地方自治体の首長は、幅広い多くの権限を持っています。

 北海道議会自民党が議会庁舎の会派控室に喫煙室を設置しようとしていることについて、「それを決めるのは知事の権限ではないか?」という疑問を呈しましたが、それについて少し詳しく書こうと思います。批判しているマスコミは多いのですが、決定権が知事にある点に触れている記事が残念ながら見当たりません。

 「北海道議会自民党のおごり 喫煙所設置を強行か」

 

地方自治法

第112条 普通地方公共団体の議会の議員は、議会の議決すべき事件につき、議会に議案を提出することができる。但し、予算については、この限りでない。

2 前項の規定により議案を提出するに当たつては、議員の定数の十二分の一以上の者の賛成がなければならない。

3 第一項の規定による議案の提出は、文書を以てこれをしなければならない。

第149条 普通地方公共団体の長は、概ね左に掲げる事務を担任する。

一 普通地方公共団体の議会の議決を経べき事件につきその議案を提出すること。

二 予算を調製し、及びこれを執行すること。

三 地方税を賦課徴収し、分担金、使用料、加入金又は手数料を徴収し、及び過料を科すること。

四 決算を普通地方公共団体の議会の認定に付すること。

五 会計を監督すること。

六 財産を取得し、管理し、及び処分すること。

七 公の施設を設置し、管理し、及び廃止すること。

八 証書及び公文書類を保管すること。

九 前各号に定めるものを除く外、当該普通地方公共団体の事務を執行すること。

 

財産管理、予算の調製・執行は長の権限

 第149条の第2号、第6号を読めば疑問の余地はありませんが、議会庁舎とはいえ自治体の財産となる建物を建設し、管理するのは、長(知事)の権限です。また、それらに関する予算の調製の権限も議会にないことは第112条で明らかです。執行機関でない議会に予算執行の権限がないことは当然です。

 行政実例でも、次のように念を押しています。

「議事堂の管理権は、普通地方公共団体の長又はその委任により当該普通地方公共団体の吏員にあり、議長にはないと解されるから、議長は建造物不法侵入不退去の罪の容疑者を告訴することはできない。」(昭39.1.8行実)

 

実務的には

 日常的には、議会事務局長などが長の権限を専決する形になっていることが多いでしょう。しかし、それを指揮監督するのは、本来の権限者である長であり、議長ではないでしょう。

 また、会派の控室などの管理には長は口を出さないことが慣例になっているでしょう。しかし、仮にJT(日本たばこ産業)等からの寄付によって整備するにしても、そんな財産取得を認めるかどうか、自治体の財産に改変を認めるかどうか、自治体の財産内に設備を置くことを認めるかどうかは知事の判断です。

 知事は自己の責任によって、判断しなければなりません。悪例を作らないことを期待しています。

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