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 一般家庭では、電気料、電話料、NHK受信料などは、銀行口座からの自動引き落としが普通だと思います。しかし、国や地方公共団体は、事情が異なります。支出命令などの手続をせずに公金の口座から「自動的に」引き落とされることは、許されません

 そこで、資金前渡という制度が使われることがあります。

 

資金前渡とは

 資金前渡とは、特定の経費について指定した職員(資金前渡職員)に概算で交付し、その職員から現金で支払をさせ、後日領収書等で精算させることです。昔は、正職員や非常勤職員の給与なども、資金前渡職員の口座にいったん支払われ、給与担当者がその口座から現金をおろして給料袋に詰め、個々の職員に配っていました。

 現在は、電気料、光熱水費、電話料などは、所要額を公金口座から出金して資金前渡職員の口座に入れておき、そこから口座振替で支払うという地方公共団体が多いようです。うまく活用すれば、企業における小口現金のような便利な活用も可能です。

 資金前渡の手法で支払できる経費は、地方自治法施行令で定められています。

 

地方自治法施行令第161条第1(資金前渡)

次に掲げる経費については、当該普通地方公共団体の職員をして現金支払をさせるため、その資金を当該職員に前渡することができる。

1) 外国において支払をする経費

(2) 遠隔の地又は交通不便の地域において支払をする経費

(3) 船舶に属する経費

(4) 給与その他の給付    略

(13) 電気、ガス又は水の供給を受ける契約に基づき支払をする経費

(14) 電気通信役務の提供を受ける契約に基づき支払をする経費

(15) 前二号に掲げる経費のほか、二月以上の期間にわたり、物品を買い入れ若しくは借り入れ、役務の提供を受け、又は不動産を借り入れる契約で、単価又は一月当たりの対価の額が定められているもののうち普通地方公共団体の規則で定めるものに基づき支払をする経費

(16) 犯罪の捜査若しくは犯則の調査又は被収容者若しくは被疑者の護送に要する経費

(17) 前各号に掲げるもののほか、経費の性質上現金支払をさせなければ事務の取扱いに支障を及ぼすような経費で普通地方公共団体の規則で定めるもの

 

NHK受信料の問題点

 御覧の通り、NHK受信料は施行令では対象とされておらず、資金前渡するには、各団体の財務規則などで定める必要があります。しかし、そのような定めをしている団体はあまりありません。

 これは、おそらく、自治法施行令に規定するのを総務省が失念したと思うのですが、悪意に考えると別の可能性もあります。

 NHK受信料は、口座振替であれば料金が多少割引になります。NHKと地方自治法の両方を所管する総務省としては、地方公共団体に対して割引の適用をしたくなかった?

考えすぎだとは思うのですが・・・。

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