つまらない自己啓発本によくありそうな題名で、私は普通ならば絶対に手に取らなかった本でしょう。正直、私はそんな題名の自己啓発本が嫌いというか、実のところ少々馬鹿にしていますが、これはその類の本ではありません。

 副題が、「親鸞聖人「正信偈」に学ぶ肯定する生き方」となっています。私は、最近、仏教、特に親鸞聖人の思想に興味を抱いて関連書を少しずつ読んでいます。この本も、その流れで見つけたものです。

 「帰命無量寿如来」で始まる120句、840字のお経、「正信偈」(しょうしんげ)を聞いたことのない人は、浄土真宗の門徒以外でも少ないと思います。正信偈は、親鸞聖人が自ら漢文で書かれたもので、浄土真宗の教えを凝縮したものです。浄土真宗のお経の中で最も頻繁に詠まれ、聞く機会の多いものだと思います。その意味が理解できるようになりたいという気持ちから、本書を手に取りました。

 

 冒頭の「帰命無量寿如来」は、無量寿如来(= 阿弥陀如来)に帰命(信じ、敬い、頼ること)しますという意味のようです。阿弥陀は、サンスクリット語の「アミターユス」(量りしれない寿命)、「アミターバ」(量りしれない光、空間)を漢語で音訳したもので、無量寿などは意訳したもののようです。

 果てしなく続く時間と空間の流れを信じ、身を任せてしまえば、浄土(何も苦しいことのない世界)に生まれ変わることができるということです。このような、時間、空間といった目に見えない働きを人はなかなか信じることができないので、仮に阿弥陀仏のような仏様、仏像を創り上げたということです。これは、著者ばかりでなく、多くの仏教者、仏教思想家も認めている考えのようです。

 

 やはり、仏教は、キリスト教やイスラム教と違って、深遠な哲学に近いものだと思います。神や仏の存在など信じることができない私のような者でも、このような考えなら理解することができます。

 

 著者は、真宗佛光寺派のお寺に生まれ育った女性ですが、お寺を継ぐ気がなく、アメリカに渡るなどしていたのが、家庭の事情で急遽あとを継ぐことになった女性僧侶です。様々な体験をもとに、解説されています。

 私の疑問にかなり答えてくれ、読んでよかったと心から思います。ただ、正信偈の意訳は載っていますが、併せて漢文の読み下し文も併記してあればもっとありがたいのですが・・・。また、題名も、別の題名の方がいいと思います。

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