加藤官房長官が、3月4日の参議院予算委員会で、NTTからの接待疑惑について山田前内閣広報官に事実確認をしないのか質問されたのに対し、「既に退任されておりますので当方から事実確認する立場にはない」と答弁しました。
この「当方」というのが、内閣官房のことであればそうなのかもしれませんが、政府のことであれば虚偽答弁でしょう。この前後のやり取りでは、加藤官房長官は政府の立場で答弁されていましたから、やはり虚偽か・・・。
退職手当の返納制度
国家公務員退職手当法第15条では、退職手当を既に支給された者が、手当の基礎となった在職期間中に懲戒免職等に相当する非違行為があったことが判明した場合は、退職から5年以内なら返納を命ずることができることになっています。地方公務員にも同様の制度があります。
山田前内閣広報官が総務省の一般職を退職したのは令和2年7月のようですから、5年にはまだ間があります。
接待を受けることは、収賄に当たるので、高額の場合は刑事罰の可能性があり、また、刑事での起訴を免れたとしても、懲戒免職処分の可能性もあります。
官房長官答弁は本音が出てしまったか?
山田前内閣広報官の今回の疑惑は、まさに国家公務員退職手当法第15条を発動すべきかどうか調査、検討すべき事案です。それを、「事実確認すべき立場にない」などとアホな答弁をするとは、秀才の誉れの高い加藤氏とも思えません。
なるべく穏便に早期の幕引きを図りたい政権の本音が、ポロっと出てしまったのでしょう。これでは、総務省が行っているという調査も、形だけのアリバイ作りの可能性があります。
懲戒免職相当の可能性も十分
山田前内閣広報官だけでなく、総務省の現職の高官にも言えることですが、懲戒免職になってもおかしくないと思います。
例えば、東北新社からの接待、NTTからの接待を検察が個別に起訴しようとした場合、それぞれごとでは起訴に届かないかもしれません。しかし、政府としては、全業者からの接待をまとめて判断しなければならないことは当然です。十分に懲戒免職相当になる金額、回数だと思います。
私も懲戒処分に関連する仕事を通算7年ほど担当しましたが、ほとんどの役所では懲戒処分の基準があります。一般に、行為者が管理職であった場合や、社会からの信用失墜の程度が大きい場合は加重することになっています。
収賄自体、懲戒免職処分に相当する非違行為ですが、複数の加重要件に該当していれば普通は・・・。
地方自治体では、これまで、この規模の接待事件では懲戒免職としていたところが多いと思います。ここで、政権、総務省が妙な結論を出せば、今後、示しがつきません。
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