認知症の人が日々どのような体験しているか、どんな世界で暮らしているのかについて、旅行記、探検記として描かれています。

著者は、社会の課題を解決するためのデザイン(ソーシャルデザイン)の研究、実践をされている研究者、デザイナーです。私も最近「デザイン思考」などに関心があり、関連する書物を何冊か読んでいるのですが、本書についてはこれがデザイン本であることを読み終えた後の後書きで知りました。

本書の執筆のため、認知症の患者100人にインタビューを重ね、その経験を聞き取ったとのことです。

 

 本書の主要部分「認知症世界の歩き方」は、認知症の人が経験する様々な困難が旅行記のような形で描かれています。

「ミステリーバス」は、乗っているうちにだんだん記憶をなくし、なぜ乗っているのか、どこで降りるつもりだったのかが分からなくなったり、降車ボタンを押そうと思ってもできなくなったりしてしまう症状が紹介されています。

同様に、「アルキタイヒルズ」(タイムスリップして街をあてもなく歩き回ってしまう)「顔無し族の村」(誰もが同じ顔に見え、親しい人の顔が分からなくなる)「サッカク砂漠」(ちょっとの段差が深い谷のように見えて歩けなくなる等)「二次元銀座商店街」(距離も方角も分からなくなる)など、認知症の様々な症状が13のストーリーで描かれています。

我々には理解できない行動も、認知症の人にはそれぞれ理由があってやっていることのようです。言われてみれば当然ですが・・・。

 同じ問題行動でも、認知症のタイプによって、その理由は異なるとのことです。

 夕食を食べた後にまた夕食を食べたがるケースでは、夕食を食べた記憶が失われてしまっている、時間の感覚が失われてしまって食べたばかりだということが理解できない、感覚が失われていて空腹か満腹か分からないなど、様々な原因があり、どの障害によるものなのか理解することが必要なようです。

 

 高齢化の進行に伴い、認知症の患者はますます増えるでしょう。私のかつての同僚でも定年退職前に若年性認知症になった人もおり、親戚、知人でもいます。

 仕事で認知症の患者にかかわる人、プライベートで認知症の肉親にかかわる可能性のある人などの参考になるでしょう。

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