いつもの年なら8月を過ぎると靖国神社の名を耳にすることはほとんどないのですが、今年は9月に入っても耳に入ってきます。自民党総裁選に名乗りを上げている候補の一人が、靖国参拝を「公約」のようにしているからです。

 中国や韓国の政府が、日本の閣僚等の靖国参拝に文句をつけることについては、私も「人の信仰にケチをつけるな!」と反発してはいるのですが、実のところ、あれが「信仰」なのか、疑いを持っています。

 彼らが、政治家になってから初めて、あるいは政治家を志してから初めて、靖国信仰に目覚めているように見えるからです。政治家を辞めれば、もう参拝も玉ぐし料の奉納もしなくなるかもしれません。

 つまり、右翼的な人たちのウケを狙ったパフォーマンスではないかという疑いが濃厚です。下心が透けて見えそうで、白けてしまいます。

 戦没者の慰霊をしたいなら、国が戦没者のために無宗教の形で設置した国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑に拝礼するのが、政治家としての正しい姿でしょう。天皇皇后両陛下も、こちらに拝礼されています。

 千鳥ヶ淵の例大祭に拝礼せず、靖国神社にだけ参拝、玉串奉納をしているとすれば、ウケ狙いの似非(えせ)愛国者ではないかと思います。

 靖国神社擁護派の反論としては、戦死者のかなりの数の人たちが、「靖国神社で神として祀られる」ことを信じ、戦友と「靖国で会おう」などと言い交わして出撃していったことを挙げるかもしれません。しかし、理性的に考えれば、あそこに名前が登録されたからといって神になれるはずがありません。誰がそのような嘘を吹き込んだのかを問題にしなければなりません。それを解明し、戦没者に「嘘をついてごめんなさい」と謝るのが先でしょう。
 あの考え方は、自爆テロを唆す狂信的なイスラムと似ています。

 その辺が整理されなければ、やはり靖国神社は軍国主義に奉仕した存在であり、その妙な教義が是正されたとは言えません。中国や韓国の非難を「信仰に対する干渉」と突っぱねるのも後ろめたい気がします。

 

 私は、かなり保守的な人間だと思います。それでも、政治家の靖国「信仰」にはうさん臭いものを感じています。

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