本書は、学術的にはエビデンスも多く、否定できないものの、そのことはタブーとされていて、公の場で言うとバッシングを受けてしまうような事実をいくつか紹介したもので、ベストセラーにもなっています。「残酷すぎる真実」という副題が付されています。
最初に取り上げられているのは、いわゆる「頭の良さ」と遺伝の問題です。私たちは経験的に、親の頭の良し悪しが子供の頭の良し悪しに受け継がれる場合が多いことを知っています。しかし、「親が優秀だから子も優秀だ」は受け入れられますが、「親が馬鹿だから子も馬鹿だ」は受け入れがたく、そんなことを公言するとバッシングを受けます。
しかし、生まれつき知的活動に適性のある子供と、そうでない子供がいるのに、一つの教室で同じことを教えるのは、拷問のようなものかもしれません。タブーにしておかず、向き合うべき問題でしょう。
本書では、この個人の頭の良し悪しの問題のほか、人種による頭の良し悪し、容姿による経済的な損得、犯罪的(反社会的)性格の遺伝性、自分の遺伝子を受け継いだ子孫をなるべく多く残そうとする男女の性戦略(女性の性欲等)などについて、世界の研究成果、実験結果などが紹介されています。我々が薄々は知っていても、表立って言ってしまうことがはばかられる話です。
本題からは外れますが、この本を読んで、「相関関係があるからといって因果関係があるとは限らない」という疑似相関が、統計を分析する際に注意すべき事項であることを知りました。
アイスクリームの売り上げと水死者の数を調べると、どちらも同じような動きをします。だからといって、アイスクリームが水死の原因になっているわけではなく、どちらも夏の暑さという共通の原因で増減しているだけです。
10数年前、東京大学の入学者の保護者の所得が慶応大学のそれを上回ることが話題になりました。これも、親の所得が高いと子供の学力も高くなると単純に結論付けることはできないのでしょう。頭のいい親からは頭のいい子供が生まれやすい、頭のいい人は高い所得を得る傾向にあるという、同じ原因から生ずる二つの結果なのかもしれません。親の所得が高いと塾や家庭教師ということもあるでしょうが・・・。
本書を読むと、身もふたもない気持ちになる部分もあるでしょうが、事実は事実として受け入れ、対応しなければなりません。一読しておくべき本だと思います。
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