地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

2024年05月

 以前、政党等への寄附金に係る所得税の特別控除制度について、見直すべきだとする意見をこのブログで示しました。

 「政党等寄附金特別控除制度なども見直しを」 参照願います。

 先日、その見直し論を補強するような報道がありました。

 自民党による一連の裏金事件の一環で、同党の稲田朋美幹事長代理が、旧安倍派から裏金のキックバックを受けたことが明らかになっていて、彼女は政治資金収支報告書に計196万円の不記載があったとして訂正しています。その稲田議員が、毎日新聞などの報道によると、3年間で計202万円を自らが代表を務める「自民党福井県第1選挙区支部」に寄付し、これによって所得税の一部が控除されたとのことです。

 稲田議員は、文書で税控除を受けたことを認めたものの、派閥からキックバックされた、いわゆる「裏金」が寄付の原資ではないと説明し、「控除は法令に則っている」としています。「法令に則っている」ことは事実でしょう。しかし、お金に色が付いているわけではなく、裏金を別の用途に使ってそれによって浮いたお金を寄付したのであれば、同じことです。使途の明細も示さないのであれば、信じることもできません。

 同じく自民等旧安倍派の菅家議員も、同じ手法で税の優遇措置を受けたことが明らかになっています。裏金が原資かどうかは別として、自らが代表である政治団体に寄付をして税の優遇を受ける手口は、自民党内に蔓延しているようです。

 

 私は、政治家を含む個人が政党等の政治団体に寄付すること自体に反対するものではありません。自分の望む政治を実現するために自分のお金を使うことは、禁止すべきものではありません。しかし、それを税制で優遇することは前稿でも示したように、不当です。

 例えば、自身の政治団体に対する寄附金については優遇の対象にしないなどと小手先の修正もダメでしょう。他の政治家と示し合わせて寄付し合うなど、いくらでも抜け道がありそうです。

 政党等の政治団体への寄付を税制で優遇することは、有害無益です。

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 5月16日のNHKの報道によると、軍事転用可能な物資を中国がロシアに提供しているとして米国が懸念を強めているようです。その1つで、弾薬の製造にも使われるニトロセルロースという物資で、中国当局の公表データを分析したところ、ロシアへの輸出がウクライナ侵略が始まった2022年以降急増していたことがで明らかになっています。もちろん、ロシアに対する軍事支援の一つでしょう。

 

ロシアの弱みに付け込む

 また今回のNHKの分析では、中国が欧米向けにニトロセルロースを輸出する際、1キロ当たりの価格がおおむね2ドル台から3ドル台であるのに対し、ロシア向けへの輸出では4ドル台と、高くなっていることも分かったとのことです。これには笑ってしまいました。

 経済制裁を受けて他から輸入できないロシアの弱みに付け込んで、大儲けしているのでしょう。欧米諸国も中国からニトロセルロースを買って弾薬を製造し、それをウクライナ支援に使っているようです。ロシアによるウクライナ侵略で最も得をしたのは、間違いなく中国でしょう。

 ロシアも内心腹を立てているでしょうが、中国に逆らうことはできません。ウクライナ問題を機に、ロシアは完全に中国の配下に成り下がってしまいました。それもこれも、アホなプーチンが馬鹿な侵略戦争を始めたせいで、自業自得です。

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 先日、テレビでニュース番組を見ていたら、トヨタと推測される企業が研究開発費に係る税の膨大な金額の優遇措置を受けていることと、企業から自民党への献金の関係について野党が追及していました。やはり、そういう事なのでしょう。私は、研究開発費については、生産性や日本企業の競争力の観点から、優遇措置を必ずしも否定しませんが、それ以外の政策でも、自民党への献金が原因と思われる不合理な政策が目に付きます。


13年経過の自動車に重税

 新車登録から13年経過すると、自動車税が約15%、自動車重量税が約39%重くなるようです。ネットでも悲鳴が上がっています。

 これは、環境対策とのことですが、眉唾です。例えば、12年ごとに車を廃車にする場合と、大切に使って24年ごとに廃車にする場合を比べて、12年ごとに廃車にする方が本当に環境への負荷が少ないのでしょうか?鉄鉱石や石油から自動車を1台作り、それを解体してリサイクルするには、多くのエネルギーを使うでしょう。各年のわずかな燃費の違いなどでカバーできるものか疑問です。製造や処分に使用するエネルギーも加えて、何年で買い替えるのが最も環境への負荷が少ないか、試算を公表していただきたいと思います。

 また、環境への負荷は、車種や使用法で大きく変わります。経過年数で一律に区分することは不合理です。モノは大切に長く使い続ける方が環境にやさしい気がするのですが・・・。

 自動車の買い替えを促進し、自動車メーカーが儲かるようにしているとしか考えられません。献金への見返りなのでしょう。

ガソリン代への補助も

 7月から家庭用の電気料金、ガス料金への補助金が打ち切られ、各家庭の負担が激増します。そのこと自体は、節電等への動機づけになるので、私は反対しないのですが、ガソリンへの補助だけ継続することは理解できません。

 ガソリン代が高くなれば、車の需要が減ったり、高級車から燃費のいい大衆車に需要がシフトしたりするでしょう。そうなっては困る企業が自民党に献金しているのでしょう。

 

 車による二酸化炭素の排出量を抑制したいのであれば、13年超の車の税を重くするより、ガソリンへの補助をやめ、ガソリン税を上げて、ガソリン代を高くするのが合理的で、効果的、公平です。電気料などより困窮世帯への影響も少ないでしょう。
 私も地方在住のためマイカーを保有し、使っていますが、ガソリン代は高騰してもやむを得ないと思っています。

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 5月21日、横浜市が、市の教員によるわいせつ事案の裁判の際、公判で教育委員会の職員らを動員して傍聴させていたことが何度かあると発表しました。被害者側からの要請を受けた場合、児童生徒に関するプライバシーを守ることを目的として行ったとのことですが、「一般の方の傍聴する機会を損なう行為」だったとして謝罪し、今後は実施しないとしています。

市教育委員会の気持ちは理解できる

 私も、某県教育委員会の事務方として、教職員の懲戒処分を担当していたことがあります。その経験から、市教委の気持ちは理解できます。

 懲戒処分を行った際、処分の概要を報道発表しますが、わいせつ事案についてはとても気を使います。被害者が特定されるような情報は公開しないことは当然ですが、どんなわいせつ行為をしたのかも具体的には示しません。というのは、公表しなくても事件の周辺の人たちは誰が被害者かを知っている場合が多いので、「あの子は、あんなことをされたんだって」というような話になってしまうことをできるだけ避けたいのです。

 しかし、教育委員会で伏せていても、公判になれば具体的にどのような行為が行われたか示されてしまいます。被害者やその家族は、周囲の人たちには特に知られたくないでしょう。教育委員会の事務局が、被害者側の気持ちを汲んで、傍聴席を独占したくなる気持ちは、よく理解できます。

 勘繰られているような、加害者をかばう気持ちなどはなかったでしょう。教育委員会の職員としては、わいせつ事件の加害者に対しては、信頼を損なったという腹立たしい気持ちが強いものです。また、教育委員会職員は、教員であった加害者と知り合いである可能性も高いはずですが、加害者とすれば被告席のみじめな姿を知人に見られることは、一般人に見られるより苦痛でしょう。

 被告席にいる加害者のみじめな姿を見せることは、職員研修になるかもしれません。これは半分冗談ですが・・・。

今後どうするのか

 横浜市教育委員会では、今後は実施しないとのことです。そうなると、被害者側のさらなる苦痛をどうやって防ぐかが課題です。
 わいせつ事件については、被害者のプライバシー保護のため、公判のやりかたに今以上の工夫が必要かもしれません。

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 5月20日、国際刑事裁判所(ICC)がイスラエルのネタニヤフ首相や国防相、ハマス幹部ら計5人の逮捕状を請求し、それに対してイスラエルと米国が強く反発しています。ICCは、この5人が、ガザ地区等で戦争犯罪と人道に対する罪に関与した「合理的な根拠がある」としています。

ネタニヤフはテレビカメラの前で激しく反発し、ICCの逮捕状請求は「反ユダヤ主義をあおるものだ」と言っていましたが、それは彼の誤解です。この逮捕状請求の前から、米国の大学をはじめ世界各地で反イスラエルのデモが起こっていましたし、私が反イスラエル感情を抱くようになったのはネタニヤフのせいです。ICCのせいではありません。

逮捕状が発行されれば、ネタニヤフ首相は「戦争犯罪人」となり、政治活動が大きく制限されることになります。

 

揺れながらもイスラエル寄りの米国

 米国の態度は、米国の世論、国際世論に配慮してイスラエルに自重を求めるなど、揺れ動いてはいますが、基本的にはイスラエル寄りです。国連安保理ではパレスチナの国連加盟について拒否権を行使しました。ラファへの侵攻をイスラエルに思いとどまらせるため軍事支援の停止をちらつかせましたが、結局は続けています。メディアや専門家の分析によれば、ユダヤ資本からの献金中止の圧力に屈したようです。

 今回の件も、ネタニヤフが悪いことは米国も承知しているはずなのに、ICCを非難し、圧力をかけようとしています。

 

ダブルスタンダードでは世界のリーダー失格

 以前、ICCがプーチン大統領やロシア軍幹部の逮捕状を出した時には、米国はもろ手を挙げて賛同していました。今回、ネタニヤフのガザ地区における一般市民の殺戮行為は、訴追に値するものであることは明白です。
 ここで米国がICCに敵対する行為を取ったりすると、世界からダブルスタンダードと非難され、さらに孤立します。イスラエル国内でさえ非難する人の多いネタニヤフをこれ以上擁護することは、ロシアや中国を喜ばせ、米国にとっても危険なことです。

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