地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

2024年09月

 9月27日、石破氏が決選投票での大逆転で、自民党の総裁に選出されました。おそらく、これが自民党にとってのベストな選択でしょう。安倍政権下で冷遇され続けていた石破氏が総裁に就任することにより、疑似政権交代のような雰囲気もあります。

 国民は、森友、加計学園、桜を見る会、旧統一教会との深い仲、とどめは裏金問題と、安倍派を中心とする不祥事に呆れ果てていました。経済面でもアベノミクスの失敗が明確になってきたこともあって、国民は安倍政治を引きずる自民党にうんざりしています。そんな世論を意識した自民党内の危機感が、石破新総裁を生んだのでしょう。

 今の状況で、推薦人に裏金議員を並べ、安倍政治の継承を主張する高市氏が総裁になったりすれば、中道的な国民は自民党に愛想を尽かしたでしょう。

野党は戦いにくくなった

 立憲民主党などの野党からすれば、高市氏が総裁になっていたら攻め口がたくさんあって、戦いやすかったでしょう。地方党員の人気も高く、不祥事続きだった安倍政権と距離を置いていた石破氏が総裁になったことで、野党は戦いにくくなったと思います。自民党員でも党友でもない私ですが、今回の候補者の中では、石破氏が最も良かったと思います。

新総裁はすぐに決断を迫られる

 新たな事実が判明した旧統一教会の問題、ほとんど事実関係が明らかになっていない裏金問題で、新総裁が国民の納得するような対応を取れるかどうかが、すぐに問われるでしょう。
 ここで裏金や統一教会についての再調査に後ろ向きな様子を見せてしまえば、来るべき総選挙で自民党の惨敗は確定的です。野党に言われる前に、国民が納得するよう様々な不祥事の解明と、関わった人の処罰をやっておくべきだと思います。

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 9月26日(木)、兵庫県知事が会見し、議会解散を選ばずに失職を選ぶことを表明しました。出直し選挙に出馬するとすれば、それ以外の選択などあり得ないでしょう。出直し選挙に出馬するかどうかで迷っていたのでしょうか?

 会見の中で、知事が言った言葉から、この人はあまり反省していないなという気がしました。パワハラについては不適切な行為であったと認めながら、議会が不信任案を決議したことについては、「『職を辞すべき事なのか』というものが根底にある」「私はそこは少しやっぱり、『本当にそこまでいかなきゃいけなかったのか』という思いは正直あります」等と不満を露にしています。

 複数の職員が知事の不適切な言動から自殺してしまったこと、県職員との信頼関係が完全に失われていることを考えれば、議会が全会一致で不信任を突き付けることは当然です。知事の言葉は、自身の責任を矮小化しています。

 自殺された職員のことに関する質問に対しては、「悲しい」とか「残念」とか言うだけで、自身の責任への言及や反省の弁はなかったようです。

選挙資金は

 出直し選挙に出馬しても、政党の支援があるはずがなく、資金はすべて自前で用意しなければならないでしょう。自民党や維新の会が支援した前回の選挙でさえ、斎藤氏が祖父の邸宅を勝手に売却して選挙資金に充ててしまったために相続争いが生じているという報道もあります。

 次の選挙は、どこから資金が出てくるのか、他人事ながら心配になります。また、亡くなった職員の遺族に対する賠償を支払わなければならないことになった場合、どうするのでしょうか?毒を食らわば皿までという自暴自棄の心境なのでしょうか?
 「兵庫県知事の鋼のメンタル」 参照願います。

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 著者は若いころは外科医、その後在外公館の医官をへて、高齢者施設での経験も豊富な医師です。また、主に医療や老化を描いた小説家としても著名です。私も、がん治療を描いた「虚栄」認知症を描いた「老乱」など、何冊か楽しませていただきました。

 本書は、著者が高齢者施設での勤務などを通じて出会った多くの高齢者の観察に基づき、老い方を論じた書です。著者は、病気や障害の重症度とその老人の苦悩の深さは一致しないことに気づきました。症状が軽くてももっと改善しないことを苦にする人もいれば、重度の障害で車いすを余儀なくされていても、「年を取ればこんなもの」と達観して気楽に暮らしている人もいます。どちらが幸せな生き方、老い方か・・・。

 著者が高齢者医療に従事するようになったころ、多くの老人が、腰が痛い、膝が痛い、さっさと歩けない、細かい字が見えないなどを嘆き、相談してきたそうです。当人は想定外の不幸に見舞われたような嘆きぶりでも、客観的に見れば、老いれば当然のことです。つまり、多くの老人は、老いることの心の準備ができていなかったために、当たり前のことに苦悩しているということです。

 高齢になれば体のあちこちに不具合が生ずることは当然のこととして、笑って受け入れる身の丈を知って達観して暮らすのが、上手で楽な老い方であるというのが、本書の主張です。

 それに付随して、医療への過信を戒めています。認知症治療薬などには懐疑的で、現時点ではあまりあてにしてはならないようです。また、リハビリも同様、がんばってもダメなものなダメなので、あまり期待しすぎるとダメだった時の落胆が大きいので、あまり期待値を上げない方がいいようです。

 著者も著者の奥様も、がん検診を受けたことがないそうです。がん検診を受けない医師は多いとのこと・・・。検診には、放射線被ばくが伴い、日本人のがん患者の30人に一人は検査による被ばくが原因と言われているそうです。

 導入した高額機器の元を取るための検査、使用期限が迫った薬を廃棄しないための処方も行われているなど、医療界の裏話も満載で、勉強になりました。

 私も、要介護になるのを少しでも先延ばししたくて、節制したり運動したりしていますが、いつかは要介護になって死ぬことを意識し、心の準備は忘れないようにしたいと思います。

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 高齢化の進展に伴って、定年の年齢引き上げ、継続雇用の義務付けなど、高齢者を働かせ続けるための制度改革が続いています。しかし、日本は、世界一高齢化が進んでいて、労働力不足が深刻化しているにもかかわらず、高齢者の就業を継続させる施策が諸外国と比較して中途半端だと感じます。

年齢差別の容認

 最大の問題は、年齢差別の容認です。性別によって雇用条件に差を設けることは、男女雇用機会均等法によって違法とされていますが、年齢による差別は最高裁もある程度は容認してしまっています。
 「高齢者の再雇用給与についての最高裁判決」 参照願います。

 諸外国では、年齢によって雇用条件に差をつけることが違法とされる国が多く、「定年制」なども違法とされます。再雇用後に同じ仕事に従事していながら給与だけ3分の2ほどに減額されるなどということは起こり得ません。

 定年前に、一定の年齢に達すると一律に役職定年になって給与が激減したり、定期昇給をなしにしたりすることも、年齢による差別でしょう。

 こんなことをしながら、高齢者に「体が動く限り働け!」と言っても無理です。働き続けるのは、経済的に不安な人、働くことが好きな人、収入が落ちない専門職や自営業の人などです。

年功賃金の見直しは必要

 定年制などの年齢差別を廃止しようとすれば、年齢や勤続年数によって賃金が上がる年功型賃金制度も見直さなければなりません。日本は、その大改革が面倒だから定年制などの年齢差別を温存してしまったのでしょう。これも政治の怠慢かもしれません。

私の場合

 現在68歳の私は、65歳の時に管理的な立場のフルタイムで働かせていただいていた組織を離れ、今の会社にパートタイマーとして入社しました。今の会社は、定年が60歳で、65歳まで契約社員として継続雇用が保証されています。それ以降も会社と本人の意向が一致すれば雇用されます。しかし、60歳までの正社員、65歳までの契約社員、65歳以降の契約社員では給与に著しい差があり、68歳パートタイマーの私はかなりの薄給です。

 私の場合は、責任のある立場に疲れたこと、フルタイムは疲れること、事務的な仕事が好きなこと、子供も自立して高い給与を求める必要がないことから、今の仕事が気に入っています。経験も生かせ、やりがいも感じています。したがって、定年制を含む今の制度に特に強い不満はありません。
 高齢者の就業のニーズは多様であり、どんな制度にすべきか、慎重に検討しなければなりません。

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 9月19日(金)、兵庫県議会で斎藤知事に対する不信任決議案が全会一致で議決されました。議長は、自治法の規定どおり「直ちに」知事に通知したでしょうから、その日から10日以内に議会を解散しなければ、知事は失職することになります。

 早期辞職を求める世論が高まっていますが、知事は「大変重い判断になりますから、これからしっかり考えていく。」と述べており、早期に辞職する考えはないようです。議会解散の可能性も否定できません。

「重い判断」か?

 この判断、知事が言うような「重い判断」なのか疑問です。どう判断しても、知事にとっての結果は変わるはずがありません。仮に議会を解散しても、新たに構成された議会で再び不信任議決がされることは、疑いようがありません。議会を解散しても、知事の座を失うのが数か月先延ばしになるだけです。多額の県費が無駄になり、県民の知事に対する怒りもより大きくなるでしょう。

 失職を待つか、その前に辞職を選ぶかについては、再出馬する気があるのなら失職を選ぶべきでしょう。辞職による出直し選挙になれば、仮に斎藤氏が当選しても、任期は今の任期の残りの期間になってしまうので、あまりメリットはありません。

 また、出直し選挙で斎藤氏が当選することはありえないことは、本人も分かっているでしょう。

 結局、今、彼が迫られているのは、たいして重い判断ではなく、単に駄々っ子のように意固地になっているだけに見えます。
 県民のためにも自身の将来のためにも、早くサクッと決断したほうがいいでしょう。

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