地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

2025年02月

 著者は、30年以上も裁判官をされていた元裁判官で、最高裁の事務総局に在席されたこともある、いわばエリート裁判官でした。裁判官在職中から専門書、一般向けの書物の執筆活動もされていましたが、明治大学教授に転身されています。裁判官のムラ社会の軋轢を感じておられたようです。

 私は、著者の別の著書を読んでいて、それぞれ感銘を受けています。

 「絶望の裁判所」(瀬木比呂志)を読んで

 「黒い巨塔 最高裁判所」(瀬木比呂志)を読んで 参照願います。

本書の概要

 日本の法は、歴史的に、大きな社会変革のつど外国から移入された法で、しかも基盤も思想も違う法が幾重にも折り重なって形成されています。明治の制定法は、不平等条約の撤廃を第一の目的としてそれまでの法を無理矢理押し込める形で西洋から導入したため、人々の法意識とはかけ離れたものになってしまいました。

 その後、社会が戦争に向かう中で未だ萌芽の段階だった民主主義が封じ込められ、敗戦後は憲法を始め米国法が導入されるなど、制定法は基本的に統治と支配のためのものでした。導入が急すぎたこともあり、人々の意識とは大きなズレが続きました。

 そのズレのために、法は「よそいきの言葉や衣服のようなもの」「建前」といった認識で、人々の意識はムラ社会のままです。それは、裁判官や政治家の世界でも同様で、法を無視して村社会の「掟」に従っていることも多いため、様々な弊害が生じています。

 本書では、以上の主張を裏付けるものとして、離婚や同性婚などの家族制度の分野、冤罪を生み続ける人質司法などの司法制度の分野、憲法すら無視する近年の自民党政権のふるまいなど政治の分野ほかで、分析が行われています。

心から共感

 本書について、私は全体的に待ったく共感しています。特に政治家の法意識、遵法意識のなさに関する指摘は、すばらしいと感じます。「第二期安倍政権は、確信犯的にそれ(法治主義の原則)を有名無実化しようとし、また「法」や「手続」そのものを軽視する傾向が格段に強かった。」という分析は、その通りです。私もこのブログで、安倍氏の在任中から、その無法ぶりを非難してきたので、この指摘は心から嬉しく感じています。不愉快に感じる人もおられるでしょうが、彼が法律違反を繰り返してきたことは事実で、論理的に反論できる人はいないでしょう。
 本書を手に取る人がたくさん存在するという事実は、日本も捨てたものではないという気持ちを私に起こさせてくれます。まだ、読んでいない彼の著作がたくさんあるようなので、これから読むのが楽しみです。

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 米国トランプ政権が、やはりウクライナのはしごを外そうとしています。酷い話です。

そもそもは米国が煽ったのに・・・

 このブログでも再三主張しているように、ウクライナがNATO加盟を目指したのは、米国、共和党のブッシュ政権がけしかけた、控えめに見ても煽った影響が大きいのです。自分たちがロシアを挑発しておきながら、この期に及んでウクライナのはしごを外そうとするなど、道義に外れています。日本も、米国など当てにしているとひどい目に遭いかねないので、距離をおかなければなりません。

 「米国共和党の裏切り」 参照願います。

 米国民は、こういう経緯を承知したうえでトランプ政権を支持しているのでしょうか?そうであれば、日本人の感性からすれば、軽蔑に値するでしょう。

 さらに、支援の見返りにウクライナに対してレアアースの権益を要求するなど、人格の卑しさが露骨に表れています。日本人なら、自国の政府がそんな卑しい真似をすれば、恥辱に耐えられず、政権を引きずり下ろすでしょう。トランプやその周辺には、そういうことが卑しいことだと感じる感性がないのかもしれません。これまで、ウクライナ国民は米国に感謝していたかもしれませんが、この卑しい要求ですべてが帳消しです。ガザ地区を米国の「所有」にするという発言も同質の卑しさです。

 おそらく、米国内の良識ある人たちも私と同じように考えていると思います。米国内の分断は修復できない水準に達しそうな気がします。日本は、米国やイスラエルの仲間だと思われると世界から孤立してしまいます。
 米中ロ、圧倒的な軍事力を持つこの3国が「ならず者国家」であることは、世界にとって不幸なことです。

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 ありもしない「103万円の壁」「103万円の壁より第三号被保険者制度の廃止を」 参照願います。)を巡って行われている自民・公明両党と国民民主党の三党による税制協議の中で、自民党が2月18日、年収200万円以下、年収200~500万円、年収500万円以上と3段階の所得制限を設けて基礎控除部分を上乗せする案を示したと報じられました。

 案の定、国民民主党からは拒否され、身内である自民党の高市議員などからも批判の声が出ています。この案が潰れたようで、ホッとしています。

 税制は、できる限りシンプルであるべきです。「基礎控除」は全ての人が同額であるべきで、所得に応じて差を設けるのは、筋が通りらないばかりか、税制を無駄に複雑化します。愚の骨頂です。自民党の誰がこんなアホな案を思いついてのでしょう。

 昨年の定額減税にも言えることですが、自民党は、もっと実務担当者の立場に立って施策を考えていただきたいものです。所得に応じて基礎控除の額を変えるなど、企業等の給与事務、特に年末調整の事務がかなり面倒になりそうです。年末調整の様式も複雑なものに変えなければならず、企業等の給与対等者だけでなく、国税庁の実務担当者も大変でしょう。

 昨年の定額減税の際も、企業等の給与担当者、国税庁等の税務職員らが、大変な苦労をさせられました。私もその一人です。
 実務を担ったことがないような人間ばかりが自民党の議員になっているのでしょうか?思い付きで施策を立案するだけでなく、実務担当者の声を聴いてから制度化していただきたいものです。

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 議会から不信任決議を受けて議会を解散した岸和田市長でしたが、改選された議会で2月17日、再度の不信任決議が参加議員全員の賛成で可決され、失職しました。そもそもの原因は、不倫問題でした。

 福岡県田川市長も、出張先のホテルで部下の女性職員と不倫を行い、議会から辞任を迫られています。

 芸能界でも、タレントだった中居正広氏が、性加害事件が明るみに出て、引退に追い込まれました。こんな例は、社会に溢れています。

 いずれも、煩悩に負けて、築き上げてきたものを失うことになっています。性衝動はほとんどの人が持っているものだと思いますが、ほとんどの人は自制し、踏みとどまります。一部の人は踏みとどまらず、その中でさらに一部の人が手痛い罰を受けることになります。

 私も46年間のサラリーマン生活の中で、噂も含めていくつもの不倫を見聞きしています。そのうちの一人の同僚は、県を早期退職せざるを得なくなりました。また、県に研修で派遣されて私と机を並べていた某村の職員は、1年間の研修が終わって村に帰った後、不倫が原因で離婚し、35歳くらいで役場職員を辞職させられました。元妻とは、村長の紹介で結婚していました。
 私は、あまりもてなかったおかげで、今のところ家庭を保っており、子供たちとの関係も良好です。人生は、何が幸いするか分かりません。

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 2024年の3月ころから続いている兵庫県政の混乱を遠くから眺めていて、維新の会の迷走ぶりに呆れています。兵庫県議会の維新の会所属の議員ばかりではありません。日本維新の会共同代表の吉村大阪府知事の言動も理解しがたいものがあります。

 9月19日には斎藤知事に対する不信任決議が、全会一致で行われました。当然、維新の会所属の県議らも不信任に賛成したわけです。多くの県職員がパワハラを見聞きしていたこと、公益通報に対して違法な初動を行ったことが既に明らかになっていたので、その対応は誤りではなかったでしょう。

 しかし、出直し知事選挙では、なぜか実質的に斎藤氏を支持した維新系議員がかなりいたようです。しかも、ここにきて、N党の立花党首に誹謗中傷のネタを提供したのは、立花氏の証言によると、維新の県議とのことです。実際に渡したのが誰だったかは両者の言い分が食い違っていましたが、実質的には立花氏の証言をほぼ認めているようです。そもそも立花氏と何を話し合っていたのでしょうか?

 斎藤知事が再選された直後から、共同代表の吉村大阪府知事が、県議会に「責任をとって自ら解散することは選択肢の一つ」等と手のひらを返して斎藤知事にすり寄りました。まるで選挙に勝ちさえすれば、パワハラや公益通報に対する違法な対応も全てなかったことになると言わんばかりでした。

 最近の報道では、パワハラ問題などを調査している兵庫県議会百条委員会では、通報者を特定した斎藤知事らの初動は公益通報者保護法に違反しているとし通報者に対する不利益処分の撤回を提言する報告書を取りまとめているとのことです。さらには、報告書では、斎藤知事が「真実相当性がない」と主張してきた告発文書の内容についても、パワハラ疑惑は「おおむね事実」と評価しているとのことです。その取りまとめに対して、維新の県議の反発も予想されていますが、彼らは自らの火の粉を振り払うのに精いっぱいで、抗戦しきれないでしょう。
 この維新の動き、節操なく世論の波、勝ち馬に乗ろうとしていて右往左往しているように見えます。外から見ていて、見苦しく感じています。

 ただ、SNSで垂れ流される虚偽に踊らされ、陰謀論を信じて投票してしまう有権書は、今後も無くならないでしょう。民主主義を守るため、何か手立てが必要です。

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