少し前、巷(ネットなど)で早生まれが不利なのか議論になったようです。きっかけは、東京大学大学院経済学研究科の山口慎太郎教授(労働経済学)の研究で「早生まれの不利は大人まで続く」という結果が出て、ネットで紹介されたことです。

 私も、早生まれの人が不利であることは否めないだろうと思います。

 

ネットで紹介された研究結果

 4月生まれの子供は早く生まれた分だけ勉強や運動もできるのでリーダー的な存在になりやすい一方で、3月生まれは何事にも遅れがちになるのは否定できません。こうした差は、一般的にはせいぜい小学校までくらいで、年齢を重ねると差はなくなると考えられてきました。

 しかし、教授の研究によると、生まれ月による差は想像以上に長く続き、早生まれの不利は高校入試や大学入試にも及ぶとのことです。3月生まれと4月生まれで入学した高校の偏差値を比べると4.5も違い、大学の進学率も早生まれのほうが低く、これは日本に限らず、アメリカやカナダでも同じ傾向とのこと。さらに大人になっても、早生まれの人は3034歳の所得が4%低くなるという研究報告があるとのことでした。

 

私なりの解釈

 私は、こうした影響は当然あるだろうと思います。体格、体力、知力は、15歳から20歳くらいまでは成長するわけですから、その間は生まれたのが1年近くも違えば、影響があって当然です。

 また、小学校に入ったときに、既にある程度発達している子も未発達の子も同じ教室に詰め込まれて一律に教えられます。発達の遅れている子は理解できなくなくなる可能性が比較的高く、その影響は長く続くでしょう。その結果としての劣等感、性格、人付き合いの傾向は、大人になっても残りそうです。

 一つの教室に理解度の違う子供を詰め込んで一人の教師が同じ話を聞かせるのではなく、パソコンとAIを使って一人一人の理解度に応じて学習するシステムなど、今の技術なら簡単に構築できるでしょう。なぜそうしないのか、疑問です。

 

公的年金も早生まれは不利

 現在、公的年金は、原則として65歳に到達した日の翌月から支給されます。一見すると公平なようですが、日本社会の雇用慣行と組み合わせると、あまり公平とは言えないことになります。

 多くの日本の企業、役所は、定年に達した日の年度末(3月末)に定年退職にします。再任用、再雇用した場合も、多くは、3月末が区切りになります。中には誕生月で定年にする企業等もありますが、少数派です。

 新卒一括採用から中途採用重視に切り替えている企業もありますが、ほとんどの大学、高校等の卒業が3月であり、4月から就職しようとする人が多い現状では、大勢は3月末を退職時期とする企業等が多いでしょう。

 65歳の年度末まで働く場合、3月生まれの人は4月分から公的年金を受給できます。一方、4月生まれの人は、65歳に達した翌月の5月分(まだ在職中)から公的年金を受給できます。3月生まれの人は、給料をもらいながら年金も受給できる期間がないのに対し、4月生まれの人は、11か月も給料と年金の両方をもらえます。

 給与月額と厚生年金月額の合計が47万円を超えると厚生年金が調整減額(在職老齢年金)されますが、定年後の再就職等でそれほど高額の給与を得ている人は少数派なので、多くの人にとっては年金だけで生活すれば給料は全額手もとに残ります。その後の年金生活に大いに助けになるでしょう。

 

 早生まれの不利は、老年になるまで続くということです。

 にほんブログ村 政治ブログ 地方自治へ
にほんブログ村 ご覧いただきありがとうございます。

 
サイト案内(目次) 

スポンサードリンク