地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

2024年06月

 公務員時代は8時半始業だったのでNHKの朝ドラは見ていなかったのですが、9時始業の民間に移ってから、平日は毎朝楽しんでいます。しかも、今はBSで7時半から先行放送もありますから、余裕です。今放送中の「虎に翼」は、日本で最初の女性弁護士、女性判事になった人の物語で、法律の復習になります。

 今週(6月24日~)のNHK朝ドラ「虎に翼」も民法第730条が焦点になりました。この条文が取り上げられるのは、これで2回目です。

 (親族間の扶け合い)

第七百三十条 直系血族及び同居の親族は、互いに扶け合わなければならない。

 最初は、新民法を編纂する過程で、審議会の委員である守旧派の東大教授が強引にねじ込んでしまった条文という形でクローズアップされました。ヒロインの上司で新民法制定の実務責任者だった登場人物が、「そんな当たり前のことを、わざわざ法律で規定することを国民はどう感じるのか」と残念がっていました。

 今回も、この条文が女性を家に縛り付けているという面に焦点が当たりましたが、結局、友人の梅子は、籍を抜き、家を出て同居を解消することにより、この条文を逆手に取る形で自由になります。

 

 民法には、これと似た、もう少し具体的な条文があります。

 (扶養義務者)

第八百七十七条 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。

2 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。

3 前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。

 730条のほうは理念的な条文で、あまり問題になる場面はないのですが、第877条のほうは実際に弊害があり、問題になっています。生活保護を受けようとして申請すると、親や子だけでなく兄弟姉妹にまで福祉事務所から扶養義務を果たすことができないか照会が行くとのことです。それが嫌で、生活が苦しくても生活保護を申請しない人がたくさんおられるようです。その生活保護の手続きは、この条文を根拠としています。

 私も、もしそのような状況になれば、兄弟にまで調査が及ぶことは絶対に嫌です。兄弟の資産は、兄弟だけのものではなく、兄弟の配偶者や家族の生活を支えるものです。今の社会で、兄弟に扶養義務を負わせることは、よほど裕福な人でなければ困難でしょう。こんな条文があるために、むしろ兄弟間で助け合いを躊躇してしまう場合もあるようです。
 時代に合わない法律を改正せよという意見が多いのですが、ここでも守旧派が足を引っ張っているようです。困ったものです。NHKは、この問題にも踏み込んでくれれば・・・。

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 鹿児島県警では現職の警察官や元幹部が逮捕される不祥事が、今年に入って4件相次いでいました。そのうち、元生活安全部長が内部文書をライターに郵送し、職務上知り得た秘密を漏らしたとして、守秘義務違反の罪で逮捕・起訴された事件については、元部長が「野川明輝本部長が警察官による盗撮事件を隠蔽しようとした」と主張しています。一連の経緯から、私は内部通報として保護されるべきだと思います。

県警本部長に問題があることは明白

 元部長の指摘に対し、県警本部長は6月21日に開いた記者会見で、隠蔽の指示を改めて否定しました。しかし、本部長の指示の結果として、盗撮事件の捜査がストップしていたことが明らかになっています。このことについて、県警では、警察署に誤って伝わったとか警察署長が誤解した等と説明していますが、本当にそうなのかどうか?

 鹿児島県警では捜査書類の速やかな廃棄を促す内部文書を202310月に作成していたことも明らかになっています。再審や国賠(国家賠償)請求等において、廃棄せず保管していた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありませんと記載されているとのこと・・・。真実を明らかにするより組織防衛を重視するとんでもない文書です。

 他にも、警察官や警察関係者の犯罪を隠蔽しようとした疑いを何件か指摘されており、本当は本部長が隠ぺいを指示したのではないかという疑いを拭いきれません。

警察庁もおかしい

 警察庁は6月24日に首席監察官ら3人を県警に派遣して、特別監察を開始しました。県警本部長らの聴取等、あらためて事実確認をするそうです。遅きに失しましたが、当然でしょう。

 不可解なのは、これに先立ち、警察庁が、本部長がきめ細かな確認や指示をせず捜査の基本に欠けていたなどとして、長官名で訓戒にしたことです。特別監察をするなら、その結果を見てから処分を決めるべきでしょう。一事不再理の原則は、明文では刑事事件について規定されているだけですが、性質上、就業上の懲戒処分などにも適用されるという考えが有力なようです。

 特別監察の結果が出ないうちに処分をしてしまったら、もっと厳しい処分が必要なような監察結果が出てきたら困るでしょう。

 既に結果が予定されている「特別監察」ではないかと疑ってしまいます。そもそも野川本部長は、鹿児島県警の生え抜きではなく、警察庁のキャリア警察官僚です。「特別監察」と言っても、身内による内部調査に過ぎません。

 また、鹿児島県警の内部には、本部長のほかにも警察庁から出向している幹部もいるかもしれません。鹿児島県警の動きも、警察庁の意向に沿ったものにならざるを得ないでしょう。
 生活安全部長の事件に関する今後の刑事裁判の中で、隠蔽の指示があったのかどうか、事実が明らかになることに期待してます。

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 国会は6月21日に閉会しましたが、19日、3年ぶりとされる党首討論がありました。その中で、政治資金規正法の改正がむしろ改悪と指摘されるザル法になったことについて立憲民主党が「自民党が抵抗勢力だ」と批判したのに対し、岸田氏は「禁止、禁止、禁止というのは大変気持ちがいいかもしれない。しかし政治資金は民主主義を支える大変重要な要素だ。現実的に考える責任ある姿勢が必要だ」と開き直ったうえ、立憲民主党の幹部も政治資金パーティーを開催していたことや立憲民主党が労働組合等から献金を受けていることをあげつらって逆襲したことが報じられています。

 お断りしておきますが、私は立憲民主党の支持者などでは断じてありません。管理職になる前、自治労の組合員だった時、組合費が直接・間接に社会党などに流れることを苦々しく思っていました。その後遺症で、立憲民主党も好きではありません。

 しかし、今回、岸田首相の言ったことは非論理的で、逆切れというべきものでしょう。立憲民主党が企業献金だけ廃止して団体献金は温存しようとしているのなら岸田首相の主張も理解できます。しかし、たしかに現在は労働組合等から献金を受けているでしょうが、それを断念する覚悟で企業団体献金の禁止を主張しているのです。政治資金パーティーも断念して、それら抜きで政策活動をしようと主張しているのです。自民党からの批判は、笑止です。逆上して、抜け穴だらけのままにしておきたいという本音をつい吐いてしまったのでしょう。

 企業団体献金を廃止する代わりとして公費による政党交付金制度を創設しておきながら、企業団体献金や政治資金パーティーを温存しようとしている悪辣な連中とは、全然違うでしょう。岸田氏の発言は、国民に対する詐欺の開き直りです。

 「政治資金規正法の「形だけ改正案」」 参照願います。

 

 旧安倍派幹部が国会の政倫審で説明した内容と、元事務局長が法廷で証言した内容との食い違いも明らかになっています。岸田氏が森元総理にした電話も、岸田氏が言うような事情聴取ではなく、ご機嫌伺いと口裏合わせの依頼に過ぎなかったことも、森元総理の口から明らかになっています。一連の国会審議が、嘘まみれだったということです。

 これで一区切りとせず、政治資金規正法の再改正に向けて始動するよう、野党やメディアに期待しています。

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 アンデシュ・ハンセン(精神科医)が脳科学からメンタルの問題を解説して世界的ベストセラーになった「ストレス脳」を、児童文学作家のマッツ・ヴェンブラードが中高生にも分かりやすくまとめ、共著として出版されたものです。

 メンタルや脳に関する知識は若い人にとって非常に重要なため、スウェーデンでは、本書と「最強脳」「脱スマホ脳かんたんマニュアル」(いずれもアンデシュ・ハンセン著)の三冊は、学校が申し込めばクラス全員が無料でもらえるようになっているとのことです。うらやましいことです。日本も青少年のメンタルは非常に心配すべき状況であり、見習うべきだと思います。

 「はじめに」として、「人はいつも幸せでいられるか?」という問いかけがあり、その後、9つの章で「なぜ感情があるのか」「なぜ不安を感じるのか」「なぜ孤独とSNSがメンタルを下げるのか」などのテーマに分かれます。各章では、それぞれのテーマについて脳の遺伝的な特性から解説され、ではどうすればいいのかという提案がされています。

 幸せな気持ちが長続きしないのは、私たちが生き残るためとのことです。例えば、何か食べ物を得たときにその幸福感がいつまでも続いていれば餓死してしまいます。次の食べ物を探しに行く行動を取らせるには、前の幸福感を消さなければなりません。

 SNSにのめり込むと不幸になるメカニズムも、太古の時代に生き残ることに最適化されている私たちの脳の特性から説明されています。
 新書版で200ページほどの本なので、半日ほどで読めます。特に若い人に役立ちそうですが、私のような高齢者が読んでも自分の感情の動きを理解する助けになりそうです。

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 6月19日、ロシアのプーチンが北朝鮮を訪問し、金正恩の歓迎を受けて「包括的戦略パートナーシップ条約」に署名したことが報じられました。一方が武力侵攻を受けた際は「遅滞なく、保有するあらゆる手段で軍事的およびその他の援助を提供する」と明記されていて、旧ソ連時代に結ばれていた軍事同盟が事実上復活したようです。

 両国とも中国からは格下扱いされ、他の国からは表立って相手にされず、お互いに相手に頼らざるを得ないということでしょう。切羽詰まった窮鼠同士というわけです。これまでも北朝鮮はロシアがウクライナで使用する弾薬等を供給し、ロシアは北朝鮮にミサイル技術を供与していたわけですから、この条約によって何かが変わるとも思えません。

 元大国のロシアと対等になったと北朝鮮が有頂天になっているのに水を注すわけではありませんが、あの国の約束など当てにできないことは承知しているでしょう。

信用できないロシア

 第二次世界大戦末期、日ソ中立条約を突如破棄して、火事場泥棒的に日本軍に攻めかかってきたソ連の後継です。北方領土のうち2島は日本に帰属することを認めていたのを、なかったことにしようとしているロシアです。

 ブダペスト覚書では、旧ソ連の核兵器をウクライナ、ベラルーシ、カザフスタンから撤収する際、それらの国々の主権と国境について、核保有国の米英露が尊重し、脅威となることや武力行使を控えることなどを定めたはずでした。それが、ロシア自らウクライナを武力侵略しています。

 ロシアという国が、いかに約束を守らない、信用できない国であるか、国際社会はよく知っています。おそらく北朝鮮も、本気であてにはしていないでしょうが・・・。

 北朝鮮も、核開発を止めることを条件に再三経済援助を引き出しながら、核開発を続けてきました。嘘つきであることは、どっちもどっちです。
 岸田首相や安倍元首相も、日本人の中では嘘つきで名をはせていますが、両国と比べればかわいいものなのかもしれません。

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