地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

2025年05月

 5月3日に沖縄・那覇市で行われた憲法関係のシンポジウムでの自民党の西田昌司参院議員の発言、身内の自民党県連も批判せざるを得ない酷いものでした。

 彼は、沖縄戦で犠牲になった学徒隊の生徒らを慰霊する「ひめゆりの塔」の展示の説明内容を「ひどい」「歴史の書き換え」などと批判しました。翌日、マスコミの取材で、展示や説明のどこが歴史の書き換えなのか質問された際、具体的に答えることができず、「何十年か前に見に行った。一つひとつを見ていくと、私にとってはそういう印象だった。」などと述べたとのことです。

 当初は発言の撤回や謝罪を拒否していたものの、抗しきれず、結局、謝罪、撤回に追い込まれましたが、心からの謝罪ではないでしょう。

歴史を書き換えようとしているのは誰だ!

 彼の発言を聴くと、歴史を書き換えようとしているのは彼の方だと感じます。

 「流されてる情報が、何が正しいのかどうかということをですね、自分たちで取捨選択してそして、自分たちが納得できる歴史を作らないといけないと思いますよ。それをやらないと、日本は独立できないんです。」

 自分たちが納得できる歴史を作ることは、すなわち歴史の書き換えであり、改ざんです。こんな恥ずかしいことを公言する人が国会議員とは!

 彼は、3月に参院議員総会で、「今の体制のままでは参院選を全く戦えない」として、公然と石破首相の退陣を要求したことが報じられています。戦えないのは、彼が旧安倍派だからでしょう。今回の騒動で、ますます戦えなくなったとしても自業自得です。

 彼は、数年前に自死された西部邁氏と交流があったようです。私は、西部氏のことは一定の評価をしています。彼の愚行は、西部氏の顔に泥を塗ったと感じています。

 「保守の遺言」(西部邁)を読んで  参照願います。

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 政府が5月16日に閣議決定した年金制度改革関連法案には、いわゆる106万円の壁」対策等、厚生年金に加入するパート労働者の範囲拡大策などが盛り込まれました。厚生年金加入者の範囲を拡大すること自体には賛成ですが、その手段が「改悪」というべきものです。

厚生年金の加入拡大

 給付が手厚い厚生年金に入るパート労働者の加入要件は次のように緩和されます。

 現行で従業員51人以上となっている事業所規模要件を段階的に引き下げ203510月に撤廃します。また、保険料負担が生じる年収106万円以上という賃金要件をなくし、「労働時間週20時間以上」という要件だけ残します。これらの見直しで約180万人が新たに厚生年金の対象になる見通しとのことです。

 しかしこの制度変更、106万円の壁」の代わりに「週20時間の壁」を作るものです。むしろ、勤務時間を減らそうとする人も出るでしょう。また、賃金単価の高い労働者だけ有利になります。

保険料肩代わり

 厚生年金保険料の負担によるパート労働者らの手取り減少を緩和するため、本来は事業主と労働者が50%ずつ負担すべき保険料を、事業主側の負担を増やす特例制度を導入します。そして、事業主側が保険料を多く肩代わりした分は全額国が肩代わりするようです。

 これは不公平な制度で、大反対です。将来の年金受給のために個人が負担すべき掛け金について、一部の人だけ国が補助するなど、あり得ません。共働き世帯や単身世帯の労働者は、怒るべきです。

抜本的な解決を邪魔する保守派

 そもそも「壁」は、社会保険の「第三号被保険者」制度が元凶です。この制度のせいで、自身が働いて保険料を負担しなくても、配偶者が加入していれば健康保険の対象になることができてしまいます。彼らの分の保険料は、配偶者だけが負担するわけではなく、加入者全体で負担するという、主に専業主婦を優遇する制度です。

 この制度については、経済団体だけでなく労働団体の連合も廃止を求めているにもかかわらず、主に自民党の「保守派」と呼ばれている人たちの反対で温存されてしまっています。夫が外で働き、妻は家を守るという家族形態がよほどお好きなようです。
 もうそんな時代ではないのですが・・・。
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 ネットニュースによると、新潟市の名所として知られている国の重要文化財・萬代橋に落書きした男2人に対し、新潟国道事務所が落書きを消す作業に要した費用400万円全額を損害賠償請求することにしたとのことです。こういうアホな迷惑行為に対して、厳しい対処は大賛成です。アホの後始末を税金でするわけにはいきません。

 彼らが請求されるのは、この400万円だけではありません。この二人(神奈川県相模原市の無職の男(19)とその知人の専門学校生の男(19))は、そもそも3月23日深夜、新潟市の繁華街にある民間ビルの1階の外壁と窓に赤色と黄色の塗料で落書きをした疑いで逮捕されています。萬代橋への落書きは、その余罪として発覚したものです。

 今回新潟国道事務所が請求することを決めた400万円は、この2人がやったと特定できた2箇所分とのことです。萬代橋にももう2箇所ほど落書きが見つかっており、さらに同じ時期に新潟市内の別の場所(別の橋など)でも同じ特色の落書きが見つかっています。こいつらがやったと特定できれば、請求額がもっと増えることになります。

 民間ビルの被害も、当然請求されるでしょう。

 ネットを探してみましたが、逮捕された刑事事件の続報は見つかりません。一人は容疑を認めているということであり、執行猶予が付くかもしれませんが、有罪は免れないでしょう。社会に出るか出ないかのうちに、早々と前科が付いてしまいます。

 神奈川県の若者が、なぜわざわざ遠い新潟まで行き、バカをやって人生のスタートで転ばなければいけないのか・・・。挽回不可能とはいいませんが、このマイナスをリカバリーするのは、至難の業だと思います。ただ、もし彼らが知的障害、境界知能であるとすれば、気の毒な話ですが・・・。

 「ケーキの切れない非行少年たち」(宮口幸治)を読んで

 「寿司店での愚行動画、笑って非難するだけでいいのか」 参照願います。
 こういうニュースはもっと大きく報道されれば、同じような過ちをする若者が減るかもしれません。
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 国会議員の政治団体に寄付した個人献金者の住所表記が、その個人の住所ではなく企業の所在地だったりする例が相次いで発覚し、実態は企業献金だったと疑われている問題、県知事20人の団体でも同様の問題があることが共同通信の調査で判明しました。

 共同通信が5月4日までに各団体の政治資金収支報告書を独自に調べたところ、2021~2023年に受けた個人献金の中に、寄付者が代表や役員を務める企業・団体の所在地などが書かれているケースが計610件(総額3629万1千円分)見つかったとのことです。

 また、長野県知事の資金管理団体が、県内の建設会社の代表ら26人から同じ日に個人献金計33万円を受けていたことが政治資金収支報告書で分かったことも報じられています。寄付の日付は2022年の知事選期間中で、複数の代表が、所属する長野県建設業協会長野支部が寄付を取りまとめたと証言しており、事実上の団体献金だったと解することが自然です。

やはり個人献金も優遇してはならない

 今回の知事らのケースや先般の国会議員らのケースは、住所等の記載が間抜けだったために発覚しました。しかし、アホだからたまたま発覚しましたが、きちんと記載されていたら見破るのは困難です。個人献金を偽装した企業・団体献金は、今後も完全には防ぎきれないでしょう。

 さらに、こんな悪辣なことをして所得税の税額控除まで受けているかもしれません。真面目に納税しているサラリーマンは馬鹿らしくなります。

 かといって、憲法上の問題もあるので、個人献金は禁止できません。せめて、所得税の優遇措置などは廃止すべきでしょう。そもそも、個人の政治献金も、自分に都合のいい政治をやらせるための賄賂のようなものです。

税務署は徹底調査を

 法人の役員に対する給与(報酬)は、損金に算入するためには原則として毎月同額(定期同額給与)でなければなりません。利益操作をさせないためです。ある月に役員に政治献金させるために支払額を増やしたりすれば、定期同額給与に該当しなくなり、損金にできずに課税対象になります。

 おそらく、個人献金を偽装して政治家に献金しようとする企業等は、その辺の帳簿操作は抜かりなくやっていると思いますが、念のため、税務署は今回の関係企業を徹底的に洗ってみていただきたいと思います。間抜けな住所を記載するくらいですから、抜けているかもしれません。
 今回に限らず、政治家に対する個人献金をした経営者等の所属企業に対しては、もれなく税務調査が付いてくるという扱いがいいだろうと思います。
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 先週までのゴールデンウイーク中、「二十歳のつどい」を行った自治体もかなりありました。2022年4月に成人年齢が18歳に引き下げられて3年経ちましたが、「成人式」を18歳で行う自治体はほとんどなく、「二十歳のつどい」などが主流のようです。

 成人式を1月の成人の日ころに行う場合、18歳を対象にできないことは当然です。そのころは大学入試や就職活動で、そんな式典に参加する暇などない人が多いでしょう。しかし、ゴールデンウイークやお盆の前後に行う自治体も、やはり「二十歳」が主流です。日本の社会には、20歳で成人ということが染み付いているようです。

なんで18歳に変えた?

 選挙権を与える年齢を18歳に引き下げたことには賛成しています。15歳くらいでもいいと思います。しかし、民法上の成年の要件を引き下げる必要はなかったと思います。

 今の18歳や20歳と昔の18歳や20歳とを比較すれば、昔の方が社会に出ている人も多く、生活力や社会的経験もあったと思います。わざわざ変える必要などなかったでしょう。

 一方、飲酒していい年齢を20歳に据え置いたことも理解できません。アルコールが健康に悪いことは承知していますが、高校を卒業すれば、酒くらい自己責任で飲ませてもいいでしょう。

 我々の世代はもちろん、その後もしばらくは高校を卒業して社会人になったり、大学に入ったりすれば、当然のように歓迎会などで酒を飲んでいました。大学の教員や先輩、勤め先の上司、誰も目くじらを立てませんでした。最近は厳しくなってしまいましたが・・・。
 そのような実態だったのに、なぜ据え置いたか、理解できかねます。18歳で飲み始めても20歳で飲み始めても、酒で過ちをしでかす奴はいます。やたらに厳しい決まりにしていても、空文化するばかりだと思います。制度は、実態に合わせて整備しなければなりません。
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