2018年1月、自殺された保守の論客、西部氏の遺著です。自殺に当たっては、氏を信奉する二人の人がほう助したため、逮捕されたことが話題になっていました。
近頃は軽い読み物ばかりに慣れてしまった身には、かなり読み進めるのに苦労しました。英語などの西洋語由来のカタカナ語が多いのです。それには理由があって、例えば、デモクラシーを単に民主主義と訳してしまうと、語句の本来の意味が伝わらず、日本では誤解されているので、それらの誤解を解くために原語の語源、語感にさかのぼって解説されています。
読んでいて、著者の並外れた知識、教養を感じました。
核兵器について
著者は、日本も核兵器を持つべきとの考えです。
アメリカの核の傘などは、既に破れ傘で、機能していないという意見です。日本が核攻撃を受けた場合に、アメリカが報復してくれるか考えれば、自国が核による報復を受けることを覚悟してまで日本のために報復してくれるはずがありません。ミサイル防衛システムなど、もともとそれほど信頼できるシステムではなく、同時に多数のミサイルが飛来すればお手上げなのでしょう。
そうすると、日本が他国の言いなりにならないためには、抑止力として自前の核兵器を持つしかありません。
核廃絶についても否定的です。仮に核兵器の廃絶が実現したとしても、核兵器を作る技術が忘れ去られるわけではありません。世界が核を廃絶した後に、どこかの国が核兵器を持てば、その国が覇権を握ることになります。
エマニュエル・トッド氏も同じような意見で、東西の頭脳が同意見です。
私も、理屈では反論できないのですが、まだ心情的に同意できないのです。著者に言わせれば、それは長らくアメリカの属領として思考停止状態で過ごしていたためかもしれません。
憲法改正問題、北朝鮮の問題など、著者の意見は理路整然としていて、ほとんど反論の余地は見出せません。ただ、納得するには、少し時間が必要かもしれません。
読むのに少し根気が必要でしたが、それらの問題を考える上で、大変参考になりました。
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