本書は、2021年のアガサクリスティー賞の受賞作品です。第二次世界大戦時のソ連とドイツの戦いに狙撃兵として参戦した女性兵士が主人公です。主人公は、農業地帯の村で、高校を終えて外交官を目指して大学入学を待っていましたが、その村にドイツ軍が侵攻し、家族や村の住民が虐殺され、主人公だけ危機一髪のところでソ連赤軍に助けられます。復讐のため。そのまま赤軍の女性狙撃兵養成学校に入校し、訓練を経て、女性だけの狙撃小隊の一員としてスターリングラード攻防戦、要塞都市ケーニヒスベルクの攻防戦に参戦し、活躍、成長していくストーリーです。
ソ連は、その社会主義思想から、女性を看護婦などだけでなく通常の兵士(特に狙撃兵)として従軍させており、実際に女性狙撃兵もかなりいたようです。
本作はもちろんフィクションですが、史実を踏まえ、厳密に考証されているようで、非常にリアリティー、迫力があります。単純な冒険話ではなく、人を殺すことの葛藤、男性社会である軍隊の中での女性の生きづらさなども描かれています。
本作の中では、ソ連(ウクライナを含む)が一方的な被害者で、ドイツ軍から虐殺、レイプ、略奪されています。今、まったく同じようなことを、ロシア軍がウクライナで行っていることが連日報道されています。ウクライナは、いつも被害者側です。大きな国に地続きで挟まれた国は、大変です。
また、当時のドイツの戦略は、「電撃的勝利によって半年でソ連を崩壊させて降伏に追い込む」というもので、これがとん挫して破綻しました。今回のロシアの戦略も、「電撃的勝利によって短期間でネオナチ政権を崩壊させる」というものだったようですが、既に破綻しています。ロシアは、自らの歴史に学び、一日も早く撤退すべきでしょう。
ロシアによるウクライナ侵略が起こってしまった中で、いろいろ考えさせられる作品です。
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