地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしていました。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

2026年08月

 平日は毎朝、NHKの朝ドラを楽しんでいます。現在放送中の「風薫る」で吾郎(ヒロインの一人直美の夫)が日清戦争に出征し、死亡の知らせが来ます。8月28日の放送で、たまたま吾郎を看護していた旧友の看護婦から、その最期の様子が伝えられます。

 その死因は、主には脚気でした。清との戦いが終わった後、台湾に転戦して戦闘中に岩場から落ちて足を骨折しましたが、死に至ったのは脚気が原因でした。最期の様子を伝えてくれた旧友の看護婦は、「戦闘で亡くなるより伝染病や脚気で亡くなる人の方が多い」と言っていました。ドラマの中だけではなく、それが史実のようです。

 以前、雑誌で日本の脚気の歴史と明治の脚気論争に関する興味深い記事を読んだことを思い出し、ネットであらためて調べてみました。この論争の一方は文豪森鴎外を中心としたグループです。

 公的な記録でも、日清戦争での陸軍において、戦死者は1千人ほどに対して戦病死者は1万2千人近く、うち脚気による死者は4千人に上っていました。これは、日露戦争ではもっと酷い状況になります。

 一方、海軍では、脚気患者、死者はほとんどいませんでした。その理由は、陸軍では白米を糧食とし、海軍では麦飯を供していたことにあります。当時、脚気の原因について、細菌とする説と食事の問題だとする説で、激しい論争になっていました。イギリスで公衆衛生を学んだ海軍の軍医高木兼寛は、現場の実態から食事の問題だと主張し、兵士に麦飯を供させました。

 陸軍では「脚気は感染症である」という説が主流で、この立場を取ったのが、陸軍軍医総監だった森鴎外(森林太郎。ドイツ留学帰り)でした。東大では当時、ドイツの細菌学を信奉する風潮で、細菌学の教授もこの立場でした。食事の問題だとする高木兼寛らの説に理論的な根拠が乏しかったこともあり、陸軍では白米を供し続けました。

 日露戦争では、203高地の戦い等あれほど戦死者が多かったにも関わらず、まだ脚気による死者の方が上回りました。
 これを鴎外の責任だとする人たちもいます。たしかに彼にも一端の責任はあるでしょうが、主には組織の問題でしょう。

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 終戦の日に高市首相が靖国神社の方角に向かって「遥拝」したというニュースに接した時、「遥拝」という言葉がずいぶん久しぶりな気がしました。あまり日ごろは目にしない言葉で

 同時に、井伏鱒二の「遥拝隊長」という短編小説があったことを思い出しました。私が「遥拝」という言葉を知ったのは、あの作品によってで。高校時代だと思いますが、国語の教科書に井伏鱒二の「山椒魚が載っていて、その流れで「遥拝隊長」も読んだ記憶があります。内容については、朧げにしか憶えていなかったので、読み直すことにしました。押し入れを捜せばあるような気もしますが、面倒なので図書館で借りてきました。

 主人公の岡崎悠一は元陸軍中尉で、戦地で負傷して精神に障害があります。何かのきっかけで妄想のスイッチが入ると、戦地で部下を指揮していると思い込み、村人を叱咤したり遥拝を命じたりして迷惑がられています。この作品で「遥拝」とは、皇居の方角に向かって拝礼することです。先の大戦を描いた他の文学作品や記録にも時々「遥拝」は登場しますが、私の知る限り全て東方、皇居の方角に拝礼することで、靖国神社とかに「遥拝」するなどは、読んだことがありません。

 彼は、精神に障害を負ってから遥拝が好きになったわけではなく、現役軍人のころから事あるごとに自分で遥拝したり部下に遥拝を命じたりしていたため、「遥拝隊長」と陰口を言われ、嫌われていました。彼は戦争の犠牲者でしょうが、この作品の中で、あまり同情的には描かれていないように思います。負傷したのも戦闘の中ではなく、部下に居丈高に振舞っている最中の自業自得のような事故で、しかも巻き添えになった部下が一人亡くなっています。

 神社に向かっての「遥拝」など、あまり例のないことを今後も続けると、高市首相も「遥拝首相」と呼ばれるようになってしまうかも・・・。
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 お笑いタレントの太田光さんが、終戦の日に高市首相が靖国参拝を見送って玉串料を奉納するなどした件について、テレビ番組で発言したことが一部で議論を呼んでいます。あの発言のうち、東京裁判が勝者が敗者を一方的な理屈で裁いたものであることには同意します。

 しかし、「個人的には総理が公式参拝できるのが理想だと思うんですけど・・・」という部分には全く同意できません。彼は、靖国神社が宗教団体であり、そこでの宗教的活動に国の機関である首相等が参加することを憲法が禁じていることについてどう考えているのでしょうか?これは、中韓の反発への配慮とは関係ありません。

 国のために戦って亡くなった人々を国が慰霊することは当然です。それに文句をつける国や人間は無視すべでしょう。しかし、宗教施設への「参拝」は全く別問題です。だから、国による慰霊式は武道館で無宗教の形で行われ、千鳥ヶ淵戦没者墓苑は特定の宗教に属さない形で運営されているのです。

靖国神社への反発

 戦死された方の中には、靖国神社に神として祀られることを信じていた人もいるでしょう。だから、靖国神社が一宗教団体として存在し続けることに反対はしません。しかし、そんな迷信は、当時靖国神社を管轄していた軍部が戦意高揚のためにでっち上げたか利用したものでしょう。

 「神」扱いするというのは一般の感覚からすると大変なことです。しかし、考えてみると、「神」といっても特別な霊力、神通力が得られるわけでもなく、普通の死者と同じです。私なら自分だけ靖国に祀られるより、亡くなった親族らと一緒に眠りたいと思います。靖国に祀られるなど、キリスト教徒や真面目な仏教徒(お寺の子など)には迷惑だったんじゃないかと思い、勝手に祀る靖国神社に反発を覚えます。
 また、靖国神社には、戊辰戦争では「官軍」側の戦死者しか対象にしなかった黒歴史があり、旧「賊藩」出身の戦死者らも祀られたくなかったかもしれません。
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 8月18日、米国トランプ政権が国際刑事裁判所(ICC)の赤根所長を制裁対象に指定しました。日本人が制裁対象となったこともあり、日本政府の対応が注目される中、高市首相は「大変残念に思っている」「米国を含む関係国と意思疎通を継続する」と他人事のように語ったのみでした。

 国連やEU、欧州首脳が、赤根氏への制裁について「法の支配に対する侮辱だ」「容認できない」などと明確な批判声明を出している中での、肝心の日本政府のこの対応に、続々と批判の声が上がっています。私もがっかりです。情けない!

 米国ルビオ国務長官は、今回の制裁についてICCの管轄権に同意していない政府の当局者を訴追する」というICCの取り組みを批判し、「国家主権に対する(ICCの)攻撃を容認しない」と非難しました。これは、ICCに加盟していない国の軍や指導者は国際法を守る必要がないと主張しているわけで、とんでもない言い分です。軍事大国がエゴ丸出しで居直っている感じです。まさに、ならず者国家の言い分で、国際社会における法の支配を否定するものです。
 日本は、日本国民と国際秩序を守る立場に立つのか、米国の下僕の立場に居続けるのか、今が試錬の時です。高市首相は何も感じていないようですが・・・。
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 私は年甲斐もなくファンタジーが好きで、仕事を引退したら上橋さんの作品を読むことを楽しみにしていました。「獣の奏者」に続き、本書は私が二つ目に拝読した作品です。2016年にNHKが綾瀬はるかさんの主演でこの作品を放送しましたが、私は残念ながら視聴できませんでした。

 「獣の奏者」(上橋菜穂子)を読んで 参照願います。

 腕の立つ女用心棒バルサが、川に落ちた新ヨゴ王国の第二皇子を偶然に居合わせて救うところから物語がスタートします。この皇子チャグムは、水を守る精霊(ニュンガ・ロ・イム)の卵を体に産みつけられてしまったため、それが生まれるまで守らなければならない「精霊の守り人」の運命を背負っています。もし卵が卵食いにやられてしまって無事に産むことができないと、現実世界では大干ばつに襲われます。私は女用心棒が「精霊の守り人」かと思っていましたが、皇子のほうでした。また皇子は、ある事情から父王からも命を狙われているので、バルサ達は王からの刺客(狩人)と卵食いの二つの敵からチャグムを守らなければならず、戦います。

 この世界は、現実世界(サグ)と精霊たちが住む世界(ナユグ)が重なり合う二重構造になっています。ニュンガ・ロ・イムもその卵を狙う卵食いもふだんはナユグに存在していますが、時折り現実世界に現れて干渉します。バルサもチャグムもナユグと自由に行き来できないので、苦しい戦いになります。バルサは、ナユグと交信できる魔術師らの助けを借りながら、王に命じられた狩人たちや卵食いからチャグムを守るため戦います。途中で事情が変わり、狩人たちがバルサらの味方になり、協力して卵食いと戦います。なかなか複雑な設定です。
 さすが文化人類学者の上橋さんの作品で、ファンタジーなのにリアリティーを感じます。「守り人シリーズ」など、この著者の作品を今後も読むのが楽しみです。
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