NHKの大河ドラマ「青天を衝け」の影響もあり、渋沢栄一への関心が高まっています。また、米国トランプ大統領の自国第一主義の後遺症、中国の無法なふるまい、新型コロナの影響、相次ぐ自然災害などで、社会に危機感が広がっており、幕末からの日本の危機に活躍した渋沢栄一の知恵を借りたい思いもあるのだと思います。

 

ピーター・ドラッカーが有名な「マネジメント」の日本語版序文の中で、「率直に言って私は、経営の『社会的責任』について論じた歴史的人物の中で、・・・渋沢栄一の右に出る者を知らない。彼は世界の誰よりも早く、経営の本質が『責任』にほかならないということを見抜いていたのである。」「本書は経営の『社会的責任』と『利潤』との間には、いささかも基本的対立のないことを主張している。」と書いているとのこと。

本書、渋沢栄一に対するドラッカーのこの評が本書の内容を的確にまとめていると思います。

CSR(Corporate Social Responsibility。企業の社会的責任)が重視されるようになり、ESG経営EnvironmentSocialGovernance。環境、人権や貧困などの社会問題、ガバナンスなどを重視した経営)なども広がってきています。「論語と算盤」はまさにそれを先取りしているようです。

渋沢は、実業家、政治家はもちろん、農民などの我々庶民にも「忠恕」を中心とする道徳を求めています。

商売上の競争に「善なる競争」と「悪い競争」があり、競争するから励みが生ずるとして、「善なる競争」は社会を発展させるとしています。「恥ずかしいことをしない」という武士道に通ずる道徳を重視した上で、実業家としての現実論に立脚しており、非常に説得力のある内容です。

 

 現在、日本の企業や日本人の道徳、公徳心が世界で評価される水準にあるのは、資本主義の草創期に渋沢のような人物を得たおかげが大きいと感じます。

 儒教、論語の本家である中国が孔子の教えと最も遠いところにあるのは、誤った思想教育の影響なのでしょう。

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