2016年に日本語版が発刊され、話題になったので読みたかったのですが、忙しさにかまけ、ようやく読むことができました。ハードカバーで上下2巻、各260頁ほどですが、読みやすく感じました。
「全史」といっても各民族、国の歴史を詳述しているわけではなく、取るに足りない動物であったホモ・サピエンスが、なぜ食物連鎖の頂点に立ち、地球を支配するに至ったかを一般論で解説しています。歴史上の個々の出来事は、その事例という扱いです。
第1部「認知革命」、第2部「農業革命」、第3部「人類の統一」、第4部「科学革命」の4部で構成され、その中に20の章があります。
ホモ・サピエンスだけが、その場にないもの、虚構を語る能力を身につけたました。それが「認知革命」で、それにより多数が協力して敵に立ち向かうことができるようになりました。それがネアンデールタール人、デニソワ人などではなく、ホモ・サピエンスが生き残って地球を支配するに至った理由とされています。
農業が始まって、人が暮らす集団は次第に大きくなり、統合されていきます。その統合のために、宗教や貨幣が大きな役割を果たしました。
「科学革命」は聞き慣れない言葉ですが、西暦1500年ころ起こったとされています。蒸気機関等による産業革命が英国で始まったのは18世紀後半ですから、それより250年ほど前です。そのころまでは、人類は、自分たちがまだ知らないことが膨大にあることを知らなかったようです。そのころから西洋では、科学、医学等の研究や未知の海への探検等が盛んに行われ、それに出資する仕組みもできて、アメリカ大陸、オーストラリア大陸、アジア、アフリカ等の植民地が拡大していきます。産業革命により、それに拍車がかかります。
本書が執筆されたのは2014年ころまでで、そのためもあってか、世界は平和に向かい、グローバル化が進むと一応は推測されています。ただし、著者自身も確信が持てないようで、「私たちは天国と地獄の両方の入り口に立ち、一方の玄関口と他方の控えの間とを落ち着きなく行き来している。」「私たちがどこに行きつくかについて、歴史はまだ心を決めかねており、さまざまな偶然が重なれば、私たちはまだどちらの方向にも突き進んでいきうるのだ。」と述べられています。ロシアのウクライナ侵略、トランプ政権の政策等を経験した今、著者はどう考えておられるでしょう?
人類の未来を考えるうえで、とても参考になりました。
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