生活保護の申請をした人の親族に援助が可能かどうかを問い合わせる「扶養照会」について、厚生労働省は10年程度親族と連絡をとっていない場合は照会をしなくてもよいことにするなど運用を見直し、自治体に通知しました。

 これまでも、DVや虐待があったり、20年にわたって連絡をとっていなかったりする場合などには、扶養照会をしなくてもよいとされていました。しかし、この制度のために、親族に知られたくないという理由で生活が極めて困難にもかかわらず保護の申請を躊躇する人が多く、問題視されていました。

 一歩前進ではあるのですが、まだ問題が多いと思います。

 

兄弟姉妹に扶養義務を負わせるべきか?

 扶養照会は、民法第877条により無条件に扶養義務のある直系血族(親、子、祖父母、孫等)と、同法第752条によって協力扶助義務のある配偶者に対して行われることが原則です。

 私は、親子、配偶者に扶養義務を課すことは、DVや虐待があるなどの例外的な場合を除き、当然だと思います。扶養照会を行うことを原則としてもやむを得ないと思います。

 しかし、兄弟はどうでしょう。成長して親元を離れれば、生計維持関係などないことが普通です。結婚していれば、財産は夫婦で築いたもので、自分の兄弟のために勝手に使うことも躊躇されるでしょう。

 現在の社会の実態から、兄弟姉妹に扶養義務を負わせるのは、非現実的だと思います。これは、家父長制の名残でしょう。こんな制度を残していた場合、誰かが出世したら他の兄弟は皆、その縁にすがって有利な地位に就く、まるでお隣の国のような問題を起こしかねません。

 兄弟姉妹は、お互いの生活に干渉せず、仲良くするのがいいでしょう。

 

(扶養義務者)

第877条 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。

2 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。

3 前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。

 

疎遠の期間で区別するのも・・・

 連絡を取り合っていない期間で扶養照会の要否を区別するのも、弊害があります。

 10年間、連絡を取り合わなければ扶養照会を免れるなら、触らぬ神に祟りなしで、兄弟姉妹との親戚づきあいなどしないほうがいいということになりかねません。特に、生活が苦しそうな親族とは早めに連絡を絶っておいた方が得策ということになります。

 兄弟姉妹とは、扶養義務の心配などせず、仲良く交流したいです。

 

 親子、配偶者については様々に考慮する必要がありますが、民法の兄弟姉妹の扶養義務の規定は、早めに削除すべきだと思います。

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