公務員時代は8時半始業だったのでNHKの朝ドラは見ていなかったのですが、9時始業の民間に移ってから、平日は毎朝楽しんでいます。しかも、今はBSで7時半から先行放送もありますから、余裕です。今放送中の「虎に翼」は、日本で最初の女性弁護士、女性判事になった人の物語で、法律の復習になります。
今週(6月24日~)のNHK朝ドラ「虎に翼」も民法第730条が焦点になりました。この条文が取り上げられるのは、これで2回目です。
(親族間の扶け合い)
第七百三十条 直系血族及び同居の親族は、互いに扶け合わなければならない。
最初は、新民法を編纂する過程で、審議会の委員である守旧派の東大教授が強引にねじ込んでしまった条文という形でクローズアップされました。ヒロインの上司で新民法制定の実務責任者だった登場人物が、「そんな当たり前のことを、わざわざ法律で規定することを国民はどう感じるのか」と残念がっていました。
今回も、この条文が女性を家に縛り付けているという面に焦点が当たりましたが、結局、友人の梅子は、籍を抜き、家を出て同居を解消することにより、この条文を逆手に取る形で自由になります。
民法には、これと似た、もう少し具体的な条文があります。
(扶養義務者)
第八百七十七条 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
2 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
3 前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。
第730条のほうは理念的な条文で、あまり問題になる場面はないのですが、第877条のほうは実際に弊害があり、問題になっています。生活保護を受けようとして申請すると、親や子だけでなく兄弟姉妹にまで福祉事務所から扶養義務を果たすことができないか照会が行くとのことです。それが嫌で、生活が苦しくても生活保護を申請しない人がたくさんおられるようです。その生活保護の手続きは、この条文を根拠としています。
私も、もしそのような状況になれば、兄弟にまで調査が及ぶことは絶対に嫌です。兄弟の資産は、兄弟だけのものではなく、兄弟の配偶者や家族の生活を支えるものです。今の社会で、兄弟に扶養義務を負わせることは、よほど裕福な人でなければ困難でしょう。こんな条文があるために、むしろ兄弟間で助け合いを躊躇してしまう場合もあるようです。
時代に合わない法律を改正せよという意見が多いのですが、ここでも守旧派が足を引っ張っているようです。困ったものです。NHKは、この問題にも踏み込んでくれれば・・・。
にほんブログ村 ご覧いただきありがとうございます。
サイト案内(目次)へ