に暴行や暴言を行わないよう措置を求める措置要求なら受理されるはずです。そんな要求なら、受理して審査することは公平委員会の義務です。その審査の中で、措置の前提としてパワハラがあったかどうかの認定もされるはずです。今回の宮若市のケースは、まさにそれでしょう。

 また、パワハラが今も続いているなら、苦情相談もできるはずです。その対応の中で、パワハラがあったかどうかの調査が行われ、何らかの対応があるでしょう。

 私が所属していた公平委員会では、委員会は通常は月1回しか開催しないので、苦情相談を受けた場合、まず事務局職員が話を聴き取ります。そのうえで、公平委員会に諮って、誰か一人の委員を担当にして事務局と調査を進める等の対応を取っていました。
 任命権者側にいじめられている職員にとって、公平委員会は最後の一つ手前(最後は裁判所か)の砦です。丁寧な対応が求められ、やりがいのある仕事でした。

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 日本は1968年にGNPで当時の西ドイツを抜き、「世界2位の経済大国」になりました。その誇らしい報道がされたのは、私が中学生になったころでした。

 私の記憶では、「世界2位」という言い方より、「自由世界2位」という言い方が多かったと思います。だから私は、全世界ではきっとソ連が2位で、日本は3位なのだろうと思っていました。今から考えれば、ソ連は経済力としては大したことがなく、当時から日本が世界2位だったかもしれないと思います。

 

シニカルな見方もあった

 「自由世界2位」になったニュースに中学生の私も高揚しましたが、シニカルな意見を言う人もいました。私の中学校の担任もその一人で、「GNPは、テストの合計点をクラスごとに比べているようなもので、人数の多いほうが勝って当たり前。西ドイツなどヨーロッパ各国は日本より人口が少ないのだから、日本が勝って当たり前。騒ぐほどのことではない。」等と言い、せっかく高揚していた中学生の心に水を差しました。

 言われてみれば、そのとおりです。

 

日本より人口の少ない国に・・・

 数年前にGDPで日本を越した中国は、もちろん日本よりずっと人口の多い国です。いつかは抜かれて当然でした。今回、人口8,500万人ほどと日本よりかなり少ないドイツに抜かれてしまいました。

 これは、明らかに国の経済政策の失敗です。バブル崩壊からの30年、日本は経済失政によって停滞を続け、直近のアベノミクスによる異常な円安によってとどめを刺されました。

 停滞の主な原因は、自民党政権が経営者の声ばかり聴いて労働者の賃金が上がらない政策を取り続けたせいだと思います。多くの労働者が普通に働いても生活が苦しい状態に留められ、一方では企業の内部留保や経営者の報酬ばかり増え続ける状態では、少子化が進み、経済も停滞するのは当然です。

 

 経済を成長させることは地球の滅亡を早めそうなので、再逆転など目指す必要はないと思いますが、地球に負荷をかけない循環型の社会を確立して、豊かな暮らしができる日本にしたいものです。

 『人新生の「資本論」』(斎藤幸平)を読んで

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 年次有給休暇の付与日、基準日は、一般には公務員も民間企業も4月1日にすることが合理的です。私が勤務している会社では、就業規則を改正して、従来は1月1日としていた基準日を4月1日に移行しましたが、その経験を綴っています。

 「年次有給休暇の基準日を合理的に 1」

 「年次有給休暇の基準日を合理的に 2」 参照願います。

 

義務5日分の扱い

 我が社では、2024年1月1日に社員に年休を付与し、その後2月に就業規則を改正して基準日を4月1日にしたので、4月1日にも付与します。これは、2025年1月に付与するはずだった分の前倒しです。10日以上の年休を付与された社員には付与日から1年以内に最低5日の年休を取得させなければなりませんが、2024年1月から1年間と同年4月から1年間の二つの期間が重なってしまいます。

 このような場合、義務5日分の扱いは2通りの手法があります。

 一つは、2024年1月から2025年3月末までの15か月間に7日(5日×15月/12月、切り上げ)の取得を義務付けるやり方です。もう一つは、2024年1月からの1年間と同年4月からの1年間のいずれも5日以上の年休取得を義務付ける手法です。この場合、2024年4月から12月の間に5日取得すれば、それだけで両方クリアできます。

 どちらの手法も認められますが、前者で実施する団体が多いようです。我が社もそちらを選び、前回のブログ「・・・合理的に 2」で紹介した改正附則の条項の次の項に「第〇条第〇項の規程により時季を指定して社員に取得させる年次有給休暇の日数は、令和6年1月1日から令和7年3月31日までの15か月間に限り7日とする。」と定めました。

 

違法な移行措置をする自治体もある

 当社で基準日を移行するに際し、ネット等で先行事例を調査しました。

 基準日を4月1日に移動した自治体の中には、3か月分を按分して付与したり、前の基準日から15か月後を次の基準日にしたりするケースもあるようでした。これらは、民間企業がやれば違法なので、地方自治体がやっても違法でしょう。

 条例で定めれば違法ではないというのは誤りです。労働基準法は国家公務員は除外されていますが、地方公務員には一部の条項を除いて原則として適用され、条例も法律に従って制定しなければなりません。ただ、現業以外の地方公務員は労働基準監督署が監督せず、人事委員会や首長が監督することになっているため見過ごされているだけです。

 「地方公務員と労働法制」 参照願います。

 

 合理的な制度に移行するのも、適法に実施しなければなりません。

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