本書は、3つの章に分かれ、22のポイントを論じています。
Chapter.1は「日本経済はこれからどうなる」、Chapter.2は「日本企業はこれからどうなる」、Chapter.3は「世界はこれからどうなる」がテーマです。
社外の有識者ではなく、日経新聞の論説委員、編集委員等が執筆しているので、同紙の論調を反映しているようです。その点、堅実ではありますが、別の意見の紹介などが不足しているきらいがあり、やや物足りなくもあります。
例えば、英国のEU離脱はポピュリズムの暴走という観点でのみ論じられています。日本の経済界から見ればそうなのかもしれませんが、私は、エマニュエル・トッド氏が論じているように、行き過ぎたグローバリズムの是正という見方に賛同しています。
全編を通して、米中の派遣争いがしばらく続く中で、日本はどう生き延びていくか、かつての成長力を既に失ったうえ5GやAIなどの今後の成長分野でもすっかり世界の後塵を拝するようになってしまった日本経済をどう立て直していくかがテーマです。一応解決策らしいものが示されている項目もあるのですが、政府にそれを実行させることは困難だと思ってしまい、なかなか明るい未来を思い描くことができません。
対処しなければならない課題が山積しているのに、自らの疑惑をごまかすのに必死だったりする政権に支配されているのが日本の不幸です。
「失速速度」「脱出速度」という概念を初めて知りました。「失速速度」とは、例えば2019年4月~6月の中国のGDPが、前年比6.2%の伸びにとどまった際、中国経済のハードランディングが心配されました。日本の1%前後と比較すれば十分に高いのですが、中国の社会情勢ではもっと高い経済成長でなければ失速して墜落する恐れがあるということなどのようです。
本書を正月に読むことによって、現在の日本の課題を一通り理解することができました。
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