一昨年、ニーチェの哲学、考え方をまんがで解説する本を読み、ニーチェに興味を持ちました。そこで、もう一歩深めてみようと思い、本書を手に取りました。
ニーチェは、絶対的な真理、善など存在しないことを説き、世間の常識、道徳が思い込みに過ぎないとしています。
本書では、ニーチェの思想の中でも、キリスト教に対する見方、神に対する考えに多くのページを割いています。
ニーチェは、著書「アンチクリスト」の中で、「キリスト教会はイエスの十字架上の死を利用し、自分たちの都合がいいようにイエスの人物像を変えていった。」としています。イエスは、復讐を明確に禁止していたのに、「報復」「罪と罰」「審判」などという言葉を使い始めます。イエスの教えでは、平和と歓喜に満ちた「神の国」は現実世界で実現されるものだったのに、弟子たちが「終末にやってくるもの」にすり替えてしまったとのことです。
ニーチェの考えでは、イエスにとっては「天国」は心の状態のことだったとのことです。そうであれば、仏教の思想と近く、興味を覚えます。
ナチスが後年ニーチェの思想を悪用したため、ニーチェを反ユダヤ、ファシストとする誤解があるようです。著者は、その誤解を解くため、実はキリスト教が反ユダヤ主義の中心だったことを示す様々な事実を紹介しています。
ローマ教皇とムッソリーニとの条約によりバチカン市国が成立したこと、ナチスの独裁を許す全権委任法の採決にあたってカトリック政党が賛成票を投じたこと、ヒトラーの誕生日にはローマ教皇の名で毎年祝辞が送られていたことなどです。
本書では、ニーチェの思想の中心である「パースペクティブ」(世界は認識する者の視点で成り立っており、客観的な真理など存在しない)のほか、「ルサンチマン」「超人」「権力への意思」なども簡単に紹介されています。
本書は、非常に読みやすい良書だと思います。そのうち、本書で紹介されている他のニーチェ本も読み、理解を深めたいと思います。
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