ニーチェの思想に興味を持ち、入門書などから少しずつ読んでいますが、やはり難解です。ビジネス書やベストセラーばかり読んでそれらに慣れてしまった私の頭では、哲学書は、何回も繰り返して読んでようやく少し分かった気がする程度です。

 ニーチェはキリスト教を徹底的に批判しています。それで、キリスト教に由来する道徳を排除したときに、我々の道徳はどのようなものになるのか、ニーチェの考えを知ろうと思って、本書に挑戦してみました。

 本書は、三つの論文で構成されています。

 第一論文は、『「善と悪」と「良いと悪い」』第二論文は、『「罪」「疚しい良心」及びこれに関連したその他の問題』』、第三論文は、『禁欲の理想の意味するもの』です。

 

 ニーチェによれば、「良い」という言葉は、ヨーロッパの諸言語では、身分の高さを示す「気高い」「高貴な」が本来的な概念のようです。逆に、「悪い」という言葉は、「卑俗な」とか「賎民的な「下層の」という身分の低さを表すのが本来の概念だったようです。ラテン語の「善い」(ボヌス)も、戦士を意味する言葉で、つまり勇敢であることや強いことが「善い」こととされていたようです。

 それが、キリスト教による「奴隷一揆」「価値の逆転」により、貧しかったり病弱であったり、敵と戦うことを嫌がったりする方が道徳的に上であると考えるようになったということです。

 強くも高貴でもない私のような民衆からすれば、多くの民衆が幸せならそれでもいいんじゃないかと思うところですが、序文を読むとニーチェの考えはもう少し深いところにあるようです。

 私の理解が正確か不安ですが、強さ、高貴さ、美しさ、自分の子孫の繁栄を重視しない道徳は、現在はぬるま湯的で快適だとしても、人類がより強くなるための進化を妨げているのではないかという危惧です。ギリシャ文明のような、強いもの、美しいものを素直に称え、生殖行為を汚いものと扱わない、人間の本能に従った道徳に回帰すべきということでしょうか?

 

 利他的行為が「善い」こととされている由来、神という概念の由来なども考察されています。他の著作も読まないと、十分な理解は私には難しいようです。

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