東京電力の旧経営陣3人が検察審査会の議決を経て強制的に起訴された裁判で、9月19日、東京地方裁判所が全員に無罪を言い渡しました。予想はしていましたが、私には納得のいかない判決です。
最大の争点は、巨大津波は予測できたのかという点です。国の地震調査研究推進本部の長期評価をもとに、東京電力が震災の3年前にシミュレーションした津波の高さは最大15.7mとのことです。ちゃんと予測できています。
東電の担当部局は、その予測結果を経営陣の「御前会議」に出し、対応しなければならないことを報告したものの、具体的な対応がされなかったようです。この状態で、なぜ判決は巨大津波の予見可能性を否定したのか、訳が分かりません。
経営陣のモラルは?
原発は、万が一にも事故を起こしてはいけないものであることは、旧経営陣もさすがに承知していたはずです。そうであれば、権威ある機関の評価で事故の可能性が判明したら、即座に対応しなければならないことは当然です。あの旧経営陣の判断は、まさに心理学でいう正常性バイアス(自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりしてしまう人の特性のこと)そのものでしょう。人間の心理としては理解できますが、これを許してはいけません。
確度の高い危険情報でなければ対応しなくても刑事責任を問われないような判決では、東電だけでなく、今後の我が国の経営者全体のモラルにも悪影響を及ぼします。
東電の組織は、危険なものを管理できる体制になく、原発を運用する資格がないようです。政府も東電も、原発の再稼働などという馬鹿げたことを考えないでいただきたいものです。
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