1122日(金)のネットニュース、23日の朝刊で、看過できない記事がありました。「在職老齢年金」について、高齢者の就業を促すために減額基準を月収47万円から51万円に見直す政府の案について、与野党から異論が出ているとのことです。「年金財政に悪影響を与える」「高所得者優遇だ」との批判であり、その批判は理解できるのですが、その結果、政府は与党の理解が得られない場合、制度を見直さずに現状を維持するかもしれないとのことです。
 さらに、26日の報道によると、厚労省が与党の説得を諦め、現状維持になりそうだとのことです。それは、とんでもなく乱暴なことです。

 

在職老齢年金制度

在職老齢年金とは、厚生年金を受給できる人(公務員や会社員だった人)がまだ厚生年金の対象事業所(国、自治体も含む。)に勤務して一定以上の報酬を得ていた場合に、受け取る年金額が減額調整される制度です。
 年間の給与(賞与等を含む。)の12分の1の金額(総報酬月額等)と基本的な厚生年金の月額(基本月額)によって、調整されます。現行制度では、65歳未満ではこの両者の合計が28万円を超えると調整(減額)が始まり、65歳以上では47万円を超えると調整が始まります。

今年6月に骨太の方針で、在職老齢年金制度の廃止の方向が出されましたが、その後の検討の結果、65歳以上も未満も、51万円とする改正案になっていました。

 「在職老齢年金の見直しの方向性に反対」 参照

 

65歳未満が問題なのに

 報道では、65歳以上の47万円を51万円に引き上げることばかりが議論されているようです。65歳以上で、年金と合わせて月収47万円もある人は、ごく恵まれた人たちです。このくらい報酬を得ている人は、年金を減額、停止されても、働き続けるでしょう。この人たちをさらに優遇する必要はありません。

問題は、65歳未満の28万円です。例えば、60歳の定年時に40万円ほどの月収だった人が、再就職又は再雇用で月額報酬が20万円ほどになってしまっても、特別支給の老齢厚生年金(10万円~13万円ほどか)を受けられるようになると、年金と合わせた月収が28万円を超えるでしょうから、年金が減額されてしまいます。これでは、低賃金で働き続ける意欲が損なわれてしまいます。

定年後の職場で高給を得られる人はフルタイムで働き続けるでしょうが、給与が20万円程度だったら、年金を減額されないように調整しながら働こうかと思う人もいるでしょう。

 定年直後にいったん仕事を離れてしまえば、よほど切羽詰まらなければ65歳から再び働き始めようなどとは思わないでしょう。

 

 65歳以上の47万円を51万円に引き上げることは、たしかに高所得者の優遇だと思います。しかし、65歳未満の28万円を65歳以上と同額の47万円に引き上げることは、高齢者を労働力市場に繋ぎとめるために、ぜひ必要です。改革が1年遅れれば、60歳台前半で離職する高齢者がその分だけ増えてしまいます。

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