命じられて公文書改ざんに手を染めてしまったことを苦にして自殺された近畿財務局職員の遺族が、公文書の開示を巡って近畿財務局長を提訴しておられます。

 この報道を見て、近畿財務局の対応にあきれています。正直に言えば、バカだと思います。

 

手続の経緯

 令和2年4月13日、自殺された職員の妻が、夫の公務災害認定に関して財務局が保有する一切の文書について、個人情報開示請求をしました。

 それに対し、近畿財務局は、5月13日、文書が大量であることやコロナによる多忙等を理由に、6月15日までに可能な部分について開示決定等を行い、残りの部分については令和3年5月14日まで開示決定の期限を延長するという通知を送ってきたとのことです。臆面もなく、1年も先送りするつもりです。そして6月10日に開示したのは、「公務災害に係る遺族補償年金等の支払いについて」という10枚の文書だけだったとのことです。こんな、年金額算定の結論部分だけの資料だけ開示されても、経緯は分からないでしょう。

 職員の妻は、情報の速やかな開示を求めて提訴し、818日に公判が始まりました。

 

1年もの先送りは許されるはずがない

 私も高齢者福祉施設の建設補助などの仕事をしているとき、公文書公開の手続を何度も経験しています。個人情報の開示請求は、公文書公開とは少し異なりますが、手続等は類似しており、たしかに、手間のかかる作業です。

 まず対象の文書を特定し、その中に公開できない箇所がないか念入りに検討し、起案します。私のときは、対象文書をすべてコピーし、黒塗りすべきと判断した個所を蛍光ペンでマークして、上司や関係課(文書管理の主務課など)に決裁を回しました。決裁になったら、決裁の通りにコピー文書に黒塗りをし、それを公開用に再度コピーしました。コピー文書にマジックで黒塗りしただけでは、文字の部分が光って判読できる場合があるからです。

 たしかに対象文書が多ければ作業は大変ですが、1日もあれば十分でしょう。審査・判断に時間がかかるのでしょうが、その気になれば決裁権者(おそらく局長)を1日拘束させてもらえば、絶対にできるはずです。何かを隠そうという意図がなければ、その判断もさほど難しいものではないでしょう。

 

要は時間稼ぎか

 非開示にすべき適当な理由が見当たらないけれども開示できないと考えている文書、箇所が多いために、こんなことになったのでしょう。

この問題は国民の関心も高く、財務省、近畿財務局が本気で国民の信頼を回復したいと考えているなら、絶対に速やかに開示するはずです。

 時間を稼ぎ、国民の関心を薄れさせ、関係した上司は人事異動で昇任したり、退職で逃げ切ったり、内閣が交代したりすることを狙っているのでしょう。

 こんな対応を許しては、法治国家の名に値しないでしょう。

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