核兵器禁止条約を批准した国、地域が50を超え、来年(2021年)1月に発効することになったニュースが、大きく報じられました。同時に、日本のマスコミでは、日本政府が批准していないことに対して批判的な報道が多いようです。

 私も数年前までは、一般的な論調と同じく、日本は唯一の被爆国として核兵器廃絶の取組に参加すべきだと考えていました。その後の読書などの影響で、今はどちらかと言えば、核兵器廃絶の取組は平和を維持するためには現実的でないと考えています。

 

単純な批判は困る

 核兵器禁止条約に反対などと言うと、被爆者の苦しみを理解していないとか、平和を愛していないとかの非難を浴びせられがちです。我が家で購読している新聞の社説も、日本政府に対してそんな論調です。

 しかし、そんな単純なものではなく、核兵器が二度と使用されないためにはどういう手段が現実的かという問題です。

 

尊敬する知識人の意見

 エマニュエル・トッド氏の考えでは、広島、長崎で核兵器が使われたのは、アメリカだけが核兵器を持っていたからです。それが、ソ連、中国なども持つようになって世界が安定し、それ以後、核兵器は使用されていません。中東が不安定なのはイスラエルだけが核兵器を持っているからで、東アジアも、中国に加えて日本も持てば安定するというお考えです。また、「核兵器を持てば軍事同盟から解放され、戦争に巻き込まれる恐れはなくなる」とも言っておられます。

 2年前(2018年)にかねてから予告していた通りに自殺された論客、西部邁さんも、日本は核兵器を持つべきだとの考えです。日本が核攻撃を受けた時にアメリカが報復してくれるか考えると、自国が核による報復を受けることを覚悟して日本のために報復してくれるはずがないということです。アメリカによる核の傘は、既に破れ傘だと指摘されてます。また、核兵器を廃絶しても核兵器製造のノウハウが失われるわけではなく、廃絶後にどこかのテロ国家が核を持った場合を考えると、核廃絶にも否定的です。

 私も、理想論はともかく、現実的に考えれば、このお二人に同意せざるを得ません。

 『「保守の遺言」(西部邁)を読んで』 参照

 信頼できる国際機関が自前の軍事力と核兵器を持った状態で、個々の国家の核兵器を廃絶することができれば、理想的なのですが・・・。

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