田布施町で2020年に発覚したパワハラ問題についての当ブログの記事にいただいたコメントから、田布施町では職員の勤勉手当についても違法に多く支給していたことを知りました。同町のホームページで、町議会の令和21126日臨時会の会議録を閲覧したところ、町長ほか執行部が大きな誤解?をされているようで、他自治体でも同様の誤解があるかもしれないので、注意喚起の意味でご説明します。
 「尻すぼみに終わった田布施町のパワハラ調査」

 

田布施町の勤勉手当の問題

 この問題、平成30年度には一応その後の支給については是正されたようです。

 国家公務員では、期末手当の基礎額には扶養手当が含まれ、勤勉手当の基礎額には扶養手当は含まれません。これは、期末手当は生活給的な性格が強いためと思われます。地方自治体のほとんども国家公務員と同様ですが、一部、勤勉手当の基礎額にも扶養手当を加えている自治体があり、国(総務省)は是正を求めています。

 そのような自治体には二通りあり、条例でそのように定めているところと、条例は国家公務員と同様の定め方なのに実際の支給では勤勉手当の基礎額に扶養手当を加えてしまっているところです。

 前者の、条例でそのように定めているところは、不適当ではありますが違法とまでは言えません。一方、後者は、条例に反して過大に支給しているので、明らかに違法です。田布施町は後者だったようです。おそらく、県(市町村課)を通じて流れてくる条例準則(条例(例))どおりの改正を続けておられたのだと思います。

 田布施町は、平成30年度に是正しましたが、過去の不正支出分は放置したようです。

 

問題が発生した時期

 令和2年11月臨時会の会議録を見ると、当局側の説明におかしな点、ごまかしが多く見受けられます。

 国がこのような指導を平成26年の総務省通知(人事評価を勤勉手当に反映させることを求める等の内容)から始めたような説明をしていますが、ずっと以前からされていました。私の記憶では、平成12年ころには既にそのような指導が行われていたと思います。平成26年の通知でこのことに触れているのは、勤勉手当に関連することなのでついでに念押ししているだけです。

 また、国の指導は、条例で勤勉手当の基礎額に扶養手当を加えてしまっている自治体にも是正を求めるもので、条例違反をしているとんでもない自治体があることまでは想定していないのかもしれません。

 

職員団体との協議と給与条例主義

 町長は議員さんからの質問に対し、「勤務条件というのは、職員組合と合意をして実施をするということが前提になっておりますので、そういったことで、3、4年協議をして、是正にするまで時間がかかったということで、まったく無視をしたわけでございませんで、国の方針に沿ってですね対応はしてきたことが事実でございまして、少し時間がかかったということではございますが、3年前に是正はいたしております。」と答弁されています。

 これは、給与条例主義を全く理解されていない答弁です。公務員の職員団体には給与等の勤務条件に付いて労働協約を締結する権限はなく、条例で決まっていることを拒否することなどできません。協議が長引いたなどという言い訳は通用しません。丁寧に説明だけして、すぐに条例通りに支給すべきでした。

 詳しくは「地方公務員の労働基本権の制約と給与条例主義等」 参照願います。

 

 私は、当局が職員団体と本当に協議を重ねていたか疑問に感じています。私が職員団体の幹部なら、条例違反の違法な運用の継続を当局に求めるような危険なことは、恐ろしくてできません。

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